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『それでは、ハーン様にご説明させていただきます』
サチュリスは僕にこの城のことを説明しだした、この城は北側に女王の住む先ほどまでいた広間がある場所と東側にファミングが管理する少数精鋭の魔術師塔、その反対、西側にバロンが管理する騎士団の詰め所があり、南側にはアルさん達が訓練していた広い訓練所があり城門も南側で街に出るにはそこしか通れないようになっている。
僕は基本的には女王の部屋や個人の部屋以外の出入りは自由にしてよいと許可が出ていること、街への外出も自由、必要なものはサチュリスに言えばよいとの事などを聞いていると、扉を叩く音がする。サチュリスはすっと扉まで行き扉越しに相手を確認する。
『バロン様がハーン様にお会いしたいそうですが、いかが致しましょうか』
思ったより早いな、僕はサチュリスに会うと伝える。
『すまないなハーン殿、少し話がしたくて、押しかけてすまなかった』
広間での隙の無い感じから、だいぶ印象が変わるな、僕は警戒しながらも人のいい雰囲気に戸惑っていると突然バロンさんは頭を下げる。
慌てるサチュリス、僕は状況がわからずにいた。
『バロン様いくら女王陛下のお客様とはいえどうされたのです』
『これはこの国のためにも必要なこと、サチもわかるであろうこの国の行く末を…ハーン殿どうか力を貸していただきたい、今のままではこの国の民はいずれ飢え苦しむことになる、それでは先王にあの世で合わせる顔が無い』
サチュリスもバロンさんの横に立ち『どうか、お力をお貸しください』と頭を下げた。
僕は笑いながら『頭を上げてください、何を頼みたいかわからないけど、僕には僕の目的がある。話を聞かせてください』
バロンさんはこの国の現状を話し出した。侵略のために街の者まで兵士にしたて国民は疲弊していること、多くの国民が不満を持っていながら女王に逆らえないこと、中にはみせしめのために反逆の濡れ衣を着せられ殺されることもあること。
先王は国民を大切にしていたこと。バロンさんは先王への恩がありこの国にとどまっていることなど色々話してくれた。
真剣な表情で話を聞く僕にサチュリスは期待を込めたまなざしでこちらを見つめている。
話を聞いた僕はバロンさんにこう答えた。
『僕には力になれないと思います』
サチュリスはそれを聞くと『あなたは多くの人が苦しんでいるのに…力があるのに…』
そして、走って部屋から出て行ってしまった。
『ハーン殿、悪かったサチは戦争で両親を無くしていてな、気丈にふるまっているが年頃の娘だ、いつも自分の無力さを嘆いているのだよ』
『バロンさん、僕のことはハーンと呼んでください、サチュリスは誤解しているようですが、僕は考える時間が欲しいのです』
バロンさんは静かにうなづき、考えてみてくれといった。そしてサチュリスはきっと街の孤児院に行ったのだろうと教えてくれた。
僕はバロンさんに礼をいい、サチュリスを追いかけようとした。
『魔術師塔には近づかないほうがいい、あそこはファミングの城みたいなものだ、あの男がこのまま静かにしているとも思えんからな、私に用があれば騎士団詰め所までくるといい、歓迎しよう』
僕はバロンさんに頭を下げサチュリスを追いかけた。




