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その日の夕食は僕の壮行会になった。シスターからみんなにこれから僕達がここに住むこと、しばらく女王の頼みで前線に向かうことが発表されみんなで楽しく過ごすことができた。子供達が寝た頃、僕とサチ、シスターとリーチェ達6人で今後のことを話し合うことにした。
『お話したとおり、僕は女王の頼みで明日から前線の調査に向かいます、戦争が本格的に始まることもあるので、シスターにはこれを受け取って欲しいんです』
僕はそう言ってお金の入った袋をシスターに渡す、少なくない額のお金に受け取りにくそうにしているため僕は続ける。
『これから、色々な品物が手に入りにくくなると思うので今のうちに準備しておいて欲しいのです。僕にはこんなことしかできませんが、お願いします』
『わかりました、ハーンさん、せっかくのお気持ちありがたく使わせていただきます』
『ここに住む以上、私達は家族よシスター、遠慮はいらないのよ、ね、ハーン』
『そうだねリーチェ、僕達を家族に加えていただけますか』
シスターは少し目を潤ませ『はい』といってくれた。
『そこまで急いでいかないといけないの』
全員の目が僕のほうを向く。僕は全員の顔を見渡し、最後にとなりのサチを見て小さく頷く。
『この間バロンと話しをしていて考えさせられた。もし戦争が激しくなってサチやシスター、この街の僕によくしてくれた人達に何かあったら…僕はどうするのか。全員を守ることができるのか…』
気がつくと僕の手は震えていた、その手をサチがそっと自分の胸に引き寄せる。
『私も怖い…みんなを失ってしまうことも…ハーン、あなたを失ってしまうことも』
僕ら2人を静かに見守ってくれている4人。
『ハーンさん、助け合うのが家族よ。1人で背負ってはいけないわ。それに私も子供達もハーンさんのような力は無いけれど、いままでだって頑張ってきたもの大丈夫よ』
『ハーン、情けないわ、情けないわよ。惚れた女に心配かけて、私達もいるのに。情けないわ』
サチと僕は真っ赤な顔してつないだ手を離し、下を向いてしまった。
『そうじゃ、リーチェのいうとりじゃ。男ならしっかり肩を抱き寄せて俺の帰りを待っていろ。位のこと言えんのか』
『そうだそうだ、何弱気になってんだよ。ハーンの力があれば、ドーンでバーンでゴーでサチをギューってして、チューだぜ』
ヴァル少年…ベア…何言ってんだ、サチが真っ赤で思考停止してしまったじゃないか。
『ベアとヴァルは後で私から大切なお話があるから…それはそうとハーン明日からの調査は私達も一緒にいくわ。いいわね』
『うーん、できれば念のためここにいて欲しい気もするのだけど』
『馬鹿ね、馬鹿だわ、ヴァル並みに馬鹿だわ。シスターの話を聴いていたのかしら、不安そうなサチを安心させたくはないのかしら。家族を信じて、ちゃっちゃと終わらせるほうがいいと思わない』
リーチェ…僕はおもわずリーチェを抱きしめようとして、殴られた。
そして、僕と、ベア、ヴァル少年は昼間買った酒瓶片手に説教をされることになった。
サチとシスターの仲裁により今日は眠ることができそうだ…




