日常3(謎の人2より)
「まぁき♪」
聞くからに機嫌の良さそうな、なにかたくらんでそうな声に思わず身をすくめる。
「誠さん…今日はいったいなんなんですか」
「やだなぁ そんなに警戒しなくてもいいじゃない?」
いや、します。
今までの経験からしないという方が無理です。
がしっと首に手をまわされ、誠さんはきょろきょろ辺りを見回すと声をひそめ
「京都…楽しかった?」
「!?」
どこからもれた!?
「やだなぁ、俺と槇は親友だと思ってたのに隠すなんてさ~」
そう言いながら手に力をぐいぐいこめてくる。
痛いですって!
「……楽しかったですよ」
「うんうんだろうね、だろうね~♪……で?」
「で…とは?」
「ここまできて誤魔化しっこはなしなし。
真澄ちゃんも一緒だった…でしょ?」
「黙秘権を行使させていただきます」
「またー?前も黙秘権使ったじゃん」
「なんといわれようと喋るつもりはありません!!」
「ふーん」
「…誠さん?」
にやりと笑う その笑顔が怪しい。
「いいもーん 真琴ちゃんに聞くもーん。
あの二人仲良しだからきっと喋ってるだろうし~」
その言葉に若干血の気がひいたのがわかる。
いや、まて俺、落ち着け俺。
誠さんの言動に惑わされるな。
真澄ちゃんはそんなのベラベラ喋る子じゃないし、
仮に駿河さんに喋っていたとしても
あの良識ある駿河さんが誠さんに喋るわけがない。
「駿河さんが喋ってくれるといいですね」
そう切り返すととたんにむぅといった顔つきになる。
誠さん、野郎がそんな顔してもかわいくありません。
「えー、俺は純粋に友のことを心配してるだけなのにー」
「その心配に関しては不要です!」
ふと思う。
この人は駿河さんにかまってもらえない時に俺のとこにくるんじゃないのかと。
そう思うと駿河さんになんの恨みもないけれど
恨み言の1つもいいたくなるってもんだ。
でもそうすると誠さんのことも話さなきゃいけないので
あの二人がひっつく確率はますます低くなるわけで
ひっついてくれないと誠さんの興味もこっちから離れてくれないわけで・・・
思いがけないジレンマに胸の奥がもやもやとしてしまう。
「誠さん、あんまり変なことばっかり聞いてくるなら考えがあります」
「何?」
「誠さんが真澄ちゃんとの進展状況を聞きたがって困ってると駿河さんに言いますよ」
「え?」
「駿河さんは真澄ちゃんに優しいからきっと笑顔で誠さんを出迎えてくれるでしょうね」
「え?ちょっ…」
「目は笑ってないと思いますよ?」
「えええ!?」
あわあわし出した誠さんに少しだけ溜飲を下げる。
まったくこの人は後先考えてないというかなんと言うか
「わかった、京都の件は聞かない!だから真琴ちゃんにも黙ってて!」
「わかってもらえたんならいいんです」
「でもさ、話せるようになったら話してよね?俺待ってるから!」
「誠さん!」
結局何もかわらない。
誠さんの性格上かわらない。
駿河さんには悪いけど早くひっついてこっちへの興味を持たないでくれるよう
神社に願掛けしに行こうと密かに心に誓った。
この二人を書くとどうしてもこうなってしまう…
頑張れ!槇!!(笑)