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錆びた全身鎧はギシギシ音を立てながら一歩また一歩と僕に近づいてくる。
次の瞬間錆びた鎧からは純白の羽が生える。その羽で自身を包みひとつ羽ばたく、そこには先ほどの錆びた鎧は無く、白銀の姿で立っていた、どこから持ってきたのか盾と槍を構え一瞬で間合いを詰めてくる、槍がわき腹を掠める、危ない危ない。
僕の間合いに入らないと、真っ直ぐ白銀の鎧に向っていく僕の鉤爪は盾によって防がれる。その反動を使ってまた距離をとられる、追撃を狙う僕の顔先に槍が迫る、近づけない…
ならば、僕は力を左手に集める、真紅の槍を鎧に向って投げつける、翼が鎧の前に立ちふさがる…僕の魔法は翼の前で溶けるように消え去る…
槍をかわすことしか出来ない僕は困惑していた、相手の動きが、狙いが左目に映らない、先手が取れないことがこんなに大変とは…このままじゃジリ貧だ。
とにかくあの槍が邪魔だな。僕は再度力を左手に集める…
目には目を槍には槍をだ。真紅の槍を今度は両手で握り、相手の槍に合わせていく。
よし、動きは止めた、その場から動かずに槍を突き、払いお互いに動きを早めていく、盾に阻まれ僕の槍は相手に届かない、どうしたものか…
一か八かあれやってみるか…印象悪いんだけどな、あれ…
僕は力の色を青くする、槍を思いっきり振り下ろし相手の槍ごと盾に押し付ける。
狙い通り…足元が空いてるよ…
鎧の足元は氷で固まり動かない、鎧がバランスを崩す、槍を手放し、鉤爪を盾に引っ掛けてこじ開ける。
『会いたかったよ…』
僕は左手を頭に当てて、赤い刃を掌から突き出した…斜め上から突き出した刃は鎧を突き抜け翼を一枚奪ったところで止まった。
鎧は崩れ落ち、カランと金属音を響かせばらばらになった。
『中身は空、いったいなんだったんだろう』僕はばらばらになった鎧と2枚の翼を見ていた。
翼は輝きを増しながら3体の像へ向って飛んでいく、純白の光が像を包み込み、あまりの輝きに僕は目をつぶった。
目を開けると、3体の像は音を立てて崩れ去る、僕には崩れる像が笑っているように見えた…
壁の淡い光も無くなり、真っ暗な中には首飾りがひとつ落ちていた、左目で確認すると銀色の三角に違う色の宝石が3つ付いている。
鮮血のように鮮やかな赤い宝石、深い海のような青い宝石、新緑の葉のような緑の宝石
それぞれは小さな石だが強い存在感と輝きを左目は捉えていた。
僕は首飾りをくびにかけ遺跡を後にした。外に出たときにはうっすらと明るくなっていた。
僕は大きく伸びをしてあくびをしながら森へ入る。
『ハーン、よくやったわ』とリーチェがいつの間にか横に並んで歩いていた。
『ほんとによくやった』とベアも隣に浮かんでいた。
どんと背中に重みを感じる。
『上出来、上出来』とヴァル少年が背中から声をかけてくる。
どことなく嬉しそうな3人と一緒に徐々に明るくなる森をアルさん達のところへ歩いていった。




