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部屋に戻った僕に待っていたのはニコニコしたサチが笑顔で差し出す本日2度目の昼食…
言えない、絶対に言えない。僕は空腹であるかのようにご飯を食べ続ける、鉤爪をつけたまま…
本当に手が自由だ、まるで身体の一部、それにしても僕の食べる姿を一瞬たりとも見のがさないくらいサチに見つめられている。お腹はいっぱいだけどおいしいから何とか食べることが出来ている、サチが料理上手で助かった。
『サチ、そんなに見られると食べにくいんだけど…』
『ハーン、おいしい』サチは聞く気が無いようだ。
2度目の食事を平らげて一息ついていると、片付けをしながらサチが話しかけてくる。
『ハーン、その爪綺麗な色ね』
『ああ、バロンさんは僕のためにあるような物だって言ってたよ』
そういいながら自分の腕を見ていると、あれだけの打ち合いをしたのに擦り傷ひとつ付いていない、綺麗だなっと見とれていると。
『ハーン、ハーンったら聞いてるの』目の前にサチが立っていた。
もう、ちょっとすねたように頬を膨らましながら、ハーンを守ってねと鉤爪をそっと撫でてサチは食器と共に出て行った。
お腹が苦しい…ちょっと横になろうかと思っていると、突然リーチェ達が現れた。
『ハーン、いいわね、これはいい物よ、美しい、美しすぎるわ』
『いいぜ、うらやましくなるぐらいいいぜ。これはバーンってやってゴーでも大丈夫だな』
『これほどの一品をくれるとは気前のいい男じゃな、本当にすばらしい品じゃ』
現れるなり、僕の腕をべたべたと触りまくる3人…
ひとしきり装備を褒めちぎった3人は満足したのか音もなく消えていった…なんだったのだろう。
ぼーっとしたい、今からはぼーっとしよう。そう心に決めた時。
『ハーン、女王陛下がバロンさん、ファミング様、そしてあなたを呼んでいるわ』
はぁー、ゆっくりしたい。
僕は女王陛下の間への門の前にはすでに僕以外の2人が着いていた、2人ともお互いのことをまったく気にしないよう立っている。
僕に気づいたバロンバロンが声をかけてくる。
『ハーン、遅かったじゃないか、その装備の付け心地はどうだ』ニコニコしながら僕に話しかけてくる。
『まるで身体の一部のようですよ、皆もいい物だって褒めてましたし』バロンはちょっと考え顔をしたが、すぐ笑顔でそうだろうそうだろうと嬉しそうにしていた。
『魔法を使うものが杖も使わずに、篭手だと。これだからものを知らないものは困る』
ファミングの奴は材質はともかく、魔法使いが杖を持っていないことを馬鹿にしているようで、こちらをチラッと見ると言い放った。
険悪な雰囲気が漂う中、音もなく扉が開かれる。広い空間の中に女王は近づく僕達を見ながら声をかけた。
『3人ともよく来た、困ったことが起きてな、まあ聞いてくれ』
女王のとなりの文官が説明を始める。
北の森の中で古い遺跡が偶然発見された、問題はその遺跡周辺には木々が生い茂り魔獣が出る為調査が出来ないこと。現在は南の国との戦争準備中で兵士を回すことが出来ないこと。過去の例から遺跡には国に役立つような宝が出ることもあることから、早く確保したいこと。見つけた狩人は仲間5人を犠牲にして何とか森を抜けたことが報告された。
『何があるのか、何がいるのかわからんが、わが国にとって有用なものが出れば…と思うと無視もできない。しかも森の深い位置…どうしたものかと思ってな。3人の意見を聞こうと思ったのだ』
女王はこちらを試すような顔で話しかけた。




