序幕~滅亡 希望の灯火~
その日、城下町は炎に包まれた
やめろ!やめてく───グアァァ!!
この子だけは!この子だけは──イヤァァァァァ!!
剣に付着した血を払いもせず殺した数多の死体の一体の頭をグシャリと踏み潰す。辺りに鮮血が飛び散ることも気にせず不快そうにその男は言う。
「ケッ……、こんな平和ボケした国なんざ下らねぇ…。オレが変えてやるよ!!」
そう言いながら自らの配下と共に城内へと攻め込んだ。
一方の城内
「陛下!もうすぐそこにクーデターの奴らが来ております!」
「なんと!…こうなれば、ソルク、お前だけでも逃げろ!!」
その言葉に少女は首を横に振った
「嫌だ!!父様たちとここにいる!!」
「ワガママを言うものではない!!……デュールよ、此処には何人いる」
「みな遠征などで出払っています。多く見積もっても百…いるかいないかでしょう……」
デュールと呼ばれた人物は沈痛な面持ちで答える。
「分かった。ワシが囮となろう。他の者はソルクを護衛しつつ隣国に亡命をしろ」
「陛下!?」
「父様!?」
その指示に全員が驚く。しかし国王もまた、毅然とした声で続けた。
「これは国王としての命令だ!それに、ワシの最期の命だ。聞いてくれるな?」
「……御意にございます」
「ならば、ソルク。お前にこれを。きっとお前を導いてくれるはずだ」
「嫌だよ…。父様……」
「さぁ早く行け!!そこの壁に隠し扉がある。合言葉は『─────』」
唱えられると隅の石造りの一部がずれ、音を立て隠し扉が開く。
「早く行け!!!」
全員がそこから走って逃げる。
「父様─────────!!!!」
少女の絶叫。しかし、
「姫様、お許しを!」
デュールが首筋に手刀を落として気絶させる。
「うっ!─と……う…………さま」
少女は最後に父のことを呼び気を失った。それと同時に隠し扉が閉まり侵入者からその姿を隠す。そしてクーデターの首謀者が謁見の間に飛び込んでくる。
「見つけたぞ!死ね!!」
袈裟に凶刃が深々と振り下ろされる。
「ガハァァァ……!!」
鮮血が玉座に飛び散り王は絶命する。その様に首謀者の男は高笑いをした。
「ハハハハハハ!!!!この国は墜ちた!!!!」




