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灼熱の連撃(ラッシュ)と絶対零度の神速剣:転生した双子のチート令嬢は、その異能で世界を救う  作者: 夜詩榮


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プロローグ さよなら、私の日常(デイズ)

あらすじ

現代日本。活発な空手家の娘である姉・一条響と、冷静沈着な剣道部員である妹・一条奏は、突然の交通事故に遭う。意識が薄れる中、二人を迎え入れたのは光を纏う美しい女神・アステルギアだった。女神は二人に異世界での新たな生と、前世の武術を応用した規格外のチート能力を授ける。そして二人は、ヴァイスブルク家の双子の姉妹、リーゼロッテとアウローラとして転生を果たす。


登場人物

主人公

名前(異世界) 名前(前世) 特徴・能力

リーゼロッテ・ヴァイスブルク 一条いちじょう ひびき 双子の姉。前世は活発な空手家の娘で黒帯。負けず嫌い。転生後は長い赤みがかった金髪を持つ。チート能力は、空手を応用した炎の魔法(灼熱の拳)と風の魔法(超速の体術)。考えるより体が動くタイプ。


アウローラ・ヴァイスブルク 一条いちじょう かなで 双子の妹。前世は冷静沈着な剣道部員。学業優秀。転生後は長い銀色の髪を持つ。チート能力は、剣術を応用した氷/水の魔法(絶対零度の剣)と土の魔法(鉄壁の防御・地形操作)。戦略家で頭脳明晰。


主人公の家族の人々

名前フルネーム 立場 特徴

オスカー・フォン・ヴァイスブルク 父/当主 地方貴族の当主。剣術に長けるが、魔法の才能は凡庸。幼い娘たちの規格外の力に常に驚かされる。娘たちを心から愛している。


イザベラ・ヴァイスブルク 母 元は平民出身の癒し手。治癒魔法の腕は一流。優しいが芯の強い女性。娘たちが特別な力を持つことを理解し、静かに見守り支える。


アルフレッド・ヴァイスブルク 兄 双子より5歳上の兄。次期当主。真面目で妹思い。妹たちの強大な力には驚愕しているが、自分なりに努力を続ける好青年。剣の腕は高い。


名前フルネーム 立場 特徴

エドワード・アースガルド 王子/学園生徒 アースガルド王国の第一王子。次期国王。優秀だが少々傲慢なところがある。リーゼロッテたちの実力に最初は反発するが、次第に認め、関心を持つ。


学園の人々

クリスティン・ノイマン 友人/学園生徒 リーゼロッテとアウローラの最初の友人となる子爵令嬢。癒し手を目指し、治癒魔法が得意。気弱だが優しい心を持つ。


ゼノン・ハイゼンベルク 敵対者/学園生徒 公爵家の嫡男。高い魔力を持つが、家柄を鼻にかける。双子の異質な力と、エドワード王子との関係に嫉妬し、敵対行動をとる。


ロシュフォール・グレイヴ 教官 王立魔法学園の剣術教官。元王国騎士団長。非常に厳格で、双子の「空手」のような体術に懐疑的だったが、実力を目の当たりにして指導に熱が入る。


マリエル・オーベール 教官 王立魔法学園の魔法学教官。優しく知的な女性。双子の魔法の応用の仕方と魔力量に驚嘆し、その才能を正しく伸ばそうと尽力する。


その他の主要人物の人々

名前フルネーム 立場 特徴

女神・アステルギア 転生を司る女神 二人を異世界に転生させた存在。光を纏う美しい女神。二人にチート能力を授けた。彼女の存在は世界の根源と深く関わっている。


ガルス・マグナス 敵/魔王軍幹部 終盤に登場する魔王軍の幹部の一人。強力な闇魔法を操る巨漢。リーゼロッテたちの能力に目を付け、世界を混乱に陥れようと画策する。


フィオナ・グリムウッド 情報屋/協力者 世界の裏情報に通じた謎の女性。時には双子に助言を与え、時には試練を与えるトリックスター的な存在。正体は不明。


ディオン・エルスター 師匠/協力者 王都に隠遁している伝説の賢者。魔法と剣術、古代の知識に精通。双子の規格外の能力の修行を見届ける。


本編


「やだ、響、またそんなところで寝転がって。道場に着く前に体力使い果たさないでよ」

妹の**一条いちじょう かなで**は、竹刀袋を肩にかけ直し、呆れたような視線を向ける。端正な顔立ちと、一本に結わえられた艶やかな黒髪は、彼女が所属する剣道部の模範的な姿を体現していた。

一方、道の真ん中に大の字に寝転がっているのは、双子の姉、**一条いちじょう ひびき**だ。空手着の上下にラフなTシャツを羽織った彼女は、活発そのものの快活な笑みを浮かべる。

「えー、奏ちゃんったら堅いこと言わないでよ! もう、今日の稽古のことで頭がいっぱいでさ! 昨日、親父と打ち合った時に、なんか新しい技のヒントを掴んだ気がするんだよね!」

響は黒帯を持つ空手家の娘で、考えるより体が動くタイプだ。その負けず嫌いな性格は、常に彼女を強さへと駆り立てる原動力となっていた。

「わかってるけど。道場はもうすぐそこなんだから。それに、お父さんに勝つことだけが全てじゃない。その新しい技とやらも、まずは基本を徹底してからじゃないと、ただの自己満足で終わるわよ」

奏は冷静沈着で、常に一歩引いた視点から物事を捉えるのが得意だ。彼女の剣道もまた、その頭脳明晰さに基づいた緻密な戦略で成り立っていた。彼女にとって、響の破天荒な行動はいつものことだが、時折、その危うさにハラハラさせられる。

「ちぇー、相変わらずお堅いね、奏は。ま、それも奏のいいところだけどさ!」

響は勢いよく立ち上がり、寝転がっていたせいでわずかに砂が付いた空手着をパンパンと払う。

「さーて! じゃあ、ダッシュで道場まで競争だ!」

「ちょっと、待ちなさいってば!」

響は言うが早いか、猛然と走り出した。奏はため息をつきつつも、その背中を追いかける。いつもの日常。いつもの姉妹の風景。夕焼け空の下、二人の影は道場へと続く細い道を駆けていった。

その「いつもの日常」が、突然、音を立てて崩れ去ったのは、道場まであと数十メートルの交差点でのことだった。

キキーッ!

甲高いブレーキの音と共に、強烈なエンジン音が響き渡る。脇道から猛スピードで突っ込んできたのは、信号無視のトラックだった。

響と奏は、驚愕の表情を浮かべたまま、その光景を視界に捉える。トラックは、響を避けようとして進路を変えたものの、その巨体は、一瞬早く交差点に進入していた奏の方へと向かっていた。

「奏っ!」

響は反射的に叫び、体が動く。空手の稽古で培った超人的な反射速度で、彼女は奏の体を突き飛ばした。

「え、響!?」

奏は道路の端に弾き飛ばされ、アスファルトの上を転がる。致命的な直撃は免れたが、全身に激しい痛みが走った。しかし、それよりも彼女の心を支配したのは、響の姿だった。

響は、避けきれなかった。

トラックの轟音と、金属が軋む嫌な音、そして、響の短い悲鳴。一瞬の出来事だった。奏の視界に映ったのは、血に染まり、力なく倒れ伏す姉の姿と、混乱した人々が交差点に集まってくる光景だけだった。

「ひ、響……うそ、やだ……!」

奏は、激痛をこらえて姉に駆け寄ろうとするが、視界が急速に白んでいく。全身の力が抜け、地面に手をついた瞬間、彼女の意識は深い闇へと沈んでいった。

――ぼんやりと意識が浮上した時、二人を包んでいたのは、激痛でも、アスファルトの冷たさでもなかった。

「……ま、ぶしい」

響は思わずそう呟いた。そこは、真っ白な光に満たされた空間だった。雲一つない青空のような、それでいて温かい光に包まれている。どこを見ても光。音もなく、ただ静寂だけが支配していた。

隣には、同じように困惑した表情を浮かべる奏の姿があった。

「ここ、どこ……?」奏の冷静な声も、この状況ではわずかに震えている。

「私たち、たしか、事故に……」

響が言いかけたその時、光の中から、一人の女性が現れた。

その女性は、全身から柔らかな光を放ち、まるで星屑を纏っているかのように美しい。長い髪は金色に輝き、優しさと威厳を兼ね備えた瞳が、二人を静かに見つめていた。

「ようこそ、一条 響、そして、一条 奏。あなたたちの魂は、現世での役割を終え、今、私の前にあります」

声は、心地よい鈴の音のようで、聞いているだけで心が安らぐ。

「あ、あなたは……」響が息をのんで尋ねる。

「私は、この世界を管理し、魂の転生を司る女神。アステルギアと申します」

女神・アステルギアは、穏やかな笑みを浮かべた。

「あなたたちの命は、本来ならここで尽きるはずでした。しかし、あなたたちの魂はあまりにも純粋で、そして、その武術に対する情熱と、何より互いを思う強い絆が、私の興味を引きました」

女神は、静かに話を続ける。

「今、私が管理する世界の一つ、アースガルド王国のある大陸が、大きな危機に瀕しています。魔王の残党が力をつけ、世界は混沌の淵に立たされている。その世界に、あなたたち二人の力が必要です」

「私たち、の力……ですか?」奏は、警戒しつつも、論理的に状況を理解しようと努める。

「ええ。あなたたちには、私の手で新たな生を与えましょう。そして、その新たな生において、あなたたちが培ってきた武の才能を、異世界の力、魔法として具現化させ、授けます」

女神は右手をそっとかざした。すると、光の粒子が二人の体を包み込む。

「響。あなたには、その活発な空手家の魂と、炎のような情熱を具現化した力。空手の剛拳を応用した炎の魔法――すなわち**『灼熱のイグニス・フィスト』。そして、常人を超えた瞬発力と体術を、風の魔法――『超速の体術ウェロックス・ムーブ』**として与えましょう」

響の体が熱を帯びるのを感じる。それは、これまで感じたことのない、強大で、けれどどこか懐かしい力だった。

次に、女神は奏へと視線を向けた。

「奏。あなたには、その冷静沈着な剣士の魂と、研ぎ澄まされた集中力を具現化した力。剣道で培った絶対の技を応用した氷/水の魔法――『絶対零度のグラキエス・ブレイド』。そして、鉄壁の防御と戦略的な思考を、土の魔法――**『鉄壁の防御・地形操作フォルティス・テラ』**として与えましょう」

奏の体は、冷たい、けれど清廉な魔力で満たされる。それは、彼女の理性と知性に寄り添う、完璧な力のように感じられた。

「これは、私からのささやかな贈り物。チート能力と呼ばれる力です。あなたたちの魂と相性の良い力ですので、すぐに使いこなせるようになるでしょう」

女神は微笑んだ。

「あなたたちは、新たな世界で、ヴァイスブルク家の双子の姉妹として生を受けます。姉がリーゼロッテ・ヴァイスブルク、妹がアウローラ・ヴァイスブルク。新しい家族、新しい環境、新しい人生があなたたちを待っています」

響は、少しの寂しさと、それ以上の好奇心で胸がいっぱいになった。奏は、新たな使命と、チート能力という未知の力に、静かな興奮を覚えた。

「わかりました、女神様。私たち、新しい世界で、頑張ってみます」響は、前向きな性格そのままに、力強く答えた。

「響がそう言うなら、私も力を尽くします」奏もまた、姉の言葉に頷いた。

「ありがとうございます。あなたたちの未来に、幸多からんことを」

アステルギアの優しい言葉を最後に、光はさらに強烈になり、二人の意識は再び遠のいていった。

最後に響が感じたのは、温かい光と、奏が隣にいるという確かな感触。

そして、彼女たちの魂は、遥か異世界、アースガルド王国へと旅立っていったのだった。

次回予告

第1話:双子の誕生と規格外の魔力

転生を果たし、ヴァイスブルク子爵家の双子の姉妹、リーゼロッテ(前世:響)とアウローラ(前世:奏)として生を受けた二人。赤子ながらにして前世の記憶とチート能力を宿す双子は、その規格外の魔力量で、両親と兄を驚愕させる。静かに見守る母と、困惑する父と兄。幼少期、二人は家族の愛の中で、異世界の生活と、チート能力の制御を学んでいく。

次回、双子の規格外な日常が始まる!

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