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嬉しそうに戻ってきたサチに手を引かれ、暗くなってきた街を2人で走る。『シスターがハーンと一緒なら安心だからって言ってくれたのよ』
遅くなっちゃったかしらと酒場に急ぐ、中からにぎやかな声が響く店の前に着くと、サチを息を整えながら、ここがアルさん達のたまり場なのよ。
猫の額亭、こじんまりとしたお店の中からは聞き覚えのある大きな笑い声が道に駄々漏れになっていた。
『ハーン、いつまで見てるの入ろうよ』僕の手を引き店に入る。
『おーサチちゃんじゃないか、ハーンもいるのか』僕はついでか…
手をつないでるのに気づいたみんながサチと僕を冷やかす。ぱっと手を離しすでに飲んでいるのか上機嫌のアルさんがそれを見て大笑い。それに対してサチの強烈な突っ込み、ひっくり返るアルさん更に酒場は大盛り上がりになった。
『何にするんだい』と酒場のマスターが渋い声でたずねてきたので、弱めの果実酒と適当なつまみを頼み席に着く。サチはすでに大きなコップを片手にアルさん達にからんでいる。
ふと、カウンターに座っている男と目が合う、となりにはメガネをかけたおとなしい女性。
背中に大きな剣を背負った男は僕に近づいてきてこういった。
『お前、強いな。それもとてつもなく』
僕はマスターが持ってきた果実酒を片手にそうでもないよと答える。
『ふーん、人の見立てには自信があるんだがな、お前とはどこかでまた合う気がするぜ』
そういって僕をじろじろ見た。
『俺の名はラスク、お前の名は』
『僕はハーン、ラスクさんは旅でもしているのかい』
『ま、そんなところだ。細かいことはいい、ここは酒場だ楽しく飲もうや』
にかっと人のよさそうな笑顔で僕はラスクと乾杯した、ラスクの後ろでメガネの女性が首を捕まえて『突然申し訳ありません』といって引きずっていった。引きずられながら手を振るラスクは声に出さずに、またな、といっていた。
ふとテーブルを見ると飲み物や食べ物が無い。気がつくとリーチェ達が飲み食いしていた。
『リーチェみんながびっくりするだろ』
僕は慌てて皆から見えないように皆を背にして3人に話しかける。
『大丈夫よ、私達は他の人には見えないから』気づくとヴァル少年もベアもいろんなテーブルからちょっとづつ食べものなどをいただいていた。
『声も聞こえないから大丈夫じゃ』ベアが言う、ベアはどうやって食べているんだろう…
疑問を持っているとふと声をかけられる。
『ハーン、誰としゃべっているのよ、こっち来て私と飲みなさい』
目の据わったサチに引きずられながら、リーチェは僕に手を振っていた。なんかさっき見たなこの光景…
僕達を冷やかすアルさん達を飲み比べでサチはひとりまたひとりと潰していく。気がつけばラスクたちは居なくなっており、酔いつぶれたアルさん達と残り物をつまむリーチェ達、笑いながら僕にお酒を注がせているサチがいた。
終わりはいつも突然訪れる…




