五話
大前田大護。九月十日生まれ、十五歳。
死亡推定時刻は今日の朝五時三十二分ごろ。
死因は頭部の破壊。内側から爆発するような形で破壊されていたそうだ。そして、それ以外の目立った外傷はないという。
…………
「これだけ見れば犯人は僕だな」
「そっすね。犯人はウサギ君で良いんじゃないっすか?」
「待て待て、早まるな」
本当にそうなってしまったらどうするんだ。
「この情報だけで容疑のかかる生徒は一気に減るな」
そう言うと、俺を含めた五人を残して他の生徒は隣の教室に移された。
警察から質問があるらしい。
「さて、お前らは『念力』のような超能力を使う連中だ。自分の無実を証明しないと殺人犯だ」
「な……!たったそれだけの理由でですか!」
「そうですよ!普通じゃないですよ!」
「俺はやってませんよ!」
生徒達から抗議の声が上がる。
それもそのはずだ。
『念力』系の能力を持っているから、疑われる。理不尽にも程度というモノがあっていいはずだ。そう、なくてはならないのだ。
なのにこの先生は平然と言ってのけた。
まるで、それが当たり前かのように、だ。
「そう、普通じゃない。普通じゃないことがこの学校で起きたんだ。普通の対応じゃ何もできない。だからお前らは疑われているんだ」
そう、今は『普通』の『日常』ではないのだ。
『異常』な『事件』なのだ。