3月23日
出席
空田金都 前元鈴美 栗生介 穴内美里
六月怜 栗生宗介 海鳥恋間 桃李春樹
水内百舌 磯橋楚々野 武樽銀 区寺薫
頭疎凛 村田西園 水戸甚 前元甘
はらりと花びらが落ちる。窓はつい先日まで満開だった桜が見る影もなく散っていく様を学生たちに見せつけている。
「10、9、8...いや耐えた。あ、8」
同じ言語だったとは思えないような難解な暗号を眠たくなるような声で読み上げられるその空間では花びらを数えることすら気を狂わせないようにするためには頼り甲斐のある行為であった。
軽い音が連続して鳴るとひとときの休憩時間。視線を黒板に移し意味を理解する事なく見えたものをそのままノートに書き込んでいく。
コツンと足元で軽い音が鳴った気がした。
だがものすごい勢いで白線が現れては消滅していく黒板から目を離すことはできない。
また呪文の読み上げが始まり窓の方を見る。ついに全ての花は散り寂しくなった枝が揺れている。
ツンと鼻を刺す鉄の香り。新調したシャーペンからだろうか。はたまた取り替えが決定されたこの古い窓枠がせめてもの抵抗をしているのだろうか。
救世主とも感じられるチャイムが鳴り響きようやく軽い地獄から解放される。
移動教室の準備をしていると隣の席にいる少女が自分の椅子に座ったまま私の椅子の下に潜り込んできた。
おそらく落とし物を探しているのだろう。さっきの物音の正体はこれだったのだ。
「ごめん、ちょっと消しゴム落としちゃって...すぐ取るから待って...ひゃわっ!」
彼女が座っていた椅子が傾き前方に大きく突っ込む。
全身でこちらに倒れかかってくる寸前に腹に蹴りを入れる。だが彼女は蹴られた勢いを利用して逆立ちのような体勢になり、そのまま私の脳天に踵落としを叩き込んだ。衝撃に顔を顰める間もなくシャーペンの先端がこちらに迫る。
机をこちらに引き寄せてそれを防ぎ、中から適当な教科書を取り出しお返しに角で頭に打ち込む。
血が顔を垂れて廊下にもボタボタ落ちる。
白い制服は染みた血により汚れる。
頭を押さえて蹲りながらヨロヨロと後退り彼女は掃除用具入れにぶつかる。
掲示物に刺さっている画鋲を抜き取り彼女の首に突き刺す。
傷口から激しく血が溢れて暫く痙攣したのち事切れた。
教科書を拾い筆箱を持って遠くの実験教室へ行く。次の時間は厳しいことで有名な理科教師のハゲだ。遅れれば学校中に騒音が鳴り響いてしまう。
私は駆け足でそこへ向かった。
水戸甚 14歳 誕生日 11月24日
好物 牡蠣 趣味 サイクリング