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赤目のハーン  作者: SSS
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『みんな、ゴーだぜ、ゴー』

『ほっほっほ、ほーら、空飛ぶ板じゃよ』


サチは比較的大きい子供たちから話を聞いている所だった。僕は目の前の光景に軽くめまいを感じ、楽しそうにゴーといっている子供と空飛ぶ板に乗ろうと順番待ちしている子供を見ながらサチ達に近づいていく。


『サチ、これはどういう状況だと思う』僕は自分の理解を超えた状況に考えるのをやめた。

サチも最初に入った時に理解できず、呆然としたとのことだった。誰でもそうなるよ、きっと。



サチがみんなから聞いた話を教えてくれる。ヴァル少年とベアはシスターが連れて行かれた後兵士がいない間だけ現れて、どこからか食事を持ってきてくれたり、外に出れなくて落ち着かない小さな子供達と遊んだりしてくれていたようだ。


相変わらず楽しそうだな2人とも…


僕は2人のほうをじっと見つめる。

やがて僕の視線を感じたのか2人が僕のほうを無言で見てくる…


2人に黙ったまま手招きをする僕。無言で近づく2人、徐々に近づく距離…


そして、僕らは静かに身体を寄せあった。


『強くなったみたいだな、力をビンビン感じるぜ』

『器だけじゃなく、大きくなりおって』

『みんなのことありがとう』


ふと気になって2人に尋ねる。

『そういえばリーチェはどこに』


ヴァル少年とベアはお互い顔を見合わせ笑い出す。

『あいつは城にいるぞ』

『シスターに付き添うわって言ってたぜ』

リーチェが付いているならシスターも無事だなきっと。



ベアの話しでは僕が鉱山に向かうことになった時。

『ハーンの為にもここは一人で行かせるわ、いいわね、そう決めたわ。幸い私達も封印が解けてある程度力も戻っているし、しばらく離れても大丈夫。異論は認めないわ』

といって接触をしないとしたそうだ。

その後、サチが僕を追いかけ、この事態になった。兵士達に気づかれないようにみんなを守ることにしたそうだ。


リーチェ…



その時、入り口から馬の嘶く声が聞こえる…来たか…


サチにここに残るように伝え、ヴァル少年とベアに目で合図をして3人で表に出る。


『ハーン、鉱山では大活躍だったそうだな』親しげに話しかけてくるバロン。

それを遮るように僕は言い放つ。

『バロン、あなたがいながらこの状況はどういうことだ。答えろ、返答次第では僕にも考えがあるぞ』


よほど急いできたのかバロンは供も無く1人のようだ…


『考えだと、思い上がるなハーン。お前は強いかもしれん、しかし女王と事を構えて、子供達を連れて国外まで行けると思っているのか、その後のことを考えたことがあるのか』


僕は言葉無く黙ってしまう…


『力の無いものが今の生活を捨てる、どれほど大変なことか、1人の力で救える範囲など高が知れていることを知れ。自分に何ができて何ができないか、そして何がしたいのか』


僕は立っているのがやっとなほど体から力が抜けていくのがわかる。僕はただ、あの泉を取り戻したかった。それでもこの街のみんな、鉱山町のみんな、そしてサチと出会い、すべて抱えられると思っていた…それだけの力があると…僕は、ただ強い力を偶然手に入れただけ…


リーチェ達に会わなければ、その力すら使えずに、今もあの小屋の片隅で小さくうずくまっているだけだったはず…



『ハーン、私にもできないことがある、今回の件も女王陛下を止めることができなかった。監視を置くことで子供達に危害を加えさせないようにすることが精一杯だった。すまなかった』


『バロン殿、ハーンには力がある。その力を十全に使えば貴殿の言うことを叶えることも可能なほどの力が』

『そうじゃな、今はまだ無理かもしれないが、先はわからんよバロン殿』


ヴァル少年とベアが僕らのやり取りに割って入ってくる。


『ハーンよ、とりあえず今は今できることをじゃよ』


僕の両隣にいる2人の存在がありがたい…今できること、僕にできること…



『バロン、女王に会いにいく。連れてってくれないか。ヴァル、ベアここを頼む』


2人を残し僕はバロンの後ろに乗り城へ向かう。


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