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食堂に着いた僕達はたくさんの騎士が座っている中を通り奥の全体が見渡せるテーブルへと案内された、それぞれの机にはすでに騎士たちが座っており、エリオットも僕と同じテーブルに座った。
『団長は所要があって遅くなる。皆先にいただくとしよう。その前に紹介しておきたい人がいる』
エリオットは僕を立たせてこういった。
『うわさで知っている者も多いと思うが、女王陛下の客人で私の剣を初見でかわすことが出来る方。ハーン殿だ、おぼえておくように』
騎士たちは口々に歓声を上げる、エリオットはうっすら笑みを浮かべて僕に一言どうぞといった。茶目っ気があるじゃないかエリオットめ、再戦のときはおぼえていろよ。
僕が立ち上がるとみんなの視線が一気に集まる、静まり返る食堂…これだけの騎士に見つめられるとさすがに緊張するな。気を張って僕は顔を上げる。
『皆さん、僕には力がある。しかし実戦経験もなくわからないことばかりです。そして僕には目的がある。そのために戦場に立つ必要があるのです。皆さんと一緒の戦場に立つことを許してください』
そういって頭を下げる僕に食堂は静まり返ったまま…
入り口からお腹に響くほどの声が聞こえる。
『我々の剣は』バロンさんは歩きながら問いかける。
『この国のために』騎士が一斉に立ち上がる。
『我々の盾は』バロンさんは食堂の中心を通りながら問いかける。
『民のために』騎士は両手を上げてそれに答える。
『あの門を開け放ち、この国を、民を守るのは誰だ』僕の横でバロンさんは問いかける。
『我々騎士の役目』騎士たちは僕達のほうを向いて両手を胸の前で打ち合わせた。
『目的は違えども同じ旗の下戦う者を我々は歓迎する』
バロンさんは圧倒されている僕に向かって手を差し出した。おもわずその手をとる。
騎士たちの歓声が巻き起こり興奮冷めやらぬまま昼食は開始された。
昼食を食べ終わり、騎士たちが僕に挨拶しながら出て行くとバロンさんは僕を連れて騎士団の訓練所へ向かうといって歩き出した。エリオットも僕と一緒についてくるようだ。
『いろいろ考えたのだが、ハーンは実戦経験が無いわりには動きがいい、それを活かすにはどうしたらいいかとな』
僕は薬草取りをしていたときのことを話しながらついていく。
『なるほど、獣相手にその身のこなしは身に付いたのですね』エリオットは納得いったように話しかけてくる。
『僕は逃げ回っていただけですよ、エリオットさんが感心するようなことは何もないですよ』
エリオットさんは私のことは呼び捨てでかまいませんよとさわやかに笑った。では僕も呼び捨てでと笑い返した。
そうこうしているうちに訓練所に到着する。バロンさんは不敵な笑みを浮かべいくつかある装備品の中から古い袋を取り出して僕とエリオットに近づく。
『団長は装備品の収集癖があって、普段は落ち着いているのですが、装備品のこととなると人が変わるのです』と僕にそっと耳打ちした。
『さあ、ハーンよこの一品を見てくれ。こいつをどう思う。すばらしいだろ。この漆黒ともいえる黒い艶、そしてこの鉤爪…この長さ、この曲がり具合…美しいと思わないか。それにこの質感をもってしてこの軽さ、この強度、私の収集物の中でも上位に入るこの姿…』
バロンは自分の世界に入ってしまって帰ってこない…
僕はエリオットと顔を見合わせる。




