表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/79

49.里での家探し

 翌日起きて支度をしていると朝食の準備が出来たと呼びに来たので食堂に向かったのだが、


「おはよう、良い天気だな」

「おはようございます。ゲンゾウさんはずいぶんと早いですね」

「くはははは! 寝たらそのまま明日まで起きないわい」


 つまり徹夜明けなんですね。よくやるな……。しかもあれだけ飲んでたのにケロッとしてる。テンションが高いのは徹夜明けだからかお酒の影響か。はたまた両方か? 体にだけは気を付けてもらいたい。


「体は大丈夫なんですか?」

「あの程度でくたばるほど耄碌してはおらんよ」

「この人はいつもこうですからお気になさらず」

「ウメさんもおはようございます。ウメさんは昨日泊まっていかれたのですか?」

「えぇ、家に関しては早く決めてしまった方がいいでしょうし、巫女をまとめる仕事はすでに後継者がいますからその子に任せてきました」


 後継者がいるのは普通の事だしこっちの方が重要案件という事だろうか? もっと軽い感じで考えてたけど思った以上に話が大きくというか重くなってる。まだまだここでの自分の発言力を理解し切れていない証拠という事かな。


「そうだとしても家の事は専門の人が来てからって事で今は食事って事でいいですか?」

「そうですね。そうしましょうか」


 そう言ってから食事を始めた。家の話が始まると時間がとれないかもしれないから今のうちに聞きたい事を聞いておこうと思う。本当はご飯に集中したいんだけどな。


「昨日宴会やった訳ですけど、やっぱり来れなかった人っていますよね?」

「そうだね。理由はあれどそういうのもいるだろうねぇ」

「そういう人の所を回ってみたんですけどなんとかなりませんか?」

「わざわざユキト様が? ありがたい話ですがよろしいのですか?」

「ぜひお願いします」


 周りの人たちがあってるのに自分は会えてないとなれば残念がる人もいるだろう。ちょくちょく転移魔方陣で来るつもりではあるけどそれでも関わる人は少数だろう。なら今のうちに出来る限り会えるだけ会っておこうと思ったのだ。

 打算的な所では少しでも繋がりを多く持ってステータスの底上げをしておきたかった。なければないでいいけれど使徒との戦いになった時に仲の良い人たちを守れるだけの力がほしい。現時点でも十分強いけど相手は複数いるし何があるかわからない。備えておくに越したことはないだろう。


 この話を聞いたウメさんが人を呼んで昨日来られなかった人を調べるように言っていたのでこれに関しては後は任せておいて、案内についていけばいいだろうと判断した。

 来れなかった人の所にはエリナとミヤビも同行する。基本的には三人で行動するよていなのでこれに関しても朝起きた時に話はしてある。別行動する可能性があるのはミヤビだけだが……そう言えばミヤビの家族にも挨拶しないといけないか? 昨日の中にはそういう人はいなかったけど……。


「ミヤビ、ミヤビの家族は?」

「こちらでは兄上だけですよ。すでに両親ともに亡くなってますから」

「あーそうなのか。だったら墓参りに行く予定もたてておくべきか」

「そうしていただけるなら嬉しいです」

「ユキト様、墓地に行くのでしたら他の者の所にも足を運んではいただけませんか?」

「それはさすがに……数がすごい事にならないか?」

「いえ、共同墓地ですので一つ一つはそれなりに大きいですが数自体は七つ程度です」


 墓参りは向こうのイメージで一家族で一つみたいに思っていたけどどうやら、共同墓地で一定数か一定期間で新しいものを作ってという感じらしい。

 確かにいくら森が広いとはいえ切り開くには色々と気を付けなければならない事も多い。その状態で墓地を確保する場所を広くとる事はできないか。


「わかりました。それなら全ての場所に行かせてもらいます」

「案内はつけますのでよろしくお願いします」


 こうして本日の予定が決まった。まずは家をどうするか? それが終わればお墓参り。その後は……その時に考えよう。

 それにしてもゲンゾウさん……酒持ってこいはないと思います。どんだけ飲むんだよ……。




 食事を終えてしばらくたつと来客があった。この里の不動産を管理しているという男がやってきたのだ。


「昨日長から話を聞いてからですね。色々と探したり声をかけた訳ですよ。はい。ですが現状、家の空きがありませんで、新築に関しても資材が足りなくてですね。はい。申し訳ないのですが、今すぐは無理なのです。はい」

「どうしてそのような事になっている! 資材がないとはどういう事だ!」

「北の火事で数件燃えてしまいましたのは覚えておりますか? はい。あれで焼け出された人達用の家づくりで各所資材をだいぶ消費しまして、はい」

「む、……それは仕方がないな」

「木ならたくさんありますけど、ダメなんですか?」


 木材は乾燥させる時間を取らなきゃいけないし、火事で家を建て直したなら用意してあったものを一気に放出せざるを得なかったのだろう。

 ただ、俺の一気に木を乾燥させる魔法を見ていたりしてるのでエリナの疑問に繋がったのだろう。


「木は伐採してからすぐに使えるものではないのです。はい。それにこの森の木を切る時には細心の注意が必要なのです。はい」

「俺の使う魔法はあれはあれでけっこう無駄に難易度は高いんだよ。今の話を聞く限り資材があればどうにかなりそうだと思ったんですけどどうですか?」

「もちろん、資材があれば問題なく建てられます。はい。火事のあった場所の作業も終わり、大工たちは暇をもてあましております。はい。ですので資材を持ち込んでいただければ、総出で当たる事が出来ると思います。はい。しかし……資材を持ち込めますか? はい」

「俺の空間収納は広いから木を丸ごと持ってくることは可能ですよ。すでに何本か入ってますし」


 無限倉庫の中には本当に色々入っている。……そう言えば皮だけになってるヘルキャットとか、魔石を抜いただけのヘルキャットとか入ってるっけ。後で加工できる人を紹介してもらって押し付けようか。


「そうすると場所の候補はあるのか? ユキト様の屋敷を建てるのにふさわしい広さを持つ場所が!」

「今すぐというなら北の火事の場所が広く空いています。はい。ここに住んでいた住民はすでに別の場所で生活をしております。はい。ですが、やはり自分の家があった場所というのは気になるようでして、はい」

「なるほど、そこにユキト様のお屋敷を建てれば、火事という不運に見舞われながらもユキト様のお屋敷の場所になったのだという誇りがもてるな。よし、それで行こう!」

「ユキト様はそれでよろしいですか?」


 向こうの二人はこれが最良とばかりに話している。そこでウメさんがいいかどうか聞いてきた。火事のあったという場所にというのは気になるといえば気になる。

 その場所に住んでいた人の事も気になるし……。それに転移魔方陣も敷かないとならないだろう。


「まずは質問なんですがその火事で亡くなった方はいらっしゃいますか?」

「あの時の火事ではいなかったはずですよ」

「そうですか……。まずは火事の被害にあった人達の所へ行ってそこに建ててもいいか聞いておきたいです。そこで許可がもらえたら、社に転移魔方陣を一時的に敷かせてもらえませんか?」

「あちらは勝手に盛り上がっていますがそうなさっておいた方が後々の遺恨にならずにすみますしいいと思いますよ。社の転移魔方陣はどうぞお好きになさってください。出来れば一時的と言わずそのままにしていただきたいですが」

「何か理由が?」


 転移魔方陣を一時的にするのは、屋敷が出来てしまえばそっちは使わなくなるからだ。使わない物をいつまでも置いておく必要はないと思うんだけど……。


「その転移魔方陣はユキト様の家に繋がっているのですよね? でしたら修行の一環で炊事、洗濯、掃除などをこちらで承らせていただけないかと。冒険者として活動するのであれば家に誰かいた方がよいと思うのですが」


 とてつもなく魅力的な提案であった。王都の家はいくら防御が固いとはいえ埃はたまる。掃除は必要だし、いくら自分で作る料理が美味いとはいえ作ってもらえるというのは非常にありがたい。

 それに里に屋敷が出来た後の管理も頼める。巫女の人数次第ではサークリスで建設予定の家も管理してくれるかもしれない。

 それに移動先の家の外に出ないように言っておけばいいだろうし……いや、出れないように細工しておくべきか? 間諜の移動に使われてはたまったものじゃない。

 転移魔方陣の使用許可と出入口の仕掛けとやることはあるけども、一時の手間で後々の手間が減るのはいい。



「基本的に社から移動した先の外に出ない。という条件を飲んでもらえるならこちらからお願いしたいくらいです」

「こちらとしても修行の一環ですし、ユキト様の身の回りのお世話をさせていただけるのは喜びですのでその程度の条件でよろしければ飲ませていただきます」

「そうすると後は給金に関してですが……」


 その後ウメさんと今後の巫女さんの派遣について話し合ったり、火事被害にあった人の現住所を調べてもらったりとしてもらって午前中は過ぎて行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ