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カミラ達の両親は母親がサポさん、父親がガルツさんでこの町のことを色々聞くことが出来た。
この鉱山は鉱夫が数人グループを組み採掘を行っているそうで、ガルツさんのグループは上位の採掘量だったらしい。今回の蟻騒ぎの近くにいたため被害が大きく6人組みの2人が命を落としガルツさんは片腕を失い、他の3人も大怪我で今は動けないようだ、今までの蓄えで何とか食いつないでいたが蓄えも少なくなり、今はそれぞれの家の子供たちをブラドがまとめて、森へ食料を探しに行っているとのことだった。
ガルツさんは鉱夫仲間はみんな家族みたいなもんだから、働き手を亡くした家とも助け合っていきたいが情けない、子供たちを危ない目にあわせてしまってと頬にすっと涙を流した。サポさんも落ち込む夫に寄り添いながら暗い顔をしている。
『大丈夫だよ親父、俺がみんなと何とかするからさ』ブラドは強気で両親を励ましている。
すまない、すまないというガルツさんを見ながら、カミラは僕の耳元に声をかけてくる。
僕は軽くうなづき氷の花を机いっぱいに咲かせた…
みんなが驚くなか、カミラは自分がやったかのように胸を張り。
『大丈夫、お兄ちゃんが助けてくれるもん』と僕の服を掴む。
ほほえましい表情でカミラを見る両親、僕が泊るところもお金もないのを知るとぜひ泊っていって欲しいといわれる。
夕食もご馳走になり、ブラドの部屋で休ませてもらうことになった。
『ハーン、カミラの言うことを真に受けるわけじゃないけど、助けてくれないか』
ブラドは森ではそこまで食べるものも見つからない、何とかするには鉱山に入らないといけない。傭兵にはガラの悪いのもいるし、蟻を殺せないとどうにもならない。
『何度か、運び屋をやらせて欲しいって頼んでみたけど、子供だからって話しも聞いてもらえなくて』
ちょっと考えて、どの道僕も1人ではどうにもならない、僕が運び屋を頼もうにもブラドのようにこの見た目、しかも1人の僕に付いて来てくれる人はいないだろうな…
『ブラド、僕も1人ではどうにもならないと思ってたところなんだ、助けてくれるかい』
僕はブラドとがっちり握手をして眠りについた。
翌朝、僕とブラドはガルツさんと話をした。
『鉱山を甘く見ていないかブラド、ハーンさんには悪いが俺は反対だ』
『親父、このままじゃみんなそろって死んでしまうぞ、ハーンの魔法を見ただろ、俺はそれに賭けてみたいんだ』
『僕も1人ではどうにもなりません、ブラド達の助けがいるんです、お願いします』
ガルツさんは首を縦に振らずに唸っている。そこへサポさんが現れる。
『あなた、ブラドもそろそろ鉱山に出す頃合といっていたじゃないですか、危険なのはわかっています。ブラドの言うことももっともです』
しかし…といって唸り続けるガルツさん。
『では、こうしましょう、本当にやれるのか試しにあなたが付いていって見極めたらどうですか、鉱山の中はあなたの庭のようなものですし』
ガルツさんはそれならばとしぶしぶ首を縦に落とした。
それを聞いたブラドは『みんなを集めてくる』と言い残し風のように去っていった。
ガルツさんも『私もみんなに説明してくる』とゆっくり出て行った。
『ハーンさん、ごめんなさいね。カミラを助けてもらっただけじゃなく私達全員までお願いすることになってしまって』
サポさんの目が涙で潤んでいる。責任の重さを感じた。




