32
5人で街を歩く…ベアが目立つ目立つ、ヴァル少年は犬に向って吠えている…楽しそうで何より…
サチはちょっと恥ずかしそうに僕と歩いている。リーチェはなぜか僕に肩車されながら満足そうだ…
なんだろうこの一行は、あ、ヴァル少年が犬に顔をべろべろなめられている。
街の人たちは声をかけてくれるが、そのたびに説明するのは面倒だな、もう10回は説明したよ。
孤児院が近づいてくる。子供達がベアやヴァル少年と遊んでいるうちにシスターに報告にいく、連れの3人の説明ももう慣れたものでシスターも飲み過ぎないようにとサチに話をして了承してくれた。
子供達は大きくてをふってベアとヴァル少年はそれに答えていた。
酒場に近づくにつれ、僕の気は重かった…それを気にもしない4人はいつの間にか打ち解け、あれがおいしいだの、お勧めはどれだの話をしている。
『ハーンどうしたの、大丈夫』
サチが僕の様子に気づき心配そうにこちらを見ている。『大丈夫だよ』僕はそう返す。
着いてしまった…
酒場の中は今日も盛り上がっているようだ、同じ様な景色なのに全然違うように見えるな。
中に入ると、酒場は一瞬静まり返り、みんなの視線はベアに集められた。ここでもか…
僕はとりあえずみんなに説明する。
気づけば今日はアルさん達とその奥さん達、そしてラスクもいた。
『へーそれが例の奴か…』ラスクはつぶやく。
ん、ラスクの発言にちょっと引っかかりを感じていたが。
『よーし、今日はハーン帰還の祝いでここの支払は俺が持つぜ』
ラスクの発言に周囲はどっと沸きあがる、アルさんの奥さん達も気前のいい男だねとラスクを褒める。
周囲の盛り上がりに僕は1人乗り切れずにいた。
『サチ、いくわよ、飲み比べよ今夜はとことんいくわ、ついてきなさい』
リーチェはサチをつれて騒ぎの真ん中に飛び込んでいく。
ベアとヴァル少年はすでにテーブルの上の食べ物に覆いかぶさって食べ始めている。
1人突っ立ている僕にアルさん達が近づいてくる。体が強ばる。
『ハーン俺達はお前に命を救われたんだ、みんな同じ気持ちだ、俺達はお前を信じてるぜ』
『今日はただ酒だ、お前ら酒場を空にするぜ』
アルさん達は1人づつ僕の肩を叩き、騒ぎの中へ戻っていった。
アルさんは奥さんに調子に乗るなと頭を叩かれている。
カウンターの隅で1人飲み始める。
『となりいいかい』ラスクがグラスを持って立っていた。
『ご馳走になってるよ、いいのかい大きいこと言って』僕は手のグラスを上げながらそういった。
ああ、といって僕の横に座るラスク、たいして酔ってない感じで僕の耳に顔を近づけた。
『ハーン、大事な人が傷つけられた気持ちはどんなだ』
僕はハッと目を見開く。
『その気持ちは大事だぜ』ラスクはグラスを飲み干しそう言った。
『ラスク…お前は何者なんだ、なぜそれを知っている』
大げさにわからないといった仕草をして『かまをかけただけさ』と新しい酒を注ぎ僕に渡した。
『今日の主役はお前だぜ、みんなのところに行けよ』
ラスクに連れられみんなのもとへ…
『今日の主役に酌をしたい奴はいるか』
すると、みんな我先に僕にお酒を勧めてくる。
気がつくと僕は足元がおぼつかなくなるくらいまで飲まされ、気づくと眠ってしまっていた。
気がつくとみんな酒場のあちこちで寝ている状況、辺りを見回すがラスクの姿はなく、片づけをしているマスターがみんなを起こしているところだった。
『あの人は代金を払って帰って行ったよ、ハーンさんにまた会おうって伝えてくれって言ってね』
僕はマスターにお礼を言って、サチを背負い、3人を起こして孤児院に向かっていった。
みんなのことはマスターが任せといてくれというのでお言葉に甘えさせてもらった。




