一張羅
一張羅
明け方に。
牡丹雪。
そんな様子で、
ゆっくりと。
降ってきたものは。
肩に降りるなり、
染みを残して、
ふと消える。
それは。
言葉に変換できない、
もらった感覚、そのまま。
それは。
風を受け、膨らみながら、
高く、舞い上がる。
これを。
呼ぶなら。
一張羅。
世に通用する、価値を持たない。
だけど。
内側に、深くしみこみ、
源泉になる、もの。
誰にも見えなくても。
誇らしげに。
宙に、大きくひろげて、
羽織るもの。
柔らかくて、軽い、
羽のようなものだ。