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『そいつは牢屋に入れておけ、今日はもう遅い女王への報告は明日にする』
ファミングが偉そうに隊長に命令する。兵士さんたちから不満げな空気が漂うなか隊長さんが進み出た。
『素性がわからないとはいえ、牢屋に入れなくともよいのではないでしょうか』 兵士たちも小声でやりすぎだとか隊長よく言ったみたいなことを言い出した。
『黙れクズども、俺に意見できる立場か』 ファミングの手が淡く光る、気が付くと隊長さんの足は氷漬けになっていた。
『弱いものが吠えるな、身の程を知れ』
ファミングの奴は手に持った杖を動けない隊長さんに何度も何度も叩きつけた。兵士達は隊長さんを助けようとするが、ファミングの取り巻きが邪魔をして近づけずにいた。
目の前で何度も殴りつけられる隊長さん、気が付くと僕はファミングの前にひざまずいていた。
『牢屋に入りますからもうやめてあげてください』 ファミングの手が止まった。
『得体のしれないクズが私に指図するな』 杖を大きく振りかぶり、僕に叩きつける。一回、二回、三回、四回、一度もよけるそぶりも見せず殴られる。
『クズには付き合いきれん』 ファミングと取り巻き達は城の中に入って行った。
隊長さんはふらふらになりながら僕に近づくと突然僕を抱きしめた。周囲の兵士から歓声が上がる。
『お前さん小さいのに根性あるな』 と回復薬を差し出しながら隊長さんはあざだらけの顔で笑っていた。僕はあざだらけの顔で差し出された回復薬を受けと取りながら。
『小さいのは気にしてるのでハクリス・・・、いやハーンって呼んでください』
隊長さんは笑いながら、部下に僕の名前を伝え、何か指示をだして、みんなを帰らせた。
『ハーン悪いな、命令なんで牢屋へ案内するぜ』 僕と隊長さんは城の地下にもぐっていった。牢屋は今は使われていないのか誰もいなかった。
隊長さんは僕にいろいろな話をしてくれた。
今は隣国と戦争中で自分たちも兵士にさせられてまだ日がたっていないこと。
部下達もこの街で仕事をしながら兵士をやっていること。
隊長さんの本職は鍛冶屋をやっていること。
今回の調査は見張りが遠くで光の柱を見つけ、女王の命令でファミングが行ったこと。
ファミングは女王のお気に入りで魔法が使えるこの国一番の魔導師であること。
女王はエリカトル・ディクトールといってだれも逆らうことが出来ない存在で、周辺の国々には深淵の女帝と言われ恐れられてること。
『それにしても、あの光の柱はなんだったのかね、ハーンは何か知らないのか』 僕は返事に困っていた。すると複数の人の気配が近づいてくる。
僕は体に力が入るのを感じ緊張感を高めていた。そんな僕を見て、隊長さんは笑いながら大丈夫だからといった。
『隊長、持ってきましたよ』 数人の兵士さんが手にいろいろなものをもって現れた。
『牢屋に入れろとは言われたがそれ以外のことは命令されてねーからな』 隊長さんと兵士さん達は笑いながら持ってきたものを広げだす。
『ハーン、俺のことはアルって呼んでくれ。野郎ども女王に尻尾を振る犬をばかにした記念に酒盛りといくぜ。』 狭い牢屋に男たちの笑い声が響く、宴は夜遅くまで続いた。
アルさんたちが帰って広い牢屋に僕一人。
一人にはなれてるはずなのにちょっと寂しいなと思っていると突然後ろから殴られた。
振り向くとそこには僕の協力者たちが立っていた。




