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一の一乗  作者: 囲井 鯀
3/13

二話

「お前の超能力はなんだ?」

 僕を含めて、この教室には三人の生徒しかいない。たった三人だけの教室。一組や二組になると三十人以上はいるらしいのだが、数字が後ろになるにつれて少なくなっていくと説明された。一体それは、どういうことなのか。

「とりあえず、お前らは自己紹介から始めろ」

 遅すぎる担任のフォロー。やる気がない証拠だろう。

「はいなー、あたしから。名木凪咲だよん。超能力は『大声』。どこまでも大きな声が出せるから、結構便利っすよー?」

「ちなみに名木は既に三十五枚窓ガラスを割っているから七組だ」

「いやはやー、おどろきもものきさんしょのき!」

 変に興奮させない方が良い、という事だろう。

「大前田大護」

「大前田の超能力は『腕力強化』。通常の百倍の腕力を制限時間付きで使えるな。喧嘩の時に体育館を半分吹っ飛ばしたから七組だ」

「かっ!俺は悪くねえよ」

 そっすか……。

 札付きが集められるクラスなんですね。

 了解しましたよ、先生。

「で、編入時から七組のお前はどんなやつだ?」

 まるで七組が悪いやつの入れ物みたく言う。

「七組ってだけで避けられるっすよ!」

「転校生は七組だったー!」

 悪い噂しか立たないよ!

 思わず頭を抱えながら天を仰ぐ。

「いいから早く言えよ、ウサギ」

「はいはい……」

 僕は気を取り直し、再び二人を見る。

「僕の超能力は『眼球破壊』。対象の眼を破裂させる能力だ」

「うぇ、趣味悪い能力っすね。『念力』と違うんすか?」

「つーか、一緒だろ」

「いや、石を動かせるかなー、って何度か試したこともあったけど、全くピクリともしなかった。そのかわりに、近くにいた鳩の眼が破裂したな」

 二人とも嫌悪感を隠そうともしなかった。

「卯鷺は特に何も悪いことはしてないが、超能力自体が危険だから七組だ」

「僕はなにも悪くないじゃん!酷い!」

「遺伝なんだからしょうがないぜ、ウサギ」

 まるで自嘲するかのように大前田は笑う。

「そうっすよ。元気出すっす」

「……ああ、そうだな」

 この二人も、諦めてしまっているらしい。

 しかし、この二人はいずれ七組ではなくなるだろう。使い方次第で人の役にたつ能力なのだ。僕なんかとは違い、どうにでもなるのだ。

 だけど、僕は違う。

 諦めたくても、認められない。何かの間違いであってほしいといつも願う。

 なぜ、『念力』ではなかったのだろうか。

 なぜ、母と同じ超能力ではなかったのだろうか。

 それがいつも悔まれる。

「じゃ、自己紹介も終わったことだし、ホームルーム始めるぞー。席に着け」

 担任の指示に従い、廊下側の席に座る。

 教室は思った以上に綺麗であった。

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