62.アスパラ畑
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「よっし、夢野。残り半分だな」
アスパラガスの苗を植えつける作業も、もう少しというところまできていた。
畝をあらかた作り終えたオレは、苗を植える作業を手伝おうと腰を上げる。
とそのときだった。
タッタタタタタタ……。
何かの気配に、いち早く反応するエン魔。
オレと夢野も、エン魔の向ける視線の先に注意を向ける。
「ミィギ」
そこに現れたのは、またしても、あのけも娘だった。
ご多分にもれず、オレにまとわりついてくる。
「おい、おい。勘弁してくれ」
――これじゃ、作業どころじゃない。
オレは、転がっていた小石を拾うと高く投げ上げる。
けも娘は、それにすばやく反応して、全力で駆け出す。
そして、投げた小石を拾い戻ってきてそれを置くと、楽しそうにシッポをくねらせ、ニコニコ笑顔。
エン魔は、目を細めて呆れ顔。
オレは、けも娘が戻ってくるまでに拾っておいた小石を立て続けに投げまくる。
それでもけも娘は、全ての小石を間違いなく拾い集め、最初においた小石の横に一列、きれいに並べていく。
このけも娘の行動に以前にも感じた、思い出せそうで思い出せない、なにかモヤモヤした気持ちが湧き上がる。
――いったい、なんなんだ?
そんなオレの気持ちを知ってか知らずか、けも娘は、「全部拾えたよ。スゴイでしょ」と言わんばかりに自慢げに瞳を輝かせる。
夢野は、以前に助けられたことをなんとなく記憶しているのだろうか――あの時は、意識が定かでなく、されるがまま口移しで餌付けされていたが、まったく警戒する素振りも見せず、けも娘の頭をなでながらやさしくほほ笑む。
「エライね。エライね」
「ミィーギ、ミィー」
夢野に抱きつきピョンピョンと跳ねまわるけも娘。
夢野もけも娘をやさしく抱きしめ、よりいっそう頭をなでる。
「そうだ。一緒に苗を植えようよ」
夢野は、けも娘を畝の近くに連れていき、苗の植えかたをやって見せる。
「こうして穴を掘って、こうして、こうやって……」
夢野のとなりにしゃがんで、瞳を丸くしながら夢野の身振り手振りにしばらくの間見入っていたけも娘だったが、突然立ち上がると畝の上をピョンピョンと跳ねまわり出した。
「ミィギ、ギ、ギ、ミィギ、ギ」
ご機嫌で跳ねまわるけも娘。
愕然とするオレと夢野。
呆れ果てたエン魔は、冷ややかな視線を送る。
せっかくの畝が台無しになるどころか、植えた苗も無事ではないかも知れない。
畝や苗の状態を確認するために近づくと、畝にはまったくと言っていいほど損傷などはなく、それどころか等間隔に苗を植えるために適した穴があいているのだった。
なんとけも娘は、絶妙な力加減でつま先ジャンプを繰り返すことにより、苗を植えるのに都合の良い穴を適切な距離を保ちながら開けていったのだった。
畝の向こうで自慢げにシッポを揺らし、ニッコリ笑顔のけも娘。
けも娘のおかげもあり、苗を植える作業は思ったよりも早く終わり、肥料などを軽くまく。
後は、適度に水をやって作業は終了だ。
水場でジョウロに水をくみ、苗、畝にさーっとまいていく。
ジョウロに余った水で、互いにふざけてかけ合いが始まった。
そこに、面白そうだと踏んだエン魔がオレのジョウロを奪い取って参戦する。
元々、全裸に近いエロかわけも娘だが、濡れて毛並みが寝るとなおさらエロさが際立ってくる。
「ミィ、ミィ、ミィー」
夢野も夢野で、濡れた着衣が肌に貼り付いてブラが透けて見えているのだが、そんなことはいっさい気にしていない様子。
「きゃー! エン魔ちゃん、反則ですー」
エン魔はエン魔で、自分にはかからないことをいいことにやりたい放題。
「閻魔大王様を呼びなさい。もっ、もっと畏敬の念を示しなさい」
三者入り乱れての、大乱闘、大混乱の大騒ぎ。
アスパラ畑には、楽しげな声と笑顔があふれかえっていた。
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エン魔のひとり勝ち。
次回、「63.純潔潔白の攻防」
お楽しみに!!
 




