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トレジャー!  作者:
1・凍月
14/35

1-13 鉱石と爆発と雷

「お前達、どうやってここに?」


 死という最悪の結果に直面したその瞬間。

 突如として救いの手を差し伸べてきた幼馴染達の登場に、リョウは目を丸くする。


「あっあのねリョウ! 秘密の通路をヒカルが見つけて、それを使って・・・・・・」


「あぁーもうそんな細けぇことは後でいいんだよ! リョウこいつゴーレムだよな! どうやってここまでヤッた!」


 アンの説明に割り込んできたのはミチル。

 爛々と輝く彼の眼中には、上半身と右腕だけになったゴーレムしか無いようだ。


「あいつの関節は火に弱い。火を浴びせ続ければ、機能停止まで追い込めるはずだ」


「なるほど。それで切り離された残骸は、刃となって宙を舞う、と」


 獰猛な笑みを顔に浮かべながら、ミチルは舞打法(ぶだほう)の構えを取る。


「要するに宙に浮く鉱石の処理と、ゴーレムの処理の二手に分かれるってわけだ! リョウ俺はゴーレムをやるぜ! 残りの指揮はお前に任せたぁ!」


 そう言い残して消えるミチルの姿。

 舞打法の高速移動を始めたのだろう。


「リョウ。どうする?」


 炎陽構えるシン。


「シンとハルカはミチルに続け! アンとヒカルは飛んでいる鉱石を打ち落とすぞ!」


 的確に指示を出すリョウ。

 シンとハルカは炎を自由に扱える。またアンは雷撃によって、ヒカルは空間認識の力によって、宙を舞う鉱石の刃に対して的確な攻撃を行えるだろう。


「えー私リョウちゃんと一緒がいいのにー」


「文句言わないで行くぞ!」


「もーアンー! 死んでもリョウちゃんを守るのよー」


 不満を漏らすハルカにシンが声を上げ、二人はゴーレムの元へ走っていく。


「あったり前でしょ!」


 ハルカに向け声を上げながら、アンは魔力を高め雷撃を放っていく。

 雷撃は幾筋にも分かれ、宙に青白い線を描きながら、シンやハルカに向かって飛来する鉱石の刃たちを打ち落とす。


「行くぞ、ヒカル」


「任せてよねっ!」


 アンの雷撃に鼓舞されたリョウとヒカルも駆け出していく。


「リョウ! 左から15っ! 右から来る27は任せて!」


 飛来する鉱石によって振動する空気を、すぐさまに読み取ったヒカル。両手に握られた短刀で、次々に鉱石を打ち落としていく。

 それに応じてリョウも左から飛来してくる鉱石を、巧みな剣捌きで砕く。


「おうおう、あいつらは相変わらず器用だねぇ」


 ゴーレムの後方から響くミチルの声。次々と鉱石の刃を打ち落としていくリョウ達3人に、彼の顔はさらに獰猛な笑みで歪んでいく。


「こっちもいくぜぇ!」


 床を思い切り蹴るミチル。

 巨大なゴーレムの背中から肩へと飛び移り、後頭部付近の高さにまで身を舞わせる。


「舞打法。空技(くうぎ)・壱式、雷鳴」


 空中で大きく身を翻したミチル。渾身の蹴りをゴーレムに放った。

 その名の通り、雷鳴によく似た高音と共に蹴りはゴーレムの頭に吸い込まれる。


「いってぇ! どんだけかてぇんだよこいつはぁ!!」


 ミチルとしては会心の蹴り。

 しかし足に伝わるのは鉱石を気持ち良く砕いた感触ではなく、強固な鉱石に蹴りを拒まれた痺れだ。


 ミチルがすばやく確認すると、ゴーレムの後頭部には小さな蜘蛛の巣状のひびが入っただけ。しかし、リョウがいくら斬り付けても傷つかなかった鉱石だ。ひびが入るだけでも彼の蹴りの威力がすさまじいものだったことが分かる。


「なにやってるのよミチルー。リョウは火でどうにかしなさいって言ってたじゃないのー」


 ゴーレムの左に陣取り、そんなミチルの一撃を冷ややかに眺めていたのはハルカだ。


「うるせぇ! 早く投げろ!」


「はいはーい」


 ミチルに急かされたハルカは、優雅な所作で試験管をいくつか投げる。

 投げたのは高火力、広範囲を兼ね備えた爆発を起こすことの出来る薬品達。ミチルの蹴りよりはゴーレムに効果的であろう。


「おい純国産バカ! お前も突っ立ってねぇで炎だせ! その魔剣は飾りか!」


 ゴーレムの後頭部を強く蹴り、何回転かしながら床に降り立つミチル。

 自慢の一撃ではゴーレムにひびしか与えられなかったことに苛立ちを隠せない彼は、乱暴な口調をシンへと投げかける。


 そのミチルの暴言に、ゴーレムの右方で炎陽を構えるシンが声を上げた。


「分かってるつうの! お前が先行し過ぎなんだよ戦闘愛好家(バトルマニア)! 燃えろ! 炎陽!」


 シンの掛け声と共に炎の名を冠する剣が、巨大な炎を吐き出す。


 炎陽の炎と、ハルカの投げた薬品が爆発を起こすのは同時だった。

 爆音と共に、ゴーレムの全身を包む程巨大な炎が巻き起こる。

 明らかにその動きを鈍くするゴーレム。ここぞとばかりにミチルが声をあげる。


「おいリョウ! こいつはお前の獲物だ! お前が仕留めなきゃ意味がねぇ! シン!」


「おう!」


 再び炎陽を振るい炎を放つシン。狙いは宙に舞う鉱石の刃達。

 渦巻く炎に鉱石の刃は舞い、一瞬ではあるがリョウとゴーレムを繋ぐ道が切り開かれる。


「ハルカ! 頼むぞ!」


「任せてリョウちゃんー」


 ハルカへ目配せをしたリョウは、幼馴染が切り開いてくれた細き道を全力で駆け抜ける。


「行くわよー!」


 ハルカが全力で駆けるリョウ目掛けて、一つの試験管を投げつける。


「ふっ!」


 投げつけられた試験管を一刀両断にするリョウ。

 試験管に込められていた薬品がリョウの剣に掛かるが、爆発は起きない。


 ハルカが投げたのは『火剣液』。

 剣の表面に掛けることで刀身の金属と反応を起こし、可燃性のガスを発生させる特殊な薬品だ。

 『火剣液』で塗らされた剣で高硬度の物体に切りつけると、生じた火花によって爆発を巻き起こす。

 魔剣など無かった時代に、剣に炎を纏わせるために使われていた古い策だ。

 古典的な策ではあるが、その威力は絶大。


 火花が発生してからガスに引火するまでの間に、その炎に飲まれない位置に移動しなければ使用者も炎に巻き込まれてしまうのが難点だが、今は贅沢をいえるような状況ではない。


「行けっ! リョウ!」


 シンの声に、火剣液の巻き添えを食らうのではないかというリョウの不安はかき消され。ゴーレムとの距離を更に縮めるべく、リョウは更に加速する。


「ゴガアアアアア」


 この一撃を食らってしまえば流石に危ない。

 そう無機物なりにも感じ取ったのか、今まで沈黙を守っていたゴーレムがその口を大きく開け、魔物のうなり声かのような稼動音を響かせる。

 緩慢な動きではあるが、確実にリョウの進行方向に向けて拳を振り降ろそうとするゴーレム。


 このままのスピードでリョウが駆け抜けていけば、その巨大な拳に彼は押しつぶされてしまうだろう。

 しかしリョウはその足を止めない。

 幼馴染を信じているからだ。


「リョウのっ! 邪魔してんじゃ、無いわよぉぉぉぉ!!」


 ゴーレムが拳を真上に上げた瞬間、リョウの後方からアンの大声と巨大な電撃音が鳴り響く。

 それは雷そのものだった。

 胸元のブローチが緑に強く光り、アンの掌から強大な雷が放たれる。


「いけええええ!」


 雷はリョウを追い越し、ゴーレムに直撃する。

 強力な電撃に一瞬ではあるがゴーレムの拳は止まり、その間にリョウがゴーレムの懐まで辿り着く。


「喰らえ。これが俺達の一撃だ」


 リョウは全身全霊の力で剣を振り下ろす。

 次の瞬間、リョウの剣を中心に大爆発がゴーレムを包んだ。

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