14
僕は街を目指して歩き出してふと気づく、場所がわからないや。
どうしようかと思っていると城門のところにいる集団の中に見知った顔を見つけた。
相手もこちらに気づいた様で声をかけてくる。
『おーい、ハーンじゃないか聞いたぜ、お前強かったんだな。ファミングの野郎にひとあわ吹かせたらしいじゃないか』
アルさんは心から嬉しそうに僕に声をかける。もう知っているのか、噂話は広まるのが早いな。
それどころじゃない、僕はアルさんに孤児院の場所を聞いてみる。
『ひょっとしてサチちゃんとなんかあったのか、さっき泣きながら走っていったから、始めてみるぜあんなサチちゃんは。いくらハーンでもサチちゃん泣かせたんならゆるさねーぞ』
みんなに取り囲まれる僕、アルさん達に事情は後で話すからといって場所だけ教えてもらう。
なんで僕が怒られるんだ、だんだん腹が立ってきた。絶対文句を言ってやる。
孤児院に向かう途中、路地の奥から聞き覚えのある声が聞こえる。
『やめてください、嫌、離して』
この声は…
僕は路地の奥へと駆け出した…そこには大柄な男3人に囲まれるサチュリスの姿。
男の一人が僕に気づき『なんだおまえ、俺達は忙しいんだこのねーちゃんと楽しく遊ばないといけないからな』男達は品の無い声で笑い出した。
『その手を離せ、容赦はしない』
僕は足を止めずに力を引き出す、腕に赤い炎を纏わせる、相手が驚く間も与えずに3人の男は胸に穴を開け静かに倒れる。
それを見たサチュリスも気を失い倒れる、僕はサチュリスを何とか支えようとするが身体に力が入らず一緒に倒れてしまう。動けない…サチュリスがそこまで重いとは思えないが動けない…
頭の中を殴られたような音量で声がする。
『ハーン、馬鹿なの、あんたは馬鹿なのね、早く魂を吸収しなさい、死ぬ気なの』
『ハーンよ門の中に吸い込むような感覚じゃ、急げ本当に消えてしまうぞ』
僕は左目に見えるぼんやりしたモノを門の中に吸い込み取り込むように考える。ぼんやりしたものが僕の身体に入っていった。
『力は無限ではないのよ、ただでさえ漏れているのに、補給無しで無茶しないの馬鹿ね』
ヴァル少年の笑い声が頭に響き渡る中。
『力の使いすぎには注意することじゃ』ベアの声を最後に声は聞こえなくなった。
僕は気を失ったサチュリスを何とか背負い孤児院を目指して歩き出した。
孤児院に着くと修道服を着た女性が迎え入れてくれた。サチュリスを寝かせて事情を説明し起きるのを待たしてもらうことにした。
『サチがご迷惑をおかけしました、どうにも一人で抱え込んで頑張りすぎるところがある子で…』
サチを優しい目で見ながらそう言った。でもこの子が頑張ってくれてるからここにいる私達は生きていけるのだけれど、この子にばかり負担をかけてしまってと申し訳なさそうにサチュリスの頭を撫でた。
最近は街の中も物騒になってきてこれからどうなるのかしらとつぶやく。
僕は女性にサチュリスが起きたらすまなかったと伝えてもらえないか頼み、孤児院を後にした。
どこをどう歩いたのかわからないが僕は結構な時間街をふらついていた、空が茜色に染まる頃、僕は空を見上げ今日一日を振り返っていた。
とりあえず城に戻るか、僕は夕日に染まる城を目指した。




