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7.閻魔帳

読みに来ていただきありがとうございます。

異世界でなければ、ここはどこ?

それでは、ごゆっくりどうぞ。


 異世界でもなければ、能力もさほどではない。

 転生に失敗したことを悟ったオレは、八つ当たり気味で語気を強め、エン魔をにらみ返す。


「それはそうと、なんでお前までここに来てんだよ」


 お前呼ばわりされて、ムッとするエン魔。


「何度も言うけど、わたしは閻魔よ! 少しは畏れ、奉りなさい」


 さらに、切れ気味に続ける。


「だいたいキミの脳内文字変換、エン魔になってるでしょ。 閻魔、いや閻魔様にしなさい」


 仕方がない、機嫌がおさまるまで、しばらく閻魔様としておこう。

 閻魔様は、言いたいことを言いたいだけ言い放つと、今までとは打って変わり、深刻な表情で、ぼそりと言う。


「閻魔帳よ」


「閻魔帳……?」


 オウム返しに、つぶやくオレ。


「これ、おぼえてるでしょ」


 胸元から書物を取り出す。

 どうやってしまってあるのかわからないが、小さな胸と胸の谷間から取り出すには、無理があるほど大きい。

 その書物は、半分から後ろがやぶり裂かれていて、なくなってしまっていた。


 オレが魔法陣の中に沈んでいくときに、引き裂いてしまったあの書物だ。

 どうやらそれが、閻魔大王が持っているとされている、あの閻魔帳だったようなのだ。


「……」


 オレは、返す言葉が見当たらない。


「やっぱり、持ってないのね」


 閻魔様は、オレの反応を見るなり、残りの半分をオレが持っているのではないかという、すがるような希望を失ったようだった。


 ――散らばった残り半分は、オレと一緒に魔法陣の中に沈んでいったはずだが……?


 深くため息をつくと、閻魔様は続ける。


「とにかく、全部集めなきゃ」


 閻魔様は、部屋のカーテンを開いて、外を見まわすと、オレに強い眼差しを向ける。


「わたしたち、大変なことをしちゃった……」


 立ちすくむ閻魔様をしり目に、窓に近づき外を見ると、そこには荒廃した、それこそ地獄のような風景が広がっていた。


 どんよりとした暗雲が立ち込める空には、力を失った太陽がわずかな輪郭を残して、かろうじて薄暗い光を地上にとどけている。

 薄暗い灰色の世界の中に立ち並ぶ建物は、まるで大震災でも起こった後のような光景をつくり上げていた。


 家々の窓ガラスはすべて割れ、壁には大きなひび割れ、高いビルの上層階は、見るも無残に崩れ落ちて、ビルの高さを半分程度にしている。

 もはや、まっすぐに建っている建物さえ見つけるのが難しいといった状況だ。


 地面も波打ち、所々に地割れが起きていて、道路や橋は使い物にならず、車などはいたるところに放置されたままになっていた。

 この状況では、電気、ガス、水道などのライフラインも生きてはいないだろう。


 ただこの部屋には、電気が通っていて以前と変わらない。


 閻魔様に聞いた話では、どうやらこの部屋は、オレの記憶を頼りに構築した仮想空間のようなものらしい。

 どおりで、オレの部屋は、二階にあったにもかかわらず、窓から見える光景は、ずいぶんと高いところから見たときの視点だ。


 それならば、ここに来た時から感じている、部屋全体が宙に浮いているような、ふわふわした妙な感覚もうなずける。


 唖然としながらも、遠方に目を向けると、天空から光が降り注ぐ場所が目についた。


 暗雲を吸い込むように空間に開かれた巨大な穴のようなものから、光の粒子が降り注いでいる。

 その真下には、それと対を成すように、真っ黒なすすのような闇が地面から湧き上がっているのが建物の合間から、垣間見えた。


 どうやら、地面側にも空間の穴があるらしい。


 天空からの光と地中からの闇とが融合し、それは、あたかも、光と闇で創られた巨大な柱のようにそびえ立つ。


 一変した周囲の状況に唖然とし、思わず叫ぶオレ。


「ど、どうなっちゃったの?!」


 閻魔様が、気落ちした表情で肩の力を落とす。


「閻魔帳が書き変えられて、この世の理がおかしくなっちゃたのかも」


 そして、鋭い目線をオレに向ける。


「とにかく、残りの閻魔帳をさがしましょ」


次回、ひねくれる聡亮。

そんな聡亮に、さらなる衝撃展開。

お楽しみに!!


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