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カミラに気に入られた僕が事情を聞くことになった。
『お兄ちゃん達と一緒に森にきたの、ちょうちょを追いかけてたら一人になっちゃったの』
ギルは鉱山の町までここから半日くらいはある、よく無事だったなとランさんと話している。
カミラは安心したのか僕の服を掴みながら眠ってしまった。
子供が無事にここまでこれるなら周囲は安全だろうとギルは戻っていった。
膝の上にカミラを乗せて動けない僕は薄明るくなる中、終わりかけの焚き火を見つめていた。
『朝ごはんやで』ミヤが朝食を持ってきてくれたのを合図にカミラは目を覚まし、すごい勢いで食べ始めた。あ、むせてる。僕はカミラに水を手渡す。
ある程度食べた頃合でカミラは自分の事を少しづつ話し出した。
鉱山の町は蟻の影響で今まで働いていた人達も自分達だけで鉱石掘りが出来ず、生活は苦しいようだ、蟻の巣と繋がったときに鉱山の中にいた人達は結構な人数が犠牲になったらしい、カミラの父親も被害に遭い、命は助かったが片腕を食いちぎられたらしい。
鉱山町の子供たちも鉱石運び等手伝っていたが今はそれも出来ないため働けなくなった親を持つ子供たちで森に入り、食料を集める等して食いつないでいたようだ。
カミラはそのときはぐれたらしい。
『お兄ちゃんが危ないから来るなっていったの、だからこっそり後をつけていったの…お父さんにお腹いっぱい食べてほしかったの…』
カミラはそう言うとまた泣き出してしまった。
僕はカミラの頭を優しく撫で、『僕に出来ることがあるかも知れないよ』といった。
ミヤは『安請け合いはやめとき、どうにもならんこともあるで』と僕にきつく言った。
町の近くまで来た平原で子供たちが数人走りまわっている。僕の膝の上がすっかり定位置になったカミラが立ち上がり手を振っておにーちゃんと叫んでいる。それに気づいた数人がみんなに声をかけ子供たちがこちらに向って走ってきた。
ギルは一度馬車を止め念のため警戒しているようだ。
『カミラ』その中の僕と同じくらいの背の男の子が近づいてくる。カミラも走って近づいていく。
男の子はカミラの頬をひっぱたき、そして強く抱きしめた。子供たちと馬車は町のまで一緒に進んだ。
ミヤとランさんは仲間との待ち合わせがあるから、またなと言って去っていってしまった。
さて、どうしようか…ペーターに話を聞こうとするが忙しそうだし…
どうしていいかわからずぼーっとしている僕を子供たちが取り囲む。
カミラのお兄ちゃんが僕の前に進み出る。
『妹を助けてくれてありがとう、俺はブラドって言うんだ親父に会って欲しい』
カミラは僕の服を掴みこっちこっちと引っ張ってくる。
今日泊るところもお金も何とかしなきゃいけないんだけどな、カミラのキラキラした目を見ると断りづらいな…
『みんな、今日はありがとう、解散だ』子供たちはそれぞれの家に戻っていった。
僕は案内されるままカミラ達の家にたどり着いた。『何もないが入ってくれ』ブラドが入るように進めてくれる。
『お父さん、お母さん』カミラは家の中にいる両親に飛びついた。
『親父、この人がカミラを連れてきてくれたんだ』
カミラの両親は僕に何度も頭を下げ、母親はカミラを抱きしめながら涙を流して喜んでいた。
いいな…こういうの…
僕はたまたま見張りのときに連れが見つけただけで何もしていないことを告げ帰ろうとした。
『お兄ちゃんはすごいんだよ、手から氷のお花が出せるんだよ、ねー』
帰らせまいと僕の服を掴み必死にすごさを伝えている。
『娘もこういってますのでごゆっくりしていってください』
行くあてもないので、この町の話を聞かせてもらうことにした。




