第6話「四天王の誕生」
戦争攻撃を仕掛ける2日前。戦場に行くメンバーはグラウンドで訓練に励んでいた。
「(三囲稲荷)ミティアライトドロップ!」
「(藏前玉姫)グレーシャー!」
「(須賀翔太郎)ウィンドオブリーフカッター!」
「(色原彩人)おー!みんなすごいな!もう極技を使えるようになったのか!」
三囲・藏前・須賀の3人が属性技の中でも習得が難しい極という階級をクリアしたことに色原は歓喜している。
「(色原彩人)で、あっちの2人は…」
色原はとある男女2人に目を向けた。
「(野見徳禰)だからそういう時はしっかりと避ける!」
「(宿元柱五)あぁん!できねぇー!」
「(野見徳禰)あれ?私に負けたままでいいの?笑」
「(宿元柱五)うるせぇー!すぐにでも越してやるからな!もう一回試合頼む!」
「(色原彩人)まぁ、俺がどうこういうとこじゃないか」
しかし色原の目が険しくなり違う方向を向いた。
「(色原彩人)さて問題はあいつだな!」
色原の視線の先は石塚だった。
「(石塚被官)ん?どうした?色原?」
「(色原彩人)お前はいつにたらったら極を習得しようとするんだ!」
そう、石塚はこの学校で武術は1番で色原よりも腕前は格上なのだが属性技は他のナイトより少し衰えているのだ。
「(石塚被官)お、俺だって頑張ってるんだけど…気を溜めたり、強く念じるとかよくわからないんだよ」
「(色原彩人)わかった…ちょっと来い」
色原は自分の部屋に石塚を連れて行った。
「(三峰理恵)あれ?あの2人どっか行ってる?」
「(伏見麗華)どうした?理恵ちゃん?」
三峰は色原と石塚を指差した。
「(三峰理恵)いや、あそこの2人が訓練中にどこかへ…」
「(伏見麗華)ズル休み!」
と伏見が確信を得たように言った。
「(三峰理恵)ず…ズル…休み?」
「(伏見麗華)ここは、私に任せて!あの2人を呼び戻してくる!」
すると伏見は走って2人を追いかけていってしまった。
「(三峰理恵)あっ…ちょっと…!」
「(宿元柱五)三峰さん?ちょっと見てもらってもいいっすか?」
「(三峰理恵)あ!ご、ごめんね!後で見るから〜」
三峰も伏見を追うように行ってしまった。
色原の部屋についた石塚と色原は…
「(色原彩人)よし!いいか?被官!今からお前にブラックナイトの力を与える」
そう、色原が石塚を呼び出したのは「ブラックナイト」という歴代で最強と呼ばれてきた力を与えるためだった。
「(石塚被官)ブ…ブラックナイトって!本当にいいのか?今の世代は、お前しか力は持ってないはずだろ?どうして?」
「(色原彩人)後に伏見先輩と三峰さんにも与えるつもりだ。焦ることはない。ただの前借りみたいなもんさ」
「(石塚被官)でも、なんで急に?」
「(色原彩人)お前は属性技があまり使えないが、武術だけはダントツの腕前だ。ブラックナイトの力はその力を宿す者の身体能力を格段に上げ、ブラックナイトだけが使える技を使うことができる。戦場でお前にヘマをさせないためにも、この力を早めに与えたほうがいいかと思ってな」
「(石塚被官)わかった。じゃあよろしく頼む!」
そして、色原が石塚の胸に手のひらを当て、力を込めようとした時…
「(伏見麗華)ちょっと待ったー!」
突然、伏見がドアから飛び出してきたのだ。
「(色原彩人)せっ…先輩?どうしてここに?」
「(伏見麗華)君たち…。」
伏見は走ってきたせいで息を切らしている。
「(石塚被官)は、はい?」
すると、伏見の後ろから三峰が顔を出した。その瞬間…
「(三峰理恵)先ぱ…」
「(伏見麗華)今いかがわしいことをしようとしていたでしょ!」
何やら勘違いされてしまっているようだ。
「(色原・石塚)え?」
「(三峰理恵)えぇぇぇぇぇぇ!」
「(色原・石塚)えぇぇぇ!」
伏見の後を追いかけて来た三峰にも2人は驚いた。
「(伏見麗華)君たちは…その…あれか?(恥)」
と、伏見は恥ずかしそうに言った。
「(伏見麗華)ボ…ボーイズラブというやつなのか!」
「(色原・石塚)ちげぇーよ!」
「(三峰理恵)いやぁぁぁぁー!」
「(色原彩人)てか、一旦落ち着け!お前ら!」
「(石塚・伏見・三峰)はい!」
「(色原彩人)切り替え早くない?」
色原が仲裁したことで一旦、この場が静かになった。そして石塚にブラックナイトの力を与えようとしていたことを2人に伝えた。
「(伏見麗華)許さん!許さんぞ!私は!」
急に伏見が怒ってしまった。
「(色原彩人)なんですか?先輩!」
色原は焦りながら伏見の怒りを抑えようとした。
「(伏見麗華)だって、そんな魅力的な話があったらすぐにでも使いたくなるだろ〜。将軍様のケチ!」
その姿は、まるでスーパーでお菓子を買って欲しいと駄々をこねている子供のようだった。
「(色原彩人)あぁぁぁもう!わかりましたよ!与えますからお待ちください!」
そして色原は石塚と伏見にブラックナイトの力を与えた。
「(伏見麗華)うっヒョョョ〜!すごく力がみなぎる感じがする!」
「(色原彩人)今日の先輩、キャラ崩壊してません?いつもの真面目で清楚な先輩はどこへ?」
そんな会話をしていると…
「(三峰理恵)あの〜私は〜?」
「(色原彩人)あ!ごめんごめん。じゃあいくよ」
色原は三峰にも力を与えようとした。しかし…
「(色原彩人・小声)やっぱりか〜」
「(三峰理恵)どうかしたんですか?将軍様」
「(色原彩人)別に敬語使わなくていいって前に言ったし、将軍様なんて言わないで名前でいいよ」
「(三峰理恵)わかった!彩人君」
「(色原彩人)うん!で、おそらく三峰さんの家の血筋的にブラックナイトの力が継承されているのかもしれない」
そう。何を隠そう三峰は王家の娘で、王家から代々伝わるブラックナイトの力を継承していたのだ。色原は王に気に入られたナイトでブラックナイトの力を与えられ、王が亡くなった今、ナイトの頂点に立ち将軍として役目を果たしている。
「(色原彩人)まぁ、これでみんなブラックナイトになれたということなんだが。4人もブラックナイトという役職がいるのも面倒だから各自の役職に名前を付けよう」
色原は、ブラックナイトが4人もいると面倒だと思い、それぞれの役職に名前を付けようと考え、それぞれの属性の名前の後に「アドバイス」と名付けた。
「(色原彩人)三峰さんはレッドナイトアドバンス、被官はグリーンナイトアドバンス、伏見先輩はブルーナイトアドバンスで行こう」
「(石塚被官)色原。お前は?」
他の3人は、各自で極めた一つの属性を持っているが、色原は3つの属性を完璧に極め、ブラックナイトの力を持っているため、得意と呼べるものがないのだ。
「(伏見麗華)もうブラックナイトでいいんじゃないですか?」
「(三峰理恵)そうですね!最強には最強の肩書を!」
「(色原彩人)そうだな!これで四天王の復活だな!」
「(三峰理恵)四天王?」
四天王とは、数年前にいた王を含め、最強の3属性のナイト3人が揃った最強の4人組のことだ。しかし、シャドー勢力を抑えようとした王は、シャドーのトップに君臨する「アルティメット」にやられ、他の3人はトップシャドーに敗れてしまった。そして、しばらくの間、四天王という肩書きは薄れていってしまったのだ。
「(色原彩人)まさに今の俺たちにピッタリだろ?」
「(石塚被官)そんな肩書をもらったら、勝つしかないよな?」
「(色原彩人)よし!奴らに勝つぞ!」
ナイト軍のトップである色原によって再び結成された四天王。彼らは無事に勝利することができるのだろうか…。
第7話へ続く