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赤目のハーン  作者: SSS
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僕は全身の力を維持したまま、両手の鉤爪に氷の刃を纏わせる…


入り口に散歩するかのような気軽さで歩を進める。僕に蟻達が気づく。

『まずは1匹』

すばやく横へ回り込み、左手を振り下ろす…

抵抗も感じないほどあっさりと首が落ちる、残ったからだに右手を突き刺し柵の向こうへ放り投げる。ブラド達は手際よく鉱石を剥ぎ取る。

『ハーンどんどん来い、暇だぜ』

『その言葉後悔するなよブラド』僕は徐々にペースをあげて柵の外に息の根を止めた蟻を放り投げる。始めは色々言ってきたブラド達も喋ってる余裕が無いのか黙々と剥ぎ取りをしている。


様子を見ている傭兵達は言葉が出ないようで辺りには蟻の動く音と、鉱石を剥ぐ音、だけが響く…


危なげも無く淡々と蟻を投げ、魂を吸収する。身体が軽い、僕は気持ちよく作業を続ける。

日が真上を過ぎる頃、入り口付近の蟻の群れはあと数匹といったところまで減っていた。

僕はブラドに『例の粉を頼む』というと、ふらふらした足取りでブラドが粉を柵の近くまで持ってきてくれた。

最後の一匹を放り投げ僕は粉を持って鉱山の入り口から最初の通路の奥まで進み大袋の粉をぶちまけた。


入り口から外に出ると柵の向こうに蟻の山が2つ、剥ぎ取り後と剥ぎ取り前で分けているようだった。

『ブラド、終わったかい』という僕を見て。

『終わったように見えるならハーンは相当目が悪いな』と手を動かしながらブラドが答える。


柵を越えるとペーターとランさんが近づいてくる。

『もう終わったのですか』ペーターは目の前の事態に思考が追いついていないようだ。


『まさか、ここまでとは恐れ入りましたわ』

さすがにランさんも驚きを隠せていない様子だった。


しばらくして良い鉱石と取り尽くしたブラド達が重そうな袋を下げて僕のところに来る。

『ハーン全部は取りつくせなかったからいいところだけにしたぞ。みんなふらふらだ、帰ろうぜ』


残りはどうすると聞かれたので、言葉無く見学している皆さんにあげたらというと。

『おい、おっさん達、残りやるから適当に始末しといてくれや』

ブラドはあっさりと、見ている傭兵達に言って、疲れたから帰るぜといって家に帰りだした。

じゃあといってペーターとランさんに軽く挨拶して僕も帰ることにした。


帰りながら聞いた話で最終的に蟻は78匹いたらしい。そりゃ山になるわけだ。



家に帰るとガルツさんが身体を鍛えている最中だった。

『今日は遅かったな、何だその袋は』


ブラドはにやにやしながら『今日の稼ぎだよ』といった。

ガルツさんは馬鹿言えといいながら袋の中を覗きびっくりしてしりもちをついた。


しりもちをついたまま後ろに控える子供たちも同じような大きさの袋を抱えている。さらに驚くガルツさんにとりあえず説明するからと家に入ってもらい、ブラド率いる子供鉱山隊も一緒に中に入った。


僕とブラドは今日の出来事を報告する。蟻が入り口に出てきてしまったこと、それを僕らだけで片付けたこと、女王蟻の近くに道が繋がったかもしれないこと…


僕らの話を聞いて今日の稼ぎの理由は納得いったようだ。


『親父、そんなわけで俺はみんなに頑張ったらパーッと飲み食いする約束をしたんだ、いいだろ』


ガルツさんは僕のほうを見る。

『僕もそれに賛同しました、みんなサチの料理を楽しみに頑張ってくれたので、サチには僕から頼みますから、いいでしょうか』


『わかった、今日はいつにも増して稼ぎが多い、みんな集めてから分配したほうがいいだろう、みんなを集めてくれ。ハーンさんはサチさんと買出しを頼むよ』


子供たちはブラドの号令で風のようにそれぞれの家に走っていった。

僕はブラドに買出しの手伝いを頼んだが『野暮なことはしねーぜ』と言い残し外へ出て行った。



ガルツさんから今日の宴会のお金を預かり、サチを探す、家の裏でカミラと一緒に遊んでいたので声をかける。

『サチ、ただいま。ちょっといいかい』

なぜかカミラも一緒に寄ってくる、僕は今日のことを簡単に説明して買出しに行こうと誘った。


カミラも行くといっているとどこからとも無くサポさんが現れ『お邪魔しないの』といって頬を膨らますカミラを連れて行ってしまった。


急な展開にポカンとする僕ら…

なんとなくお互い顔を見合わせ『なんだろうね、まあ行こうか』と声をかける。

サチは小さく頷いて僕と並んで買い物に向かった。


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