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こうして僕は力の使い方を感覚で覚えた、本当の地獄はそれからだった…
リーチェ先生による身体で覚える力の使い方口座…鞭は痛かった…
気を失うことも許されない絶妙な鞭さばき、身体に刻まれる鞭のあと…
後半は高笑いの恍惚とした表情のリーチェ…
深夜に満足するまで続いた。
その後はベア先生による言葉の牢獄、眠い、ただひたすら眠い、そしてひとつのことを説明するのに歴史や語源がいるのだろうか…はっ。危ない危ない、でもベア先生は最終的には自分語りの世界に浸ってしまった。ほったらかしの僕に近づく人影。
ヴァル先生は…先生ではなかった…
ゴー、ゴー、ゴー、ゴー…
僕は薄明るくなった外を見ながら、頭の中の本を読むことにした。
満ち足りた表情で眠るリーチェ、自分に酔っているベア、元気いっぱいゴーというヴァル少年。
僕は小声で聞こえないように『ありがとう、よろしく』とつぶやき、頭の本を読み進めた。
新しい夜明けが小鳥の声に乗ってやってくる。ここから始まるんだ僕の僕による僕のための時間が。
人の気配が近づいてくる、ガシャガシャ音を立ててピカピカした集団が入ってくる。
ファミングの奴だ、僕のことを見下しながら取り巻き連中に命令が飛ぶ。
気がつけばリーチェたちは居なくなっていた。
『さあ、そこの汚い小人を連れて来い』
取り巻き立ちに小突かれながら僕は牢屋から出てついて行く、よく見れば僕は赤いぼろぼろの格好で歩かされていた。
城の広場にはアルさん達が訓練をしているみたいだった、僕に気づいたアルさん達が手を振ってくれる。
『雑魚共、弱いお前たちは土にまみれて訓練していろ、休むな』
ファミングは吐き捨てるようにアルさん達に言い放ち、先に進んでいった。
取り巻き達とにらみ合いながらアルさん達はそれでも僕に手を振り続けてくれた。
どれくらい歩いただろう、結構広いなこの城、ひときわ大きな扉の前に着く。
『ファミング・プラシィが女王陛下に謁見しに来たと伝えろ』
扉の前の兵士が敬礼をした。
音もなく扉が開く。広間の一番高いところにある、豪華な椅子、そこに鎮座する人の顔を見ようとする僕をファミングは手持ちの杖で押さえつけた。
『女王陛下の御前だ、頭を上げるな』頭がガンガンする。嫌な奴だ、ほんとに嫌な奴だ。
ファミングの奴は流れるような甘い声で語りだした。
『女王陛下の命により、このファミング例の村を探し回り、すべてが消え去った村からこの者を発見いたしました。これもすべて女王陛下のため。真実をあなた様の目の前で明らかにするため、今この場でこの者の取調べを行うお許しを頂きたい』
ファミングの奴楽しそうにしゃべってるな、アルさん達が二枚舌って呼んでたのが良くわかる。気持ち悪い。
力強い女性の声がする。凛としたすべてを見抜くかのような声。
『プラシイ、よくやりました。許しましょう。今、私の目の前で明らかになさい』
甘くささやくような声でファミングに語る。
『そこの小人、真実を話すように』
冷たい、底冷えするような声で僕に短く吐き捨てる。
でも僕は動じない、姿は見えないけれど、僕にはリーチェが、ベアが、一応ヴァル少年もついている。僕は何も出来ない小人じゃない…もう迷わない、僕はもう…




