七話
今日は午前中に少し集会があっただけで、部活もさせずに生徒たちは帰らされた。
そんな笠木高校の一室に、僕たちは集まった。
「僕の名前は唐木協助。『念力』だ」
メガネをかけた男子生徒がまず名乗り出た。
「俺は大友正也。『怪音波』だ」
次に、茶髪の男子生徒。
「僕は『眼球破壊』の卯鷺ユウキ」
三番目に僕。
「俺は武者孝一。俺も『念力』だ」
そして、髪が肩までかかった男子生徒。
「『音遣い』。佐賀一輝」
最後に至ってはただの普通な男子生徒。
念力。これは対象に直接触れなくても対象を動かせるという能力だ。
怪音波。口から発する『音』を反射させ、周囲の様子を探るための能力らしい。
眼球破壊。対象の眼を破裂させる能力だ。
音遣い。『音』を自由に遣いこなせる能力らしい。
「念力って内側からモノを破壊出来たりするのか?」
「ああ、俺はガラスの箱を内側から壊したな」
「僕は木箱が限界だったよ」
壊した、と言った。つまり……。
「殴る感じか?」
「うん、爆発したみたくするのは、やろうと思えばできそうだけど、僕にはまだ無理かな」
「って言うか、どうやったら吹っ飛んだ頭蓋骨が窓に突き刺さるまでの力で内側から破壊するんだ?慣れないうちは紙の箱ですら外から潰しちまうんだぞ?」
「うん、それに、中身が詰まったものを内側から、って言うのはどんなに頑張っても僕たちにはできなかったよ」
「ああ、担当の先生に聞いてくれ」
ちなみに教師は全員超能力を持ってはいるけど、なんか今年は『念力』系はいないらしい。そういうの、どうなんでしょうね?なんて言ってみたくなるけど、超能力者は様々な世界の第一線で活躍している人の方が多いのだ。
むしろ、超能力者で教師をやっている方が珍しいと言っても良いだろう。
何か理由があると思うのだが、僕はあまり考えたことはない。
「眼球破壊って、随分とストレートなんだな」
「まあ、怪音波よりは分かり易いだろうけどね」
「う、うるせー!どう考えたって人殺し用じゃねーかよ!『眼球破壊』!」
早い!意外と堪忍袋の緒が早く切れた!
「お、おい、やめなよ……」
「ああ、今のは言いすぎだぜ」
唐木と武者が大友をなだめる。
「……すまん、言いすぎた」
「良いって。小さいころはそれで散々虐められたからね」
「……いや、ほんとゴメン」
大友が深く頭を下げようとする。
僕は慌ててそれを制した。
「いや、良いから!頭上げてってば!」
「ごめんな、ホント……。お前みたいな奴が人殺すなんて、俺、どうかしてたわ」
その言葉に、一瞬だけ胸が詰まった。
「『構えろ』『思考を止めるな』『奴が来たぞ』」