表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/99

72.ホテルワゴン

読みに来ていただきありがとうございます。

今回も、お付き合いよろしくお願いします。

 夢野の身に危険を感じて部屋に戻っては見たものの、やはり夢野は戻っていない。

 エン魔は、夢野がいなくなったことで少しパニックを起こし、珍しく半べそでふさぎ込む。


 ――おっとあぶない。またもや、エン魔の頭をなでてしまうところだった。


 キュイー、キュルキュル、キィキー。

 キュイー、キュルキュル、キィキー。


 突如、ドアの向こう、廊下から響き渡る錆びた鉄がするような耳障りな音。

 そうそれは、以前にも聞いたことがある。

 あのホテルワゴンの車輪のまわる音。


 そのワゴンにかけられたクロスは、まるで遺体を覆っているかのように見えたのだった。

 それは、まさに遺体を運ぶストレッチャー。


 キュイー、キュルキュル、キィキー。

 キュイー、キュルキュル、キィキー。


 今のオレには、もはや悪い想像しか浮かばない。


 ――夢野!!


 オレは、部屋のドアを押し開け、なりふりかまわず廊下に出る。

 小っちゃなエン魔も緊縛ギツネのぬいぐるみを背中に背負ってオレに続く。


 すかさず、廊下の先を左右確かめるが、ホテルワゴンの姿はどこにもない。

 すでに、廊下には、一切の音は消え失せ、ピンと張った糸のような空気の中で静まり返っていた。

 勢いで飛び出したものの、手がかりすら見つけ出すことができない。


 どうしたものかと頭を悩ませていると、背後に不穏な気配を感じる。

 オレとエン魔は、互いの顔を見合わせ、息を飲む。

 それは、オレとエン魔のすぐ後ろ、砂時計の砂のような微かな違和感が肩越しに落ちる。


 オレは、エン魔に目配せすると、呼吸を合わせて振り返る。

 オレとエン魔が、気配の中心から距離を取り、身構えようとした、その時。


 ドン、ドドド、ガシャ、シャ、シャ、シャーン。


 突然、天井から制気口のスリットごと何か白いかたまりが落ちてきた。

 その真っ白でモフモフした丸いかたまり。


 そう、それは、けも娘だった。


 けも娘は、天井から思いっきり転落してきたにもかかわらず、尻もちをついた格好で、ペロッと舌を出し、喜々とした瞳を向ける。

 気配の正体がけも娘とわかってほっとしたのもつかの間、けも娘は、ピクピクッと耳を動かしたかと思うと、何かを聴き取ったのか廊下の先に強い視線を送る。


「ガウ」


 突然、全力で駆け出すけも娘。

 オレとエン魔が呆気に取られていると、けも娘は急に立ち止まりこちらに振り返る。


「ミィギ?」


 小首を傾げ、不思議そうな表情。

 エン魔が目を細め、オレを見上げる。


「シオリーの場所がわかるのよ」


 オレとエン魔には聞こえない車輪の音が、けも娘には聞こえているのかもしれない。


 けも娘を追って連れてこられたのは、使用されてないはずのエレベーター前だった。

 スイッチやエレベーターの現在地を示すランプなどは完全に消えていて、どう見ても動くようには思えない。


 けも娘は、かまわずエレベーターの扉と扉の間に爪をねじ込む。


「ミィギ、ギ、ギ、ギ、ギ、ギ、ギ……」


 扉が少しずつこじ開けられていく。


 けも娘の怪力に圧倒されるオレとエン魔。

 扉が開くにつれその隙間から機械音がもれ出てくる。


 ――これ、動いてるぞ!


「これ、動いてるー」


 互いの顔を見合わせるオレとエン魔。


 完全に扉が開くと、当然のようにそこにはエレベーターのかご室はなく、内部をのぞき見ると、レールやワイヤーロープなどの機械的な部分がむき出しになって、トンネルを縦にしたように上下に続いていた。


【応援よろしくお願いします!】


「面白かった」「続きが気になる」と思ってくれた方、下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


 面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちで大丈夫です!


 ブックマークもいただけると本当にうれしいです。


よろしくお願いします。


やっぱり、地下が怪しい……。

次回、「73.エレベーターダイブ」

お楽しみに!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ