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『ふー、やっと片付いたか…1人ぐらい残しておけばよかったな』1人でつぶやく僕に答えるものは無く。魂を取り込んだ僕はなんともいえない高揚感にとらわれていた。
何も無かったかのように城の門まで歩き、門番の兵士に事の成り行きを報告して、後を任せて部屋に戻る…
不思議な気分だ、襲われたとはいえ人の命を奪ったのに何も感じない自分にふと気づいた、サチを助けた時は必死だった…さっきのは…
僕は考えるのをやめて眠ることにした…
次の朝、まぶしいな、目をこすりぼーっと部屋を見渡す。サチがもじもじしながら朝食を差し出す。
『昨日は…ありがと…』小声でつぶやき部屋から出て行ってしまった。1人で食べる朝食は
ちょっと寂しかった、でもやっぱりサチのご飯はおいしいな…
『ハーン起きているか。皆準備は出来ているぞ』バロンが部屋に入ってくる。
『え、もう皆来てるの』
『お前が最後だ、物資も人もハーン待ちだぞ』
アルさん達あの状態から翌朝この動きのよさ…すごいな…
急いで身支度をする、といっても着替えくらいだけど。足早に進むバロンの歩幅に必死についていく。
『そういえばハーン、昨日襲われた件だがな最近街に増えている傭兵の一団らしい、お前の命を狙った以外の目的は不明、背後に誰かいるのかも不明だ、気をつけろよ』
さすが団長だな、昨夜の件をもう調べているとは、今後も狙われる可能性があるということか、やっぱり1人残しておけばよかった。城の広場ではアルさん達がわいわい楽しそうにしている。
『おーやっと来たなハーン、おせーぞ、早く行こうぜ』アルさん達は皆顔に痣やらたんこぶやらを作っていた。それでも元気なアルさん達に頭を下げて謝った。そんなのいいから早くいこうぜというアルさん達と一緒に小さな馬車で出発した。
門のところにサチがいる。『はい』といって大きなバスケットを渡してくる、アルさん達からおおーっと歓声が上がる。
『気をつけてね』といって走り去っていった。中はお昼ご飯が入っていた。
アルさん達はサチちゃんのご飯はうめーから楽しみだと大騒ぎ、狭い馬車で暴れないでほしい。
例の遺跡がある森までは馬車を使えば夕方までにはつける距離、僕はアルさん達と他愛の無い話を聞きながら湖のそばでサチのお弁当を皆でおいしくいただいた。
皆大絶賛で僕は自分が作ったわけでもないのになぜか誇らしい気持ちになった。
日が傾く頃、僕らは予定通りに森のそばに到着した、アルさん達は手際よく夜営の準備を始めていく。
『ハーン、これからどうするんだ、用意された物の量じゃ明日の夜分くらいしかねーぞ』
心配そうに僕に尋ねるアルさんに僕はにこっと笑いながら。
『僕は今から森に入るからアルさん達はここで待ってて』
頭に強い衝撃が走る。僕の頭の上にはアルさんの拳骨があった。
『ばかやろー、お前がいくら強くてもこれから暗くなる。それを1人でいくだと、ばかは休み休みいいやがれ』
本気で怒っているアルさんに僕に考えがあること、危なくなれば必ず引き返すことを伝える。それでもアルさんは俺だけでも連れて行けと頑として聞き入れてくれない。
その気持ちはうれしいんだけどな…
見かねたほかの人たちがアルさんをなだめる。アルさんは背を向けて勝手にしやがれ、と背を向けてしまった。みんなが後は任せとけといってくれる。
アルさんの背中に後ろ髪を引かれながら森に入ろうとする。
『ここは俺達でしっかり守っとくから、危なくなったらちゃんと帰ってこいよ』
アルさんの声を背に森に走りだした。




