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赤目のハーン  作者: SSS
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夜になったが女王は僕と会うと言ったようで、女王の間に通された。


『ハーン久しいな、鉱山での活躍は既に届いておる。ご苦労であった』

にこやかに僕に話しかける女王、相変わらず喰えないな。


『女王陛下、時間も時間なので要件を申し上げてよろしいでしょうか』

女王は軽く笑い、いってみよといった。


『では、まずシスターの解放をすぐにお願いしたい。話しはそれからです』


顔色一つ変えずに微笑んだまま。

『わかった、誰かすぐにシスターを孤児院まで送るように』


近くの者に指示を出し、僕の方を再度向いた。

『これでよいか、ハーン』


『ありがとうございます。女王陛下何も無ければ僕もこれで失礼しますが』


『ハーン、お前の頼みを私はひとつ聞いたぞ、私の話しも聞いてくれてもよくないか』


『女王陛下、今日は時間も遅いことですし明日にされてはいかがですか』

『バロン、私はハーンと話しておるのじゃ、控えよ』


『私はかまいません、お話をお伺いします』

僕の返事に女王は満足気な様子で話しだした。


『既に聞いていると思うが南との戦争がいよいよ始まりそうじゃ。最前線では小競り合いも始まっておる。そこで大規模な戦場になると思われる平原があってな』

『女王陛下、僕は何をすればよいのですか』

女王の言葉を遮り、真っ直ぐ見つめる。周囲は言葉を遮ったことによる女王の顔色をうかがっているようだ。


『せっかちな奴よの、まあ話が早いのはいいこと。頼みたいのはその平原の近くにある砦の一つから連絡が無い、そこの様子を見てきて欲しい。頼めるな』


僕も笑みを浮かべたまま『了解しました』と答えた。

その返事に周囲もほっとした空気が流れる。


『ハーン、よい報告待っているぞ。もう一つ、これはお願いなのだが、サチにもう一度城勤めをしないか聞いてみてはくれまいか、あの者は優秀だからな是非お願いしたい、今は戦時、孤児院への支援も難しい状況、給金は弾むと、伝えてもらえるかの』


『わかりました、伝えるだけは伝えましょう。決めるのは僕ではないのであくまで伝言ですが』


うんうん、と満足そうに頷いて。今日は解散となった。




帰りもバロンが送ってくれるとのことで馬の後ろに乗せてもらう。

『バロン、さっきはすまなかった』

僕は小さな声でバロンに声をかける。


『私のほうこそ、言いすぎた。この国の民を何とか救いたい、しかし私の力ではできないことが多すぎる。ハーン、お前にいったことは私自身に対しての言葉でもあるんだ』


2人とも黙ってしまう…


『ちょっと飲みにいかないか』バロンの言葉に僕は頷く。馬は孤児院からアルさん達と飲んだ酒場へ首を向けた。



酒場は時間が遅いせいか人はまばらで閑散としていた。マスターに今からよいかとたずねると『どうぞ、ごゆっくり』といってくれた。



2人で並んでカウンターに座り静かに杯をあげて飲み始める。

『なあ、ハーン、孤児院の入り口でお前の従者が言っていたこと…本当なのか』


『正直、わからない。あの3人が言うには上手くいけば神のような事もできるらしいけど、本当にできるかどうかはわからないよ』


『そうか…あの者達も今は出来ないようなことを言っていたな』

『私は怖いのだよ。自分の理想が本当に民のためになるのか、不安でしょうがない、怖いんだ。戦場では部下も傷つき、死ぬことも当然ある。あいつらにも守るものがある』

バロンは手持ちの杯を飲み干して次の酒を頼んだ。大きなものを背負い、考えて、苦しんでいるんだな。僕はどうだろう…


『ハーンじゃないか、加えてもらっていいかい。騎士団長さん』


振り向くと、さわやかな笑顔でラスクが立っていた。


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