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『すいませんハーンさん、鉱山組合の人間を買収する者が出てきて困っているんです』
ペーターの話では今の鉱山は傭兵頼りなこともあり、収入が減っている鉱山組合の人間を抱きこんで不正を行う話しに飛びついてしまうことがあるらしい。
あの大柄な男もそんな感じだろう。
僕らはペーターに換金してもらい、昨日より大きな袋一杯に入った銀貨を持ってガルツさん達が待つ家に戻った。
僕はガルツさんから半分の銀貨を受け取り、残りの銀貨を各家庭分に分け、それぞれに配った。
『昨日の今日でこの稼ぎか…』ガルツさんは驚きを隠せないようであった。
『ハーンと俺達が組めばこんなもんさ』ブラドは得意げに胸を張ると拳骨を落とされた。
『ブラド、勘違いするな、ハーンさんが居るからこの結果だ。本来ならもっとたくさん運べる運び屋がいくらでもいるぞ』
ブラドはハーンがそんなことするわけねーといいながら部屋を出て行った。
『本当に、分け前半分でいいのかい、さっきも言ったとおり実力がわかれば取り入ってくる奴はたくさんいる』
『ガルツさん僕は僕のやりたいようにしているだけです、気にしないでください』
そういえば、今日坑道で見た一回り大きな蟻の話しと買取でのことを話した。買取のことは両組合が今後更に目を光らせるから問題ないだろうとのこと。大きい蟻は女王蟻の護衛かもしれないから十分注意したほうがいいとのことだった。
『これからもこの調子で稼ぐとハーンさんのお金を商業組合に預けておいたほうがいいと思うよ』
僕はガルツさんにお礼を言って、鉱山の入り口に向って歩こうとした。
『ハーン、どこ行くの。私も連れてってよ』カミラが駆け寄ってくる。
『サポさんに行っていいか聞いておいで』カミラは僕の目の前でくるっと引き返し家の中に入っていった。
サポさんと一緒にカミラが出てくる。僕は商業組合に行くだけだからと話すとカミラにお邪魔にならないようにと言うと『はーい』といい返事で答えた。
僕と手をつないで鉱山の入り口へ向う、カミラはとっても楽しそうだ。
だいぶ近づいてきたところで僕らに立ちふさがる男がいる。あの男か…
『ずいぶんと子守が好きなんだな』品のない笑い声で僕に声をかけてくる。
『僕はこの先に用があるんだ、どいてくれないか』
『そう連れないこと言うなよ、俺はあんたに用があるんだ悪い話しじゃないと思うぜ』
5人の男がゆっくりと僕とカミラを囲む…
いらいらする…カミラは怖がって僕の服にしがみついている。
カミラの頭を撫でながら大丈夫だよとささやく。
『僕は今いらいらしている、早く話せ』全身に黒い力を纏い抑揚のない声で言う。
男達は急激に雰囲気の変わった僕に身動きが取れない様子だった、大柄な男が震える声でこう話す。
『俺達と組まないか、分け前は儲けの2割だ、いい話だろう』
話しにならないな…
『僕は1人で傭兵をしている、儲けは僕1人のものだ、2割だと笑わせるな。足手まといはいらないんだよ。それに僕の運び屋達は優秀なんでね』
『あんなガキより俺達のほうが劣るって言いたいのか』怒りの為か声は震えていなかった。
『僕の言いたいことがわかる程度の頭はあるんだな』
『ふざけやがって、やっちまえ』男達は一斉に僕らに襲い掛かってくる。
『キャー』カミラが僕に抱きつく。僕は左手を地面に向け掌を握る…
男達の足元に黒い茨が現れ動きを止める。
痛みに叫ぶ男達に向って『僕に関るな』と告げ、男達を放置してその場を後にした。




