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灼熱の連撃(ラッシュ)と絶対零度の神速剣:転生した双子のチート令嬢は、その異能で世界を救う  作者: 夜詩榮


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第17話 王子の接近と研究の誘い

あらすじ

ゼノンとの一件後、双子への注目はますます強まる。エドワード王子は、双子を力で屈服させるのは得策ではないと悟り、懐柔する戦略へと転換する。王子は、双子、特に研究と知識に強い関心を持つアウローラに対し、王族しか利用できない禁書庫へのアクセス権と、共同研究という甘い誘いを持ちかける。研究者としての知的好奇心を刺激されたアウローラは、王子の誘いに警戒しつつも、魅力を感じ始める。一方、リーゼロッテは、学園の剣術科で、兄アルフレッドのライバル的存在と出会う。

本編


ゼノンとの決闘以降、リーゼロッテとアウローラの学園生活は、大きな変化を迎えた。生徒たちは双子を恐れ、敬意をもって接するようになったため、日常の障害はほとんどなくなった。

しかし、この変化は、第一王子エドワードの戦略をも変えた。

「力で屈服させるのは愚策だ。あのヴァイスブルクの双子は、知性によってその力を制御している。特にアウローラは、権威ではなく、知識と知恵にこそ価値を見出すタイプだ」

エドワード王子は、双子を自らの駒とするため、最も効果的な**『餌』**を用意することを決めた。

ある日の午後、アウローラが学園の図書館で古代魔法の文献を読み込んでいると、一人の侍従が静かに近づいてきた。

「アウローラ・ヴァイスブルク嬢。エドワード殿下が、あなたにお目通りを願っております」

アウローラは警戒しながらも、王子の応接室へと向かった。

応接室で待っていた王子は、以前のような威圧的な態度は見せず、落ち着いた笑顔でアウローラを迎えた。

「歓迎するよ、アウローラ。先日の非礼は謝罪しよう。君たちの力を、私が誤解していたようだ」

王子はまず、謝罪という形で警戒心を解きに来た。

「本題に入ろう。君の知識への探求心は素晴らしい。だが、この学園の図書館にある知識は、王国の歴史のほんの一部に過ぎない」

王子はそう言うと、一枚の羊皮紙をアウローラに差し出した。

「これは、王族の血筋を持つ者しか閲覧を許されない、王宮禁書庫への通行証だ。私が、君に与えよう」

アウローラの瞳が、一瞬、驚きと興奮で大きく見開かれた。王宮禁書庫には、世界が失ったとされる古代の魔法理論や、王族しか知ることのない禁断の知識が眠っていると噂されている。研究者としての知的好奇心を刺激される、最高の誘惑だった。

「どういうおつもりでしょうか、殿下」アウローラは冷静を装い、尋ねた。

「簡単なことだ。君のその規格外の知性を、私に貸してほしい。私は、王国の魔導技術をさらに発展させたい。君の持つ氷と土の魔法の制御技術と、その深い知識をもって、私と共同研究を行わないか?」

王子は、アウローラの知的好奇心を完璧に突いてきた。

「君は、私の駒ではない。対等な**『研究者』**として、王国の歴史を変える研究に携わるのだ。もちろん、成果は君の名でも発表させよう」

アウローラは、しばし沈黙した。王子の誘いは、彼女の目標である**「この世界の知識を完全に理解する」**という目的にとって、あまりにも魅力的だった。禁書庫の知識は、彼女の魔法理論を飛躍的に発展させるだろう。

「……検討させていただきます、殿下。私たちを駒にしないという、あなたの言葉が真実であれば、ですが」

アウローラは、支配ではなく研究という名目であれば、王子の誘いに乗る価値がある、と判断し始めていた。

一方、その頃、リーゼロッテは学園の剣術訓練場にいた。アルフレッド兄さんの様子が気になり、剣の稽古を見学に来ていたのだ。

アルフレッドは、寮の生徒たちと激しい組み手を行っていた。彼の剣は、以前よりもさらに鋭く、努力によって磨き上げられた光を放っていた。

「くっ!」

アルフレッドは、相手の剣を捌いた後、一瞬で踏み込み、鋭い突きを繰り出した。

しかし、その突きを、アルフレッドのライバルである上級生のルーク・ブレイバーンが、片手一本で受け止めた。

ルークは、剣術科の中でも、アルフレッドと並ぶ実力者だが、彼の剣には、アルフレッドの努力とは違う、天性の剣筋があった。

「相変わらず、力任せだぞ、ヴァイスブルク。君の剣には、**『遊び』**がない。もっと、自由であれ」

ルークは、アルフレッドの剣を受け止めながら、涼しい顔で忠告した。

その時、見学していたリーゼロッテの目が、ルークの剣筋に釘付けになった。

(あの人の剣……速い! お兄様の剣よりも、もっと**『流れる』**ようだ!)

リーゼロッテは、無意識のうちに、風の魔力を手のひらに集中させ、ルークの剣筋を追尾するように、空間に手のひらで軌跡を描いた。

ルークは、リーゼロッテのその動作に気づき、組み手を中断した。

「そこの令嬢。君は、今、私の剣筋を追ったのか?」ルークは、驚きと興味を込めた目でリーゼロッテを見つめた。

「え? あ、はい! 無意識に体が……なんか、あなたの剣、私の**『超速の体術』**の動きに似てる気がして!」リーゼロッテは、正直に答えた。

ルークは、リーゼロッテの言葉に、初めて真剣な表情を浮かべた。

「君は面白いな。その動き、剣術科に来て、私と勝負しないか?」

ルークは、リーゼロッテの規格外の武術の才能に、鋭く反応したのだ。リーゼロッテは、ルークの剣に、**自分の体術と同じ『効率』と『速度』**を感じ、戦ってみたいという強い興味を抱いた。

双子の学園生活は、王子の知的な誘惑と、兄のライバルからの武術的な挑戦という、二つの大きな流れに巻き込まれ始めたのだった。

次回予告

第18話:知識と力の取引

アウローラは、王子の誘いを受けることを決意するが、その条件として、双子への不当な干渉を一切行わないこと、そしてアルフレッド兄の騎士団への推薦を要求する。王子は渋々これを受け入れる。これにより、アウローラは禁書庫へのアクセス権を手に入れ、古代の魔法理論を貪欲に吸収し始める。一方、リーゼロッテは、剣術科のルークと非公式な組み手を行う。その結果、リーゼロッテの武術の才能が、学園の剣術界に小さな波紋を起こす。

次回、アウローラ、王子の力を利用す!

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