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一の一乗  作者: 囲井 鯀
13/13

エピローグ

「昨日の夕暮れ踊り出す、三途の河を平泳ぎ、振り返ればあの日の後悔。ただただ懺悔の雨に打たれる毎日。しかし俺は今を行く。明日が俺を待っている」

「……なにそれ」

「いや、決め台詞」

「聞いてる僕が恥ずかしいんだけど」

「いや、言ってる俺が一番恥ずかしいに決まってる」

「じゃあ言うなよ! っていうか、殺しに決め台詞は必要なのか?」

「さてね、暇だから作ってみただけだし」

「お前、忙しい、忙しいっていつも言ってなかったか?」

「今日は特別暇だったんだ」

「じゃあなんで遅れたんだよ」

「遅れてみたってのも、また風流」

「流行らねえよ」

 …………

「おー、偶然偶然!」

「どうした? こんな夜中にしかも血塗れで」

「いやー、返り血だから安心しろって」

「なんだ残念」

「残念がるなよ! 悲しくなるでしょうが!」

「うわー嬉しいなー」

「言ってることが噛み合ってるんだか合ってないんだか! どの台詞に対しての嬉しいだよ!」

「え、お前が悲しいってところだろ」

「あ、やっぱりぃー?」

「で、どうしたんだよ、返り血なんて浴びて」

「ちょっと血のシャワーを浴びてみたい気分だったんでな。そこら辺の人をこう、ざくり?」

「疑問形かよ」

「じゃあ、す、と」

「軽いな! 随分と軽いな!」

「効果音で表せるかアホ!」

「自分で言っておいてそれかよ! ……で、血のシャワーを浴びた感想は?」

「気持ち悪かったな。温いし、生乾きだとベタベタするし。乾燥すると鬱陶しいったらありゃしない! お前、血のシャワーなんて浴びたいなんて思わない方がいいぜ」

「そうか、ありがとよ」

「ところで、お前は何してるんだ? 人殺し?」

「お前と一緒にするな。買い出しだよ」

「はー、大変だな。お疲れさん」

「お前はさっさと体洗え、臭うぞ。服洗っても意味無いと思うけど」

「はいはーい、っと」

 …………

「人を殺すってことは、自分も殺されていいと言ってるのと同じなんだ」

「そう、だろうな。うん」

「だけど、他人を殺しておいて自分は死にたくないだとか、勝手に自殺すんのはよくねえな」

「そりゃまたどうして」

「前者は言うまでもなく、後者はまあ、俺の考えなんだけどな」

「ふーん、逃げるな、みたいな?」

「そうそう、殺されてもいいってんなら、殺されて死ねって話だ。殺されたくないから、自分から死ぬ。そう俺は捉えてる」

「まあそうなるだろうな。事故死はどうなるんだ? 勝手にいつの間にか死んじゃってるけど」

「そりゃ、どうしようもねえや。神様にでも殺されたんだろ」

「……適当なんだな」

「人の生を勝手に奪ったやつには、寿命でなんて死なせない。それが俺のポリシーだ」

「殺人鬼がよく言うよ」

「馬鹿野郎、俺は『鬼狩り』だ。あんな奴等と一緒にすんな」

「一緒だろうが! 殺しを楽しんでんじゃねえかよ!」

「まあ、俺は出来れば殺されて死にたいな」

「僕は誰も殺さないから、寿命かな」

「人間以外の動物も範囲に含まれてたら?」

「……心中、かな」

「自分勝手な奴だな」

「許可はちゃんととるに決まってんだろ!」

「そう言う意味じゃねえよ」

「……わかってるさ」


 わかってる。

 そんなことぐらい、わかってるさ。


 これが僕の自分勝手だってことぐらい。

 謎を残したまま終わらせる!

 うん、好きに推理してくれて構いませんよー。


 あ、できればで良いので、読むだけじゃなく批評なんかも、嬉しいなー、なんて。

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