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021.はじめての……

えっちぃ要素があります。苦手な方は飛ばすことを推奨。次の話の冒頭で今回の話のまとめを置いておきます。


 三人が森へと狩りに出発し、エンバーとフェイは組み立て終え、テントの中で談笑を楽しんでいた。


「――そういえば、そのアイテム袋の中って何が入っているの?」

「実は、まだ知らないんだ。アイリスさんが色々入れてくれたってのは聞いたが、詳しい中身はまだ確認していないんだ」

「ふーん」


 フェイはチラッチラッとエンバーを見る。

 エンバーはその視線に気が付くと苦笑し、アイテム袋を手に取った。


「見るか?」

「見る!」


 エンバーはアイテム袋を開けた。

 アイテム袋の中に手を突っ込み、次々とアイテムを取り出していく。


「解体用のナイフ、治癒のポーション、魔力回復ポーション、簡易料理キッド、簡易的な食料、食器、替えの衣類数着。あとは……酒?」


 アイテム袋から次々とアイテムを出していくと、一本、また一本と、次々と酒が。それも、一升瓶単位で何本も出てきた。


「なんでこんなに酒が……?」

「それに、結構上等なものよ? あたしの家でも何本もないような」

「あたしの家でも?」

「ああ、お父さんが好きでね。空き瓶をコレクションしてるのよ。捨てればいいのに何本も溜まっていっちゃって」

「ふーん」


 エンバーは適当に流し、目の前にある十数本はあるであろう一升瓶を見る。


「これ、飲んでいいのか……?」

「んー……いいんじゃない? 飲んじゃダメなものを入れるとは思えないし」

「まあ、それもそうか」


 因みに、この酒は全て白狼の酒である。というより、共鳴の方舟(レゾナンス)でここまで大量に酒を飲むのは白狼くらいなものである。

 アイリスが白狼の隙を見て、白狼の酒が置かれている棚から持ってきたものだ。

 今頃は、棚から酒が半分ほど消えて白狼が廃人になりかけている頃であろう。


 暫く三人を待っていると、やがて暗い木々の間から光が漏れでてくるのが分かった。エンバーが渡した手持ちランプの光である。


「おかえり。思ったより長かったな」

「ただいま。なかなか獲物がいなくてね。探し回る羽目になったよ」


 そういいながらトーネは肩に背負った未だ血抜きがされていない狼の死骸をどさりと下ろす。


「血抜きもしてないのかよ……」

「しょうがないじゃん。血抜きなんてしてたらもっと遅くなってたよ?」

「ま、それもそうか」


 エンバーは持ってきた狼の頭をアイテム袋に入っている自身の剣で両断し、狼の足にヒモを結び近くの木にぶら下げた。すると、体内に残っていた血がダラダラ滴り落ち、地面に吸収されていった。


「よし。後は少しの間放置だな。その間に内蔵やらを取り出さないと」

「あ、お手伝いします! 村で何度かお手伝いしたことがあるので」


 エンバーが解体用のナイフを構えると、横からシエスタが手伝いを立候補してくれた。だが、エンバーはそれをやんわりと断った。


「さっきまで狩りで森にいたんだ。休んでていいぞ」

「いえ……ほとんどトーネさんがやったので、疲れるもなにもないって言うか……」

「あー……」


 まあ、竜だしな。と心で呟く。恐らくだが、トーネにシエスタの支援魔法を掛けても大して変わらないんじゃないかと思う。


「なら、手伝ってくれ」

「はい。頑張ります!」


 二人は狼の解体を始めた。

 そこから時は流れ、一時間ほど。五人と一匹は狼の肉を堪能していた。

 エンバーはリングに狼の肉を渡すのはどうかと思っていたが、なんの躊躇いもなく食べた時は喜んでいいのか同族を何も思わずに食べることへ引けばいいのか分からず思わず黙ってしまった。


「少し臭みはあるが……全然いけるな」

「そうね。それに、焼き加減が絶妙ね。流石シエスタ」

「えへへ……そんなこと」


 謙遜はするが嬉しそうなシエスタ。

 エンバーたちは、狼を解体している間に焚いてくれた焚き火の回りに集まり狼の肉を食べていた。


「ねぇ、エンバー! お酒飲も! お酒!」

「そうだな。皆で呑んだ方が楽しいだろうし」

「お酒があるの?」

「エンバーのアイテム袋の中にね。それなりの物が多かったし、今夜は楽しくなりそうね」


 ウキウキとしているフェイとは裏腹に、シエスタはどこか申し訳なさそうにエンバーに訪ねる。


「あの、いいんですか? 私たちなんかが頂いて。それなりにお高いんでしょう?」

「まあ、気にしなくていいだろ。さっきも言ったが、一人で飲むよりもみんなで飲んだ方が美味しいだろうし」


 まあ、エンバーさんがそういうなら。と、シエスタは引き下がった。

 エンバーはそれぞれに食器を渡し、適当に取り出したお酒をそれぞれに注いでいく。


「それじゃ……そうだな。みんな、フェイの無事を祝って、乾杯!」

「「「乾杯~!」」」

「か、乾杯……」


 それぞれは楽しそうに、笑いながらコールを上げるが、フェイは申し訳なさそうに乾杯コールを唱える。恨めしげにこちらを見てくるが、エンバーはそれを見ないように酒器に口を付ける。


 次の瞬間、エンバーの喉にピリッとした刺激が襲い掛かる。一瞬むせ返りそうになるが、暫く味わうと段々と慣れていき、ゴクリと飲み込むことができた。


「ゲホッゲホッ。随分度数高いな……」

「うぇ。喉がピリピリします……」


「そう? 美味しいじゃない」

「うん。初めて飲んだよこんなに美味しいの」


 フェイとリリアンは、エンバーとシエスタとは違いこともなさげに酒を呷る。


「嘘だろお前ら……」

「ふ、二人とも、凄い」


 エンバーたちは二人に感心を寄せる。

 そういえばトーネの声が聞こえないなとトーネの方を見ると、酒器をキラキラとした目で見ているトーネがいた。


「お、美味しい……! なにこれ、なにこれ!?」

「あら? トーネさんはお酒の良さを知っちゃったみたいね?」

「うんうん! 凄いよこれぇ! エンバーさん、おかわりちょーだい!」

「はいはい」


 エンバーはトクトクとトーネの酒器に酒を注いだ。


 それから、エンバーたちの夜は加速した。

 なにが原因だったかと聞かれれば、それは恐らく、エンバーが途中から注ぐのを面倒臭がり、アイテム袋に入っている一升瓶を全て吐き出した辺りだろう。


 そこからは、飲めや歌えやの大騒ぎだった。

 フェイ、リリアン、トーネはともかく、段々酒を飲んでいくごとにシエスタも酒に慣れていき、気が付けば一人で一升瓶を丸々一本を飲むレベルで飲んでいた。

 だがエンバーは周囲の警戒という意味も考えて、なるべく酒を押さえるように意識していたため、他の四人よりか酔いが回らずに済んでいた。


「うっぷ……。やべぇ、飲みすぎたか……?」


 エンバーはフラフラとする頭をなんとか働かせる。

 辺りを見ればリリアンとシエスタの瞳は既に閉じており、酒瓶を抱き締めながら眠ってしまっていた。


「んもぉ。二人とも、寝ちゃったのねぇ……」


 エンバーと同じく、フェイは足元をふらつかせて二人の側へと近づき、シエスタを抱き抱える。

 エンバーはそれを見て、テントに寝かすのかと察してリリアンを抱き抱えた。

 二人をテントの中に連れていき横たわらせる。


「ありがとぉ。えんばぁ」

「あ、ああ……」


 酔いで顔を赤くしたフェイがエンバーに寄っ掛かる。すると、服の隙間から見える豊満な肉体がゆらゆらたわたわと揺れるのがチラチラと視界に入ってくる。


 エンバーは咄嗟に目をそらすが、それに気が付いたのかフェイはふへへと笑う。


「どーしたのぉ? えんばぁ」

「い、いや。なんでもない……」


 巨大な山の狭間を見てしまったなんて言えるか。と内心で呟くが、フェイはそれを分かったようにニヤニヤしながら、エンバーの腕に双子山を押し当てる。


「お、おい…」

「んふふぅ。照れてるぅ。かわいー」


 フェイは押し当てを強くする。

 なるべく意識をしないようにしながらテントを出ると、そこには一升瓶をラッパ飲みをしているトーネの姿があった。


「うへぇ……」

「んふふぅ。豪快だねぇ」

「んぐっ。んぐっ。ぷはぁ……。うまい~」


 トーネはその場にぐでぇと倒れる。

 エンバーはしょうがないなと溜め息を吐きながらトーネへと近づき起き上がらせる。


「ほら、寝るならテントに……」

「エンバーさん。一つ、お願いがあるんだ」

「ん? なんだいきなり」


 エンバーは少しの違和感を抱きながらも、トーネの話に耳を傾ける。


「僕さ、人間を知りたいんだ」

「ふーん。まあ、機会はあるんじゃないか?」


 エンバーは話し半分でトーネの話を聞くが、次の瞬間、トーネの言葉に耳を疑うこととなる。


「特にさ、人の繁殖について知りたいんだよ」

「ふーん。…………へ?」


 次の瞬間、トーネはエンバーに覆い被さっていた。

 エンバーは多少抵抗するが、竜の力に抗える筈もなく、なす術のない状態である。


「ふふん。無駄無駄。僕に勝とうなんて百年早いよ。大人しくしてなさい。星の数を数えている内に終わるから」

「お前……酔ってない!?」

「竜があの程度で酔うもんですか」


 ここで、エンバーはさっき感じた違和感の正体を知る。酔いが回ってなかったのだ。酔いが回っているにしては、明らかに喋り方が普通過ぎたのだ。


 エンバーは(すが)るようにフェイを見る。が、フェイはフェイでイタズラする相手を見つけた! と言わんばかりに目をキラーンと輝かせる。


「んふふ……いいねぇ! 最近ご無沙汰だったし、あたしもまっざるぅー」

「おい!?」


 その後、テント付近からは(なまめ)かしい音と二人の女性のさえずりと一人の男の掠れた声が響くのだった。


 因みに、その音と声で近づいてくる魔物も居たが、警戒していたリングの手によって退治されていた。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。ブックマーク登録や評価、感想をいただけるとモチベが爆上がりします。また、「ここおかしくない?」、「ストーリー矛盾してない?」ということがありましたら感想で指摘していただければ幸いです。

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