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バレンタインは

お待たせいたしました。

少し早いですがバレンタインのお話を投稿させていただきます。

よろしかったら感想などいただけると、とっても嬉しいです

ゴクリ


目の前の光景に知らず知らず喉が鳴る。

今までは大手スーパーの特設コーナーで買っていたので

まさかデパートの特設コーナーがこんなことになっているだなんて想像もしていなかった。


でも少しでも、どうせ食べてもらうなら美味しいものの方がいい。


そう思い、バイト代も入ったので少し奮発しようと初めてデパートに足を向けてみて・・・


「あそこは女の戦場よ?行くなら覚悟して行ってらっしゃい」


助言してくれた姉とも思える人の声が頭の中を反響する。

私は目の前の光景にただただ唖然としていた。


どこから現れたのか特設コーナーに溢れかえる女性達の姿。

普通の満員電車なんて甘えだと思えるくらいの熱気に足が止まる。


でもこの中に行かねばならない。


この光景を見るまでは、普通に行って吟味して、買い求めて。

そう思っていたのだけれど、試食を持って出てきた販売員さんはあっという間に黒山に包まれる。

次の瞬間、トレーの上は空っぽで。


正直自分の認識が甘かったと考えを改めざるを得ない。


でも、でも笑顔が見たいから

美味しいの一言が聞きたいから


私はよしと小さくつぶやくとその人の波に身体をねじ込ませた。


普通の女性より少し背が高かったのを今日ほど感謝したことはない。

おかげで押しつぶされながらも酸素は吸えていたし、

少し遠くのコーナーの商品も見ることができた。

試食を見つけたら頑張って試食して、

人の波をかき分けてコーナーの前で商品を見て

どのくらい時間がたったのか。


熱気でほてった顔、そしてなんとか買えた小さな袋。

潰されないように必死で守ったかいがあったのかシワ1つない。


少し離れた柱によりかかり、時計を見ると2時間がたっていた。

待ち合わせしている時間まで後少ししかない。


疲れきった身体に気合をこめて私は柱からその身を引き剥がした。





「・・・真澄ちゃん、お疲れ様」


約束の時間ギリギリについた私を見るなり真琴さんが発した言葉。

その言葉に安堵し、座り込みたくなる。


「ほら、もう予約時間だから中に入りましょ?」

「・・・はい」


案内されたテーブルで行儀が悪いとわかっていても突っ伏してしまう。

そんな私を見て真琴さんはくすくす笑う。


「だから言ったでしょう?」

「はい・・・まさか、まさかあんなにすごいだなんて」


お通しと飲み物が運ばれてきたのをきっかけに顔をあげる。


「で、買えたみたいね」

「なんとか?」


すっかり喉が乾いていたのか口をつけたサワーが喉を滑り落ちるのが気持ちいい。

勢い良く半分くらい飲んでしまってやっとひとごこちつけた感。


「ねぇ真澄ちゃん?」

「はい?」

「真澄ちゃんお料理できるのよね?」

「まぁ普通にはできると思います」


サーモンのマリネが目の前に。

一口口に入れて・・・ああ、お酢が美味しい。

確か疲れた時ってお酢が美味しいってどこかで聞いた気がする。


「じゃあどうして自分で作らなかったの?」

「作る・・・?」

「チョコレート」

「だって・・・」

「だって?」

「仁さんっていっぱいチョコもらうじゃないですか・・・

 そんな中に私の手作りなんて気が引けて」


言っててだんだん情けなくなる。

仁さんは売れっ子の声優さんで、もらうチョコも有名なお店のばっかりで。

私の手作りチョコなんて・・・


ぐるぐると思考の海に沈みかけていた時

真琴さんの人差し指が私のおでこをつんっとつっついた。


「真琴さん?」

「いくら槇原さんがお高いチョコレートをもらってたのだとしても

 彼女の手作りに勝てるチョコレートなんてないと思うけれど?

 それがたとえ小さなクッキー1枚だとしてもね?」

「真琴さんは遠江さんに・・・は?」

「私?一応用意はしてるわよ?」

「ちなみに・・・手作りですか?」

「もちろん。こもってる愛情の違いはあるけれどね」


パチンと綺麗なウィンク。

愛情の差・・・誰との差なんだろう。


「真琴さん、遠江さん以外にどなたに?」

「父と兄と甥っ子かしら」

「甥っ子さん・・・」

「そうなの今5歳なんだけど叔母の欲目をひいても将来有望よ?」


真琴さんから甥っ子さんへの愛を感じる発言。

でも誠さんもらえるのは確定なんだ。

そう思うとちょっとほっとする。


「真琴さん、今からでも手作りしたほうがいいと思いますか?」

「私が槇原さんだったらそっちのほうが嬉しいかな」


視界の隅に買ったばかりのチョコレート。

これより美味しくはないけれど気持ちだけは確実に込められる。


「私、ちょっと頑張ってみます」

「その意気!頑張れ真澄ちゃん」


カチンと合わさったグラス。

残っていたサワーを飲み干し、ふっと思いつく。


「真琴さん、これ食べちゃいましょう」


そういって紙袋からチョコレートを取り出す。


「ここのチョコ、けっこう美味しかったんですよ?中に胡椒が入ってて」

「胡椒?TVで見たかも」


お店の人にバレないようにこっそりとチョコレートを口に。

口の中でゆるりと溶けるその甘さと少しのスパイシーさに

明日手作り用のチョコレートを買いに行かなきゃとか

何を作ろうか真琴さんに相談しようかとか

いろんなことが頭のなかを駆け巡っていた。






深緋「相方~、新作ちょっと見てみて~」

相方「はいよー」

(以下ナイショ話という名の添削)

相方「うん、これでいいんじゃない?」

深緋「いつもありがとねぇ」

相方「この胡椒入のチョコTVで見た」

深緋「マ○コさんです(笑)」

相方「だよねー、でも私は胡椒入よりあっちのほうが・・・」


以下添削が終わった後、延々と相方とチョコ話になってました。

胡椒入りのチョコ、ちょっと興味あるんですよね。

近所のデパート売ってるのかなぁ

買い物がてらのぞきに行こうかと思っております。


いよいよバレンタインが迫ってきましたが

今年は友チョコいくつ用意すればいいんでしょ?(笑)




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