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僕のそばに氷の壁が出来上がる、ファミングは驚いて声も出ない、手をかざし氷の壁を消し飛ばす。
ファミングは一度距離をとり僕を睨みつける、両手の光が増し、青い流れが僕へ向かって放たれる…狙いは僕の足元か…
昨日、アルさんの足を凍りつかせた時には見えなかった青い流れ。今は見える。頭の中にリーチェたちの声が響く。
その赤い左目はプレゼントよ、だって。頭の中で『ありがとう』とつぶやき。僕は目を見開いた。
僕の手が光り奴の青い流れに赤い流れをぶつけてやる。一瞬氷になりすぐに霧散する。
誰も動かない、いや動けないかな。
魔法は自身の流れしか見えないはず、なのに正確にファミングの魔法を打ち消す僕に魔法を使えるものはなぜそんなことが出来るのか理解できずに表情を強ばらせ、魔法を使えないものはただただなにがやり取りされているのかわからずに焦るファミングを見ている。
『なぜだ、なぜ私の狙いがわかる、お前はいったいなにものだ』僕に向かってファミングが怒鳴る。ありえない、ありえないとぶつぶつ言いながらも僕を睨んだまま杖を構える。
杖に集まる強い光、周囲のものが慌てて広間の隅々に逃げ出す。
『お前は危険な存在だ、この場で殺す』ファミングは何か呪文のようなものを唱えだし、自身の体中に青い流れを作り出した。やがてファミングの周りには氷の矢がたくさん浮かんでいた。
僕はその矢を観察する、さっきの見えない青い流れとは比べ物にならないほどの色の濃さ、本気で僕を殺す気か…おもしろい…
せっかく殺す気できてくれるんだ、この国一番相手に自分の力を試せるならありがたい。
僕はファミングに向けて満面の笑みで声をかける。
『僕の練習に付き合ってくれてありがとう』
その言葉が引き金になって氷の矢が僕めがけて放たれる。僕は頭の中で門を開き身体に力を呼び込む。身体に満ちる力の流れ、その流れに赤い色をつける…
僕の身体が炎に包まれる、氷の矢が僕に届くことはなく消え去った。
肩で息をしているファミングに僕は炎を一本の短剣に変化させ迷いなく突き出す…
『ファミングよ、これはいったい何の騒ぎだ、答えよ』
白髪の全身鎧の男が僕と奴の間に割って入った、頑丈そうな盾には僕の短剣が深く突き刺ささっていた。
『バロン殿…礼は言いませんぞ』ファミングの奴は下がりながら僕等から離れた。
僕はバロンと呼ばれた騎士を見る、バロンは僕に顔を近づけ周囲に聞かれないほどの小声で『また後でな』といった。
『女王陛下、この騒ぎはいったい何事ですか説明をお願いしたい』
『カミュよ、この者が例の村消失をやったと申すのでな、プラシィが力量を測っておったところじゃ』
何も問題ないといった様子で女王はバロンに話しかける。
『しかしながら、私が騒ぎを聞き割って入らなければファミングが殺されていたのでは、ファミングもとても力量を試していたとは…』
『バロン殿、バロン殿の介入なくともあの程度で私が殺されるなどありえません』
2人の間に険悪な雰囲気が漂う。
『プラシィもカミュもやめよ、結果がどうであれこの者が私にとって有益であることには変わらん、そういえば名も聞いていなかったな赤い小人よ』
『僕の名はハーンと申します』僕は女王をまっすぐ見つめたままそう答えた。




