第11話「決着と新たな敵」
シャドーの攻撃によって一真が弱シャドー状態になってしまった。初めて見る一真姿にナイト達は恐怖心を抱いている。色原はこの残りの4500体のシャドーをどう打開していくのか…
「(色原彩人)て…片付いてんじゃん…」
残り4500体近くいたシャドーは片付いてしまっていた。
「(三峰理恵)あ!彩人君!片付けときましたよ〜」
「(色原彩人)タメ口でいいって。てか、あの量を全部!?」
「(三峰理恵)いや…赤川さんと青天さん、縁鰐さんに他のナイトの人たちと倒したよ?」
「(赤川神)いやいや何言ってるの?8割ぐらいは三峰さんが倒したでしょ?」
「(色原・宿元)あはは…。(心の声)さすが三峰家のお嬢様…敵に回したら死ぬかも…」
「(三峰理恵)そんな大袈裟なw」
「(赤川神)というか、どうしますか?この大量の人たち…」
シャドーは討伐されると取り憑かれていた闇が一時的に抜け、元の人の姿に戻る。
「(色原彩人)すでに浄化作業に入ってるナイト達がいるから、浄化が終わった人たちを手当たり次第病院にブチ込むか」
「(石塚被官)言い方酷いな」
そこに石塚も合流してきた。
「(石塚被官)病院なら知り合いの医者がいっぱいいるから声かけるよ」
「(色原彩人)…」
色原は驚いたような顔で石塚をじっと見つめている。
「(石塚被官)な、なんだよ」
「(色原彩人)お前が人のために動くとはなぁ〜」
「(石塚被官)は?」
「(色原彩人)なんか変な攻撃でも喰らったんじゃないかー!」
そう言いながら色原は石塚の背中をバシバシと叩いた。
「(石塚被官)痛…うっせぇ!この白髪野郎!」
「(色原彩人)はぁ!こっちはちょっと気にしてんだぞ!」
「(石塚被官)事実だろ!」
「(三峰理恵)あの…」
三峰は2人を止めようとしたが2人のしょうもない口論は止まらない。
「(色原彩人)白メッシュというオブラートに包み込んだ言い方ができないのか!脳筋が!」
「(三峰理恵)はぁ〜…」
「(宿元柱五)っあ…これやばいやつだ」
宿元は何かに怯えている様子だった。
「(石塚被官)まぁ白髪は事実だし?脳筋だけどきちんと戦えてるから戦力になってるし?」
石塚はどこか自慢げな顔をしながらそんなことを言った。
「(三峰理恵)あの!」
「(色原・石塚)三峰さん!ちょっと黙ってて!」
その瞬間三峰は2人の頭をおもいっきり殴って黙らせた。
「(三峰理恵)早急に人を運ばないとまた被害が出るということをご理解なさってますか?」
三峰は、あきらかに怒っているのが丸わかりな笑顔をしながら2人を見て言った。
「(色原・石塚)す…スビ…マセン(涙目)」
「(宿元柱五)1番怒らせたら怖いのは三峰様かもしれない…」
「(色原彩人)そうだね!よし!これにて、一旦終戦!」
「(三峰理恵)早く手伝えー!」
まだ全てが終わったわけではないが、この場はここで一旦終戦した。
「(石塚被官)エレキテルと紅薔薇を連れて行ったアイツいる間は気が抜けないな」
「(色原彩人)ただ…」
色原は石塚に近づきヒソヒソ話を始めた。
「(色原彩人)今後は、三峰さんの機嫌を損ねないようにしないとな」
「(石塚被官)あれは怒らせたら怪我で済むやつじゃないしな」
「(三峰理恵)何か言ったかな?(ムカッ)」
「(色原・石塚)なんでもありません!(汗)」
そんな中、宿元はしょんぼりとした顔をして地面に座っている。
「(野見徳禰)どうしたの?ダサい顔して」
「(宿元柱五)一真が襲われたんだよ…」
「(野見徳禰)え?珍しく言い返してこない?」
「(宿元柱五)そこ!?」
「(野見徳禰)まぁとにかく回復するのを願うしかないわね。今の私たちに出来ることはそれだけ」
「(宿元柱五)そうだな…」
「(色原彩人)大丈夫だ。先輩がついてるから」
「(宿元柱五)はい」
こうして、シャドー対ナイトの戦いは一時休戦した…。しかし、これはまだ序章にすぎなかったのだ。
「(三囲稲荷)疲れましたね」
「(石塚被官)疲れた〜色原なんか奢って?」
「(色原彩人)お前な…給料なら困らないぐらいあげてるだろ?」
「(石塚被官)じゃあ奢らなくていいから飯行こうぜ?」
「(色原彩人)じゃあみんなでいくか?」
「(三囲稲荷)知り合いがお店やってるので、電話してみますね」
「(色原彩人)本当!ありがとう!」
そして、残った人たちの浄化と病院への搬送が終わった後…
「(戦った全ナイト達)乾杯!」
戦ったもの達は三囲の知り合いが運営する焼肉屋で飲み物を片手に食事を親しんでいる。
「(色原彩人)うめぇ!」
「(石塚被官)ちょっ!バカ!それ俺の肉だよ!」
「(色原彩人)早い者勝ちだ!バーカ!」
「(石塚被官)てめぇ!さっき…」
ほんの数分前に戻ると…
「(色原彩人)いいか…肉は均等に分けるんだぞ…奪い合いではなく平和に食べよう!」
現在…
「(石塚被官)って言ってたくせに!虚言癖!裏切り者!デブ!」
「(色原彩人)ン…ンンンン…ンン…ンンンンン(翻訳)騙される方が悪いんだよ!人を簡単に信用するな!」
色原は食べたままハミングでそんなことを言ったらしい。
「(石塚被官)何言ってるかわからねぇけど煽ってるのはそのうざい顔からわかる(ムカッ)」
石塚は色原の皿にあった肉を強奪して食べた。
「(色原彩人)おま…俺の肉…食ったな」
「(石塚被官)そっちが先に肉取ったんじゃねぇか!」
「(色原彩人)取ったけど食べてねぇだろ!」
色原は食べていないだけで皿には乗せていたので食べる気満々であった。そしてポコポコと喧嘩が始まった。
「(伏見麗華)はぁ〜始まったよ…毎度の恒例行事」
「(赤川神)俺らもよくやってたよ!」
「(三峰理恵)賑やかでいいじゃないですか」
すると赤川がここで三峰に質問をした。
「(縁鰐玲央)そういえば、三峰さん。選抜試合の第一リーグで優勝したから西部隊に配属させてもらう権利があると思うんだけど、どうする?四天王の名前をもらっているから、西部隊では副隊長候補として、すぐ名前が挙がると思うけど?」
その言葉を聞いた三峰は黙り込んでしまった。
「(縁鰐玲央)ああ、ごめん。急だったよね。ここで答えを出さなくてもいいから、ゆっくり考えな。僕はどっちでもいいから」
「(三峰理恵)は…はい」
基本的に部隊に所属している方が給料が高い。そして、学生ではないため、国民から真のナイトとして名を馳せることができる。色原や石塚、伏見などは、育成学校を卒業し、それぞれ北、東、南部隊に所属している。
「(三峰の心の声)今はこの空気の中にいたい。それでも、お祖父様には所属するように言われる気がする。でも、私は…私は!」
すると…
「(桃川美玲)どうしたの?震えてるよ?」
そう優しく声をかけたのは桃川だった。
「(三峰理恵)きょっ!教官!なんでここに!?」
「(桃川美玲)実は、選抜試合が終わったらこの仕事を降りる予定だったの。色原君が戻ってきて、教育係はもういらないんじゃないか?って役員の人から言われたから。だから私のお疲れ様的な意味も含めて、ここに参加させてもらってる感じかな?」
そう告げる桃川の横顔は少し悲しさが伝わってくるようだった。
「(三峰理恵)仕事を降りるって、教官まだ私と同い年じゃないですか。育成学校卒業してるし、頭も良いので行く宛はいくらでもあるんじゃないですか?」
「(桃川美玲)わからない。でも…」
「(三峰理恵)でも?」
「(桃川美玲)もう少しだけ。もう少しだけでいいから、この業界に残っていたい」
「(三峰理恵)それじゃあ残っていたい理由は…て」
三峰は桃川が頬を少し赤らめ、視線が自然と色原の方向へ向いてることに気がついた。
「(三峰の心の声)教官が残っていたい理由って…まさか…」
と、なんだかんだでみんなワイワイと焼肉を楽しんでその日の出来事が終わった。
そして…
「(色原彩人)うまかった〜!」
「(三囲稲荷)気に入っていただけたのなら良かったです!」
「(石塚被官)コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス…」
何故か石塚は浮かない顔をして色原を睨みながらブツブツと何かを言っていた。
「(伏見麗華)ねぇ、なんか唱えてて怖いんだけど」
「(三峰理恵)あぁ…これは彩人君に肉をほぼほぼ食べられて萎えてるだけですね」
「(石塚被官)コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス…」
「(赤川神)どうした被官!ガリガリじゃねぇか!俺がコンビニで飯奢ってやるよ!」
「(石塚被官)まじっすか!珍しく優しいっすね!」
「(赤川神)今の発言、給料から引いとくな(イラッ)」
「(石塚被官)いやぁぁぁ!」
「(赤川神)さぁ、ウォッカとウイスキーでも買って行こうか!」
赤川は石塚の首を絞めながら言った。
「(石塚被官)隊長…俺…16歳」
「(赤川神)行くぞ!」
と石塚は赤川に服を掴まれ引きずられながらその場を後にした。
「(色原彩人)とりあえず今日は家に帰っていいぞ」
「(三峰理恵)敵の奇襲とかは大丈夫なんですか?」
「(色原彩人)こちらから何も手を加えない限り、奇襲はないと思うぞ」
「(伏見麗華)将軍様、南部隊の加勢が来なかったことが少しだけ気がかりなんだ。少し話し合いをしないか?」
「(色原彩人)そうだな、被官は連れていかれたから三峰さんと桃井さんも入れた4人で話そう」
「(桃井美玲)え?私もですか?」
そうして話し合いの場が設けられたのだが…
「(伏見麗華)ダメだ!私の家は絶対!」
ん?なにやらまた面倒そうなことが始まろうとしていた。
「(色原彩人)なんで?」
「(伏見麗華)なんでもだ!」
「(色原彩人)はぁ〜わかったよ、本部でやるか」
そして場所は変わり、4人は本部のへ向かったのだが…
「(色原彩人)ん?なんで学校の電気がついてるんだ?」
「(桃井美玲)食事に向かう頃には電気も消し、戸締りもして学校を出ましたよ?」
「(色原彩人)待って桃井さん!もしかして…一真君を学校で休ませてたりする…?」
「(桃井美玲)はい…リハビリ室で休ませてます…って!あ!」
その場にいた全員は走り出し、学校の中へと入って行った。
「(三峰理恵)校内の備品が壊されてる…」
「(桃井美玲)完全に油断してた…」
「(伏見麗華)どうしますか?将軍様」
「(色原彩人)二手に分かれて探そう!俺と桃井さんは校舎を。先輩と三峰さんはナイト寮とその他の建物をお願いします!」
「(伏見・三峰)はい!」
「(色原彩人)よし!俺たちも早く探そう!」
シャドーになった一真の暴走を阻止するため色原達は急いで捜索を始めた…
しかし…とある教室で
「(?)っチ!もう来やがった!悪いけど一真君。君にはもう少しだけ僕のお手伝いをしてもらいますよ」
「(一真)ヴァァァァ」
第12話へ続く
無事に戦いを終えたナイト達は祝杯を上げた。しかし南部隊が来なかったらことに伏見は不穏を抱いており、色原達と会議をするため学校へと向かったが備品は壊れ、霰もない状態だった。しかしその頃、色原達は以外にも学校に侵入している者がいた。新たな敵が現れる予感がする…