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一の一乗  作者: 囲井 鯀
9/13

八話

「『構えろ』『思考を止めるな』『奴が来たぞ』」

 突然、佐賀が口を開いた。

 何故か、声が幾重にも重なって聞こえる。

「……え?」

「俺と同じ音遣いが今回の犯人だ」

「どういうことだ?」

「『名は名木凪咲』」

 それを聞いて、突然思考が加速する。

「『聞き覚えがあるだろう?』『準備段階だと聞かされているはずだ』」

「な、なんのことだ……?」

 困ったように大友が質問する。

「待て、待て……。いや、待つな!」

 もしそうなら、ヤバい!

 殺されるかもしれない!


 …………。

「あたしって、大護ちゃんのこと嫌いなんすよね」

「どういうことだ?」

「いや、時々っすよ。大護ちゃんと一緒に話すのって楽しいっすよ。気遣い上手なんすよ、大護ちゃん。意外っすねー」

「そうだな。じゃあ、なんで嫌いなんだ?」

「だから、時々。大護ちゃん、短気っすから。怒ると見境なく暴れるんすよね。一回だけじゃなくて、何度もあたし、殺されかけちゃって……」

「た、大変なんだな……」

 …………。

「あたしさー、時々思うんだ」

「口調変わってないか?」

「あ、失敗」

「で、なにをだ?」

「もしかしたら、この人殺しちゃうかも、って」

「…………」

「なんかさ、耐えらんないんだよね。我慢できないって言うか。まあ、七組になったのは自業自得なんだけどさ」

「まあ、ガラスを三十枚も割ればすぐに七組行きだよな」

「まあね。……だからさ、もし、もしだよ。もし、あたしが大護ちゃんを殺しちゃったらさ、助けてくれる?」

「…………」

 …………。


「『思考を止めるな』『しかし』『離れるな』」

 僕のせいかもしれない。

 僕が、名木の助けを聞かなかったから、こんなことになったのかもしれない。

「僕が……」

 「その時はあたし、ウサギ君が疑われないように頑張るっすからね!」

 『疑われないように』、疑われないように!

 だからって殺しにくるかよ普通!

「『来るぞ』」

 佐賀の一言で教室の空気が一変した様な気がした。

 次の瞬間。

 足元がガラガラと崩れ始めた。

 ん?念力のような能力を使う奴等、でしたね。

 あー、どうしましょう、どうしましょう。

 んー、んー?

 先生の性格からして、わかりきったことは省いて言いそうですね。先生の言葉が足りなかったってことで!

 先生仕事してくださいよ!


―――――

改稿

5月18日

屋上→教室

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