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全ての繋がる物語  作者: 柳葉揺
世界崩壊
8/16

―当日、決戦―


「そらよっ!」


アルスが槍を突き出し、


「はあ!」


ファイが双剣で連続斬りの態勢に入り、


「水撃と共に…(みずち)!」


水撃を伴った矢が飛ぶ。その三人の攻撃が当たる寸前──。


「効かぬわ!」


濃縮された静電気の様な音と共にオーラを纏い、攻撃の全てが弾かれた。


「うおっ!」


それに弾かれ、元の位置に戻される。どうしようかと思考していると顔をしかめていた彰吾が何かを閃いた。


「んー…何か臭うな…ちょっと前線は任せた!」

「あん?よく分からんが任せろ!」

「何なの…攻撃が通らないって!」

「慌てるな。どこかに仕掛けがあるはずだ」


慌てるファイにそう声をかけるアルスの言葉に、ガブリエルが反応を見せる。


「おや…。気付きましたか。ですが気が付いただけでは事態は好転しませんよ?」


すると隣にいたアルスが口角を上げた。


「そいつはどうかな?」

「何?」

「あいつはなぁ…誰も思わないようなタイミングとかで来るんだぜ?」


ガブリエルが疑問符を浮かべていると、ニヒルな笑みでアルスが見返した。


「何せオレが二番目に信頼してんだかんな」

「弓の集い手、射ぬけ!星屑スターダスト!」


初めの時と同じく片翼に数本の矢が突き刺さる。ダメージよりも矢が刺さったことにガブリエルは動揺する。


「クッ…守護の力が…!?」


不意討ちに防御が間に合わず、直撃を受け、苦悶の声を上げるガブリエル。


「よし、右の翼が使い物にならなくなったな!」


それに続くように飛び上がり攻撃を仕掛ける。


「ふはははは!」


悪役顔負けの勢いで高笑いしながら目にも止まらぬ勢いで一気に刻む。月明かりを受け、硝子槍が光り輝く。


「あたしを忘れないでよね!」


少し落下したところを一瞬で背後に回り込み、双剣を背中に叩きつける。


「クッ……。人間如きが…」


態勢を直し飛び上がったところでガラスが割れるような甲高い音がした。


「まさか!?」

「言っただろ?それはどうかなって」


ガブリエルが塔の方を見る。すると、ガブリエルの配下と思われる天使が塔から落とされた。


「ほい、こいつでネタバレだ。こいつらが守護のトリックだったんだな」


するとガブリエルの中の線が一本切れたように話しだした。


「人間め……。我を倒すことなど不可能!!死して悔いよ!」


大きく翼をはためかせて飛び上がり力を溜め始める。それに対し、アルスが挑発を仕掛ける。


「ったく、アホかっての。神様に見放されようが、オレたちは自分の手で道を切り開く!!お前らなんかお呼びじゃねぇんだよ!!」


すると距離が離れているにも関わらず、ブチッと切れた音がした。


「………れ。……………黙れクズ共────!!!!」


沸点に達したのか絶叫と共に光が辺りを覆うと大地が咆哮し始めた。


「な…何!?城が崩れ始めてる…?」


それにアルスがペンダントを掴み叫ぶ。


「クッ……ぶっつけ本番上等!幻魔の幻、ここに祓え!!」


城が跳ねるかのように一度揺れると城の揺れが止まった。


「アルス…すごい…!」

「ペンダントの力か?」

「まぁな。さて、気を抜くな。また来るぞ!!」


前に向き直ると苛立った様子で手をかざすと、またしても大地に振動が起こり始める。


「滅べ!滅べ!!滅べ!!!全て無に帰してしまえ!!!!」

「無駄だっての!」


揺れを一切意に介さず彰吾が懐から紙を取り出し、何かを描くと、揺れが止まっていた。


「幻術で心を砕こうなんて、オレらには効かねぇよ。術祓いは割と得意分野なんでな」


それに歓喜の声を上げ、張り切るファイ。


「凄い…、私も負けない!」


タンと軽い跳躍。そしてポーチに仕込んでおいた短剣を取り出し軽く投げる。


「ふん、見くびるな!」


その短剣をかわし、今度はガブリエルがファイに突っ込んできた。ニヤリと笑い、ファイは迎撃の態勢を取る。


「ふっ!」


短い吐息と共に短剣をもう一度投げる。特攻のスピードが重なり、避けられないと分かると素手でそれを弾く。


「このようなもの、我には効か……ぬ!?」


ガクンと態勢が崩れる。それにファイはクスクス笑いだした。


「今のが本命なのよ。痺れ毒と神経毒の入った、私特注の毒のね。素手で弾くなんて……一番その毒の回りを早くする方法でやってくれるなんてね」


「クッ…、人が……我の使命の邪魔をするな──!!!」


バサッと大きく翼をはばたかせ、上昇する。ところが、ある一定の高さで炎の幕が覆った。


「これだけやらかして逃がすわけないだろ?」


真っ黒な笑顔でそう言ったのはアルスだった。黒い笑みが非常に怖い。


「炎の結界だ。ペンダントの力の一つみたいで、相当強力で助かる」


結界の中で若干もがくガブリエル。そこにまたしても声が響いた。


「バカみてぇなその場しのぎは止めろよ。また他のとこでも起きるぞ!」


むしろ諦めさせる方向に走る彰吾。


「今!この瞬間にも生きている人はごまんといる!!」


肩を震わせ叫ぶファイ。


「人が生きることを諦めないかぎり、滅びさせやしない!人の裁き、受けさせてやる!!」


全員が一様に帰れと告げるとガブリエルは下に俯いた。


「……………………


ククク……」


長い沈黙の後に徐々に笑いだした。


「ハーハッハッハッ!!!!私はもはや貴様らに絶望した!!!!私はどうなろうと、神の裁きの名の元に人を滅ぼす!!!!」


閃光が周囲を包み、再び地面が振動を始めた。

崩壊まで────五分


狂ったかのように自暴自棄になりながら叫ぶガブリエル


「もう貴様らにも飽いたわ!もはや宇宙の塵と化すがよい!!」


徐々に視界の端から塵が浮かび上がり、振動が酷くなる。


「こいつは……幻術じゃねえな。こりゃマジだ。奴め、どうなっても壊す気だな。けど大陸が大きい分ちょっと時間はあるな」

「どうしよう…。このままじゃ、今まで頑張ってきたのがパーになっちゃう!!」


冷静に状況分析する彰吾と慌てて戸惑うファイ。


「……」


下を向き、何かを考えるアルス。やがて、アルスが決意した目で顔を上げ、切り出した。


「方法が…一つだけある」

「本当!?アルス。どうすれば…」


そうすると非常にあっけらかんとした声で答えた。


「崩壊はあの天使が引き起こしている。なら、天使を一撃で倒せば事足りる」

「それが出来りゃ苦労しないけどな。元々あいつはいつだって滅ぼせる中退屈しのぎに俺らの相手だったからな。出来レースにもほどがある」


それに二人が頷いた。


「で、具体的に?」


彰吾の問いに対して、またしてもあっさり答えた。


「簡単だ。ただ──────


見てりゃいい」


「ちょっと待っ「氷壁よ」


甲高い音を立て、一瞬後にはアルスとファイたちの方には氷の壁が出来ていた。


「アルス!?」


氷壁を叩くファイ。そして悲しそうにペンダントを握ったままのアルスが振り返った。


「悪いな、お前らを巻き込んじまって」

「そんなの今さら気にしてない!!いいからこの壁を溶かして!!」


そしてフッと悲しそうに笑い、ファイに氷越しに近寄る。


「ファイ。今まで─ありがとう。お前がいたから、ここまで戦えた。そして、お前がいるからこそ、この決断に踏み切れた。死んでも、お前のいるこの世界を守り通す」


スッとポケットから小瓶を取り出す。それに彰吾が青ざめる。


「キャパオーバーだ!本気で使うバカがあるか!!」

「あ、あれってなんなの!?」

「俺特製の限界突破の薬だ。肉体には常に制限がかかる。その制限を一時的に取っ払うけど代償が大きい。あいつの身体はもう限界なんだよ!」

「それって……!アルス!やめて!!」


それを聞かず、小瓶の中の錠剤をあるだけ飲む。アルスの髪が黒く変わり、瞳の色が紅く変わった。ファイの方をもう一度向きそっと笑う。


「好きだ」

「!!」


誤魔化すように天使を見据える。そして、


「じゃあな」


槍を携え、ガブリエルと同じ視点まで飛び上がる。そして筋繊維が悲鳴を上げるほど体を捻る。


「この血の戒めよ……。今こそ我が身に宿せ!!」


アルスの身体から禍禍しい黒い波が湧き立ち、あっという間に槍に取り込まれる。


「呪われし我が力よ…、大切な人を守る力となれ!!」


黒い波が槍の中で乱反射したかと思うと飽和した分の波が槍全体を覆い尽くす。そして解き放つ。


「ヴァーン・クロウス・フレア!!!」


その槍は朝日が差し掛けていた光を覆い隠すほどの黒波を放ちガブリエルの体内へと入りこむ。乱反射をしていたものが体内に取り込まれる――つまりは、同じことが肉体で起こる。


「ギャアアアアアアアアア!!!!」


いくら天子と言えども耐え切れず、内側から破裂するように天使を引き裂いた。引き裂かれた天使は無数の純白の羽となって降り注いだ。激しかった振動もついに収まり、静寂を取り戻す世界。その中で。


「アルスーーー!!!!!!!!」


少女の絶望的な悲鳴が響いた。駆け寄って抱え上げても反応が無い。皮膚は元々黒いのに磨きがかかったように更に黒く焦げ、情熱家の様な面を持っていた瞳は開くことを知らず、安心させてくれるような温もりの代わりに絶望に追い込むような体温の低下。揺さ振り起こそうとするファイ。


「アルス…?ねぇ、アルス…!嘘だよね…!倒して疲れたから寝てるだけだよね…?起きてよ…!アルスーーーーー!!!!」


ファイの声は、虚しく広い空にかき消された。号泣を越え、慟哭するファイ。その時、ゴトと重い音を立て、ファイのポーチから像のようなものが落ちた。


「んだこりゃ?」


彰吾が何でこんなものを持っているかの疑問が出る寸前何かに気が付く。止まることを知らないファイの涙がダークスピリチュアル像の上に落ちた。その瞬間、まばゆいばかりの閃光が周囲を支配した。


「!!」


希望を零したのは彰吾だった。


「あれま。随分前にオレが弓で射ち貫いたはずだったんだけどな…」


一つ息を正してファイに告げる。


「こいつは……死反し(まかるがえし)の儀式…!」


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