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森を抜けアルさん達のところに帰ってくると、みんな消えた焚き火の周りで横になっていた。
1人森のほうを見てこっくりこっくりしているアルさんに森の入り口から声をかける。
『おーい、アルさん今帰ったよ』
アルさんははっと立ち上がり、僕めがけて走ってくる。その勢いのまま僕を抱きしめ。
『無事か、怪我はないか』と体中を見てくる。
アルさんの騒ぎで他のみんなも目をこすりながら起きてくる。
『大丈夫だよ、せいぜい擦り傷くらいだから』というとほっとした顔でそうかそうかと大きなごつごつした手で僕の頭を撫でる。
『おまえら、ハーンが無事に帰ったぞ、おきやがれ』
みんなは僕に遺跡のことを聞きながら、アルさんが俺は絶対寝ないからなといっていたことを教えてくれた。
アルさんはみんなの頭とついでに僕の頭をはたきながら、ハーンに何かあったらサチちゃんが悲しむだろと頬をかきながら照れくさそうに馬車に戻っていった。
みんなは、はいはいといいながら朝ごはんの仕度を始める。
食事をしながらみんなに首飾りを見せる、
『見つかったのはこれだけ、調査は終わり』
みんな物珍しそうに首飾りを見る。食事を食べながらウトウトする僕にアルさん達は片付けはやっとくから馬車で寝てろといわれる。
お言葉に甘えて横になる。眠った僕を乗せて馬車は街へ引き返すのだった。
なにか、言い争う声が聞こえる…
僕は馬車から飛び出す、馬車の前方に数人の人間が道を塞いでいる。
『いきなり何しやがる』アルさんは道を塞いでる連中に対して怒鳴っている。見るとアルさんの腕には切りつけられた跡があり、片手を真っ赤に染めていた。
『あああああああああああああああああああああ』
僕はアルさんの横をすり抜け氷の刃を正面の人間に突き立てる。服の下から黒い金属が見える。僕の鉤爪と同じ金属か…ただの盗賊じゃないな。でも問題ない。
力を濃く、青く染め上げ全員の身体に巻きつかせる。僕から氷の蔓がそれぞれの相手に向って伸びていく、逃がすものか…僕の変化に慌てて距離をとろうとするがもう遅い。
瞬く間に全員動くことが出来なくなっていた、僕はアルさんを切りつけた奴以外の頭を順番に1人づつ切り落としていった。
アルさん達は表情ひとつ変えずに切り落とし続ける僕を呆然と見ていた。
最後にアルさんを切りつけた奴だけが残った、僕は鉤爪を振りかぶりそいつの顔を浅く切りつけた、必死に命乞いをする奴の言葉も聞かずに魔法を消す…顔を抑えて地面を転がる奴を蹴り上げる、僕は夢中で蹴り続ける。
『ハーン、もう死んでる、俺は大丈夫だ』アルさんに後ろから羽交い絞めにされて我に返る。息を整えながら魂を吸収する。
アルさん以外のみんなは僕の変わり様にあっけに取られている、その目には若干の恐怖が見えた…
アルさんは僕を正面に向かせ、『落ち着けハーン、俺は大丈夫だ』といいながら回復薬を飲んだ。切られた腕を僕に見せ、ほらな。と言った。
『ちょっと経てば鍛冶仕事にも影響はない』
みんなに頭を下げ無言で馬車に戻る。
自分の力に恐怖しながらまた眠りに着いた…




