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赤目のハーン  作者: SSS
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騎士団の皆が見守る中僕はエリオットと対峙する。

エリオットは剣だけ木の物に替えてその他の装備は通常の者を使っていた。

僕は良くわからないのでとりあえず何も持たずに構えを取る。


『始め』バロンさんの気合の乗った号令と共にエリオットは音もなく間合いを詰めてきた。盾に半身を隠し、僕は目の前に来たエリオットの見えない手があるであろう位置からぼんやり光るものを左目で感じ慌てて盾に自分からぶつかりにいった。


周囲から驚きの声が上がり、僕のいた位置にはエリオットの木剣が振り下ろされていた。

すぐさま僕から離れ盾を構えなおすエリオット。その顔には驚きと戸惑いが浮かんでいた。



しばらくお互いに顔を見合い、動けずにいると、『よし、そこまで』とバロンさんの終了の声が響く。

周囲がざわつく中、エリオットは僕に近づいてきてこういった。

『なぜ僕の剣が見切れたのですか、あなたからは剣の動きは見えなかったはず』

バロンさんも不思議そうな顔をしながら言葉を続けた。

『私が言うのもなんだが、エリオットのあの剣を初見で防いだ者はいても、かわせた者はいないほどの技…魔法とはそこまでのものなのか』


難しい顔をするバロンさんと明らかに自分の腕前に落胆しているエリオットさん。そんな2人を見て僕は話すべきか否かを迷っていた。


黙る僕を見ながら、木剣を握り締めるエリオットさん、きっと一生懸命努力してこの若さで副団長になるほど、僕にはわからないくらいに頑張っているに違いない…


僕はエリオットさんとバロンさんに近づき左目を指差した。


『エリオットさん、この左目を見てください…これがあなたの剣をかわせた理由です…』

2人は僕の真っ赤な左目を黙って見つめた。


僕は2人にこれはある者からもらった力で、相手の魔法の狙いや力の動きがぼんやりわかること、ファミングの奴の魔法もこの目で捉えたこと、剣の動き自体はまったく見えていなかったことを伝えた。


『きっと魔法使いのすべてが使えるものではないと思います、ファミングの奴がだいぶ驚いていたので。きっと僕だけなのでしょう、エリオットさんの剣をかわせたのは見えない手の位置がぼんやり光り、危ないと思ってとっさに飛び込んだだけのことです』


エリオットさんは少しほっとした表情をしながらもまだ動揺し、バロンさんは納得したのか一人うなずいていた。


『ハーン理屈はわからんが、それがお前だけのものであるならばそれを活かさない手は無い、装備の件は私に任せてみてもらえないか』

バロンさんはそういうとエリオットの肩を叩き、『エリオット、いつまでそうしている気だ、昼食を兼ねてハーンの歓迎会をやるぞ、私は武器庫に寄ってから行くから、食堂に案内しろ』


バロンさんは嬉しそうに装備についてぶつぶつ言いながらその場を後にした。


『ハーンさん団長もああいっていますのでお任せして大丈夫かと、食堂へご案内しますのでどうぞこちらへ』


若くても副団長をやっているだけあるのかエリオットからはすでに動揺は感じられず、隙の無い姿を取り戻していた。先を歩いていたがふと立ち止まり『装備が決まったら再戦をお願いしますね』と僕にだけ聞こえる程度の声でそう言うと、また歩き出した。

やっぱり、前線に出ている騎士団はすごいな。僕は素直にそう思いながら、エリオットの案内を聞いていた。


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