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灼熱の連撃(ラッシュ)と絶対零度の神速剣:転生した双子のチート令嬢は、その異能で世界を救う  作者: 夜詩榮


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第15話 王子の誘惑と双子の拒絶

あらすじ

エドワード王子は、双子を自らの**「直属の協力者」とするため、爵位や豊富な研究資金などの豪華な誘惑を仕掛けるが、双子はその傲慢な提案を一蹴する。特にアウローラは「私たちは、誰の駒にもなりません」と王子の支配欲を正面から拒絶。この拒絶に激怒したゼノンは、双子に対する最初の実力行使に出る。ゼノンは、自身の得意とする闇魔法**を使い、学園の訓練場で双子に挑戦を叩きつける。双子のチート能力は、初めて本格的な敵対魔法と対峙する。

本編


王立魔法学園の入学式の日。エドワード王子の「直属の協力者となれ」という一方的な提案は、双子の周囲に重くのしかかった。

リーゼロッテとアウローラは、王子の誘惑に対し、冷静に、そして毅然とした態度で臨む必要があった。

その日の午後、王子はゼノンを通じて、双子を学園内にある豪華な応接室へと呼び出した。

「改めて説明しよう、ヴァイスブルクの双子」

王子は、上座のソファに座り、優雅に紅茶を飲みながら語り始めた。

「君たちの才能は、地方の小貴族の領地で腐らせるには惜しい。私に仕えれば、君たちには破格の待遇を与えよう。父の爵位を伯爵に引き上げ、君たちには好きなだけ研究資金を与えよう。何よりも、この王立魔法学園で、誰も君たちに逆らえなくなる**『権威』**が手に入る」

それは、地方貴族の娘にとっては、夢のような提案だった。

リーゼロッテは、豪華な部屋や爵位には興味を示さず、ただ王子の傲慢な視線に苛立ちを感じていた。

「権威、ですか……私たちは、別に誰かに逆らわれたくないわけじゃありません。ただ、自分のやりたいことをやりたいだけです」

アウローラは、紅茶のカップを静かに置き、王子の目を真っ直ぐに見つめた。

「殿下。私たちは、誰かの**『協力者』になるつもりはございません。ましてや、誰かの『駒』**になるつもりなど、毛頭ありません」

彼女の言葉は、完璧な敬語を使っていながらも、王子の支配欲を真正面から拒絶するものだった。

「私たちは、私たち自身の意志で、この世界に貢献します。殿下の庇護がなくとも、私たちの力と知恵で、私たちは道を切り開けます」

アウローラの静かなる拒絶に、エドワード王子の顔から笑顔が消えた。彼は、自分の権威を、たった10歳の少女に踏みにじられたことに、激しいプライドの傷を負った。

「そうか……賢い君が、そういう愚かな道を選ぶとはな。後悔することになるぞ、ヴァイスブルク」

王子は、怒りを抑え込むように立ち上がると、無言で部屋を後にした。

王子が去った後、部屋に残されたゼノン・ハイゼンベルクは、激しい嫉妬と怒りを爆発させた。

「ふざけるな、お前たち! 殿下の誘いを断るなど、正気か!? お前たちのような地方の田舎者が、殿下の恩恵を拒否するとは!」

ゼノンは、双子が王子の誘惑を断ったことで、自分が再び王子にとっての重要な存在になれるという期待があった。だが、双子の拒絶は、彼の希望を打ち砕き、自分自身が持つ権威すら軽んじられたと感じさせた。

リーゼロッテは、ゼノンの激情に、今度こそ我慢の限界を迎えた。

「私たちは、あんたみたいに、誰かの威光にぶら下がるつもりはないんだよ! 自分の力で生きるんだ!」

「黙れ、野蛮人! お前たちの異様な力など、このハイゼンベルクの真の魔法の前では、塵芥に等しいわ!」

ゼノンは、双子に対する敵意を、ついに実力行使に移した。

「望むところだ、ハイゼンベルク様」アウローラは冷静に応じた。「あなたのその傲慢さを、私たちの力で打ち砕いて差し上げましょう」

その日の夕刻。学園の生徒たちが集まる、広大な訓練場で、公爵令息ゼノン・ハイゼンベルクと、ヴァイスブルクの双子の、非公式の決闘が行われることになった。

訓練場の中央で、ゼノンは闇の魔力を集中させた。彼の得意とする闇魔法は、非常に強力で、相手の精神を侵食し、魔力を乱す性質を持っていた。

「私の**『暗黒のオプスキュラス・チェーン』**の前で、お前たちの小細工など無力だ!」

ゼノンが叫ぶと、彼の体から**黒いもや**が噴き出し、鎖の形を成して、双子に向かって襲いかかった。闇の鎖は、物理的な力だけでなく、触れたものの魔力を奪う恐ろしい力を持っていた。

「来るわ、リーゼ! 闇魔法よ! 防御を固めて!」アウローラは冷静に指示した。

「わかってる! 型:炎ノ流・四ノ太刀しのたち!」

リーゼロッテは、風の魔法『超速の体術』で、アウローラの背後に瞬時に移動し、炎の魔力を両腕に集中させた。

ゴオオッ!

闇の鎖が到達する直前、アウローラが土の魔法を発動させた。地面から強固な土の壁が隆起し、防御を形成する。

そして、その土の壁の表面に、リーゼロッテが集中させた灼熱の炎の魔力を、薄く張り巡らせた。

闇の鎖は、双子の防御壁に衝突した。

ジュウウウ!

ゼノンの闇魔法は、土の壁を侵食しようとしたが、土の壁の表面に張られた灼熱の炎によって、闇の魔力の組成が破壊され、凄まじい熱で蒸発させられた。

「な、なんだと!? 私の闇魔法が、通じないだと!?」ゼノンは驚愕した。

「闇は、光で消えるわ。そして、あなたの闇は、私の炎の熱に耐えられない!」リーゼロッテが叫んだ。

アウローラは、闇の鎖の攻撃を防いだ一瞬の隙を見逃さなかった。

「今よ、リーゼ! 氷結の斬撃フリーズ・スラッシュ!」

アウローラは、土の壁の陰から、木の枝を構え、氷結の斬撃を、闇魔法の制御に集中しているゼノンの足元へと放った。

パキッ!

闇の鎖の防御に集中しきっていたゼノンは、足元の冷気による精密な攻撃に気づかなかった。彼の靴の周囲の地面が瞬時に凍りつき、彼の体が地面に張り付いてしまう。

「動けない……!?」

ゼノンが驚愕する中、リーゼロッテが、風の魔力を纏い、ゼノンの目の前にまで一瞬で移動した。

ヒュン!

彼女は、ゼノンの顔の寸前で、拳を止めた。その拳から発せられる熱波は、ゼノンの髪を焦がし、彼の傲慢な顔に、恐怖の色を浮かび上がらせた。

「あんたの魔法は、私たちの知恵と連携の前じゃ、ただの子供の癇癪だ。二度と、私たちや、私たちの兄に手を出そうなんて、思うなよ」

リーゼロッテは、あくまで拳を当てず、能力の優位性と脅威だけをゼノンに植え付けた。

双子は、学園での最初の実力行使で、公爵家の嫡男を完膚なきまでに打ち破り、その実力を学園全体に知らしめたのだった。

次回予告

第16話:学園の注目と兄の苦悩

双子の勝利は、学園全体に衝撃を与え、二人は一躍、学園の注目と畏敬の的となる。双子は、ゼノンという障害を排除したことで、学園生活をスムーズに進めることができるようになる。一方、兄アルフレッドは、妹たちの規格外の勝利を目の当たりにし、自身と妹たちの力の差に、改めて深い苦悩を抱く。彼は、このままでは妹たちの盾になれないと危機感を抱き、さらに過酷な剣の修行に身を投じることを決意する。

次回、妹たちの影で、兄の努力が燃え上がる!

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