─七日─
此処はある巨大な王国。沢山の物が集まったりするこの国の城で、ごく内密に静粛な中、ある事が話される。
「離せ!!てめぇら…人を散々煙たがったくせに、都合のいい時だけこうすんのかよ!!」
静…粛…?
「黙れ!国王陛下の御前ぞ!!」
その暴言に兵士の一人が青年の首元に槍を向ける
「よい」
国王はその兵士をなだめ下がらせると、青年──アルスに改めて話し掛けた。
「アルス。実は、主に頼みたい事があるのじゃ」
「ハッ。誰がんなもん受けるかってんだ」
唾と一緒にはき捨てる。普段ならそのまま気にも止めず、一笑に付し、ずかずか謁見の間から出ていくとこだ。しかし踏み出した直後に聞こえた言葉に耳を疑った。
「世界崩壊まで数日と言うのにか?」
「んだと?」
帰るのを遮られるタイミングで言われ、ムッとした声で聞き返す。
「うむ。我が王家の文献によると、『蛮族と呼ばれし青年、世の危機に王の命でそれを止めるため立ち上がる。ある少女と共に国を救い英雄となる』と書かれておる」
「ハッ。それがオレとでも言うのか?馬鹿馬鹿しい。そんな虫のいい話が─」
あるはずがねぇと続けようとしたところで、国王は語頭を強めて言ってきた。
「事実!お前は蛮族と呼ばれた。少女というのはまだ分からぬが…まぁ、その内出会うであろう。それでは──」
「待て!オレは別に引き受けるとは言ってねぇぞ!!それに、オレと同年代の奴がこの場に居ねぇのは何でだ!」
話を勝手に進められ、怒号と共に、気になっていたことを問い掛ける。
「他の者には他に用事があるそうじゃ。超特例の密命がな。それに、他の者を待つほど余裕が無いのじゃ。この所地震が頻発しているじゃろう?」
「それが?」
「それは、周辺の島々が塵になっているのじゃ。それも、一日一回のペースでな。私はこの調子で地震が起これば七回目でこの大陸が塵と化し、世界が滅びると推察する」
「───!!」
「陛下!?」
その言葉に動揺するアルスと兵士たち。それと同時にアルスは臍を固めるようにため息を吐いた。
「引き受けてくれるな…?」
「チッ…。仕方ねぇ…」
同時刻
轟音を伴い、島が砂となり消え去っていく。その様子を冷淡な瞳で見下ろし、翼を持つ生命体は淡々と呟く。
「神の裁きからは逃れられない…」
その一言を残し、生命体は翼を翻し空の彼方へ飛んでいった。