16
誰だろう、僕を読んでいる気がする、まだ眠たいな…
身体がゆらゆらする…ああ…ゆらゆらする…
僕が目を開けると、目の前にサチの顔が…
『きゃー』僕の顔は強制的に横を向き、窓が見えた。今日はいい天気みたいだな…
サチは突然僕をひっぱたいたことを謝りながらおろおろしている。
僕は気にしなくてもいいと告げてサチが用意してくれた朝ごはんを食べた…おいしい…
僕は黙々と食べ続ける。ふと横を見るとサチが嬉しそうに僕を見ている。
『ハーン、ほら口の周りについてる』そういいながら口元を拭いてくれる。照れる。
サチもやった後に気づいたようで2人して静かになってしまった。
僕はこの空気を変えようとサチに話しかけた。
『サチ、今日はどうしたらいいと思う、自由なのはいいけど何やっていいか迷うんだよね』
サチはしばらく考える仕草で黙りこみ、僕に聞いてきた。
『ハーンは戦場に立つってバロン様に聞いたわ、でも持ち物は何も無いのでしょう、装備がなければハーンが強くても危ないわ』
そういって、バロンのところで相談してはどうかと進めてくれた。私は片付けとかあるからとすまなそうにしていたので、気にしないでといってバロンのところへ行くことを伝えた。
赤い服を身にまとい僕は意気揚々と部屋を出る。
えーっと騎士団は確かこっちのほうだったかな、ブラブラ歩く僕を見てお城の人たちが『あれが赤い小人か』『聞いてたほど怖そうでも無いな』『でもあのファミング様を追い詰めるほどだぞ』
どんなうわさが広まっているのか、誰も僕に近づこうとはしない。遠巻きにひそひそ話し声が聞こえるだけ。まあ、静かでいいか。
しばらく歩くと、頑丈そうな扉の向こうから、金属を打ち鳴らすような音が聞こえてくる。間違いないかな。
『バロンさん、いますか』反応は無い。
『バーローンーさーん、ハーンですけど』さっきよりさらに大きな声で呼ぶ。
反応は無い。
しょうがないから、勝手に入らせてもらうか、扉を両手で押して何とか隙間を空ける。
気づけば金属の音はなく、僕に槍の束が向けられていた。
『やめよ、客人だ』バロンの声と同時に槍は一斉に収められ騎士たちは綺麗に隊列を組んでバロンを中心に左右に並んだ。
『ハーンよく来てくれたな、でもそこの門は出陣の際に使う門で騎士たちとって大事な門だから、これからは勝手口から入るといい』
バロンは騎士たちに号令を出し訓練に戻した。
『早く来てくれたのは嬉しいがいったいどうした、前もって言ってくれれば歓迎の準備をしたのに』
『急に来て迷惑だったかな、ちょっと相談があってね』
僕はバロンさんに事情を話して戦場についてと装備について相談してみた。
『うーん魔法は専門外だからな、どんなスタイルで戦うかにもよるな』
バロンさんはしばらく考えて一人の騎士を呼んだ。
『こいつはうちの副団長のエリオットだ、若いがいい腕をしている、ハーン胸を貸してやってくれ、魔法使いと戦うのはこいつにもいい経験になるだろうからな、ハーンの装備の参考になるだろう』
『副団長のエリオットです。よろしくお願いします』
すらっとした長身の青年は隙が無い姿で僕に一礼した。
『よろしくお願いします』成り行きとはいえ、僕は模擬戦を行うことになった。




