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50.肉を喰らう者

読みに来ていただきありがとうございます。

今回も、お付き合いよろしくお願いします。


夢野がそろそろ限界です。

夢野ー、ガンバレー!!


それでは、ごゆっくりどうぞ。

 五日前の夜、餓鬼を遠ざけるために投げ捨てた小石を、なぜか持って来たけも耳全裸エロカワカワカワ娘。


 あの餓鬼が五日間かけて小石を探し出し、このけも耳全裸エロカワカワカワ娘に変貌し、そして、小石を持って戻ってきたということなのだろうか。


「ミィギ」


 シッポをくねくねとしながらドヤ顔の笑みを浮かべる、シッポもプリティけも耳全裸エロカワカワカワ頑張り屋娘。

 しかも、純朴というか無邪気というか――元は餓鬼なので邪気がないと言うのもおかしいが、恥じらいもなく大股開きでしゃがみ込んでいる。


 ――めっちゃエロいぞ、シッポもプリティけも耳全裸エロエロエロカワカワカワ頑張り屋娘。


 エン魔がオレの心を見透かしたかのように、目を線のように細めて、呆れたようにつぶやく。


「ちょっとむっつりソースケ。この脳内文字変換なんとかならない」


 ――おっと、知らず知らずのうちに脳内文字変換が暴走を始めていた。


 というわけで、これからは、シッポもプリティけも耳全裸エロエロエロカワカワカワ頑張り屋娘のことは、略してけも娘と変換することにしよう。


 けも娘は、オレの反応が少し不満だったのか一瞬つまらなそうな表情を浮かべるが、すぐにイタズラっぽい笑顔に戻りオレに跳びかかってきた。


 オレを素通りして転げるけも娘。

 クルリと反転すると、ふたたび笑顔で跳びかかってくる。


 餓鬼のときには、表情が読めなくてわからなかったが――と言うか不気味すぎなのだが、これはもう、じゃれているとしか思えない。


 しばらく飛びつき続けていたけも娘だったが、あきてきたのかまたしゃがみ込むと、何か面白いものがないかと物色するように、ピクッとけも耳を動かし周囲を見まわす。


 けも娘の青い瞳が夢野を捉える。

 目をギラギラと輝かせて、ゆっくりと夢野に歩みよる。


「ソースケ! 気を付けて!」


 エン魔の甲高い声が響き渡る。


 ――ま、まずい。


 けも娘のエロかわゆさに油断していたが、餓鬼であれば夢野を襲い喰らうこととなっても、なんら不思議ではない。


 夢野も慌てて立ち上がり身構えようとするが、疲労と空腹のあまりによろめいて尻もちをついてしまう。

 そこに、覆いかぶさるようにけも娘がのしかかる。


 けも娘が夢野ののどに顔を近づける。


 夢野が息を飲んで、硬直する。


 すると、けも娘は夢野の頬をペロンとなめた。


 シッポをくねくねさせながら、夢野を見つめて無邪気にほほ笑む。


 夢野は、安心して気が抜けたのかパタンと倒れこみ、もはやけも娘にされるがままとなっていた。


 顔中をなめまわすけも娘。


 夢野が気力を振り絞り、力なく震える手でけも娘の頭をなでる。

 オレが想像していたより、夢野の状態は悪いのかもしれない。


 けも娘も気づいたのか心配そうな顔つき。


 ギ、ギ、ギ、ギリ、ギリ。


 突然、けも娘は、自分の腕にガブリとかみつく。

 痛みに耐えているのか瞳には涙をためている。


 ガキッ、ベキッ!


 まぶたをしっかと固く閉じると、顔じゅうの力を集めて腕を噛み切った。

 そして、すぐさま噛み切った腕をたき火の中に放り込む。


 オレは、わけがわからず唖然とし、エン魔に視線を送る。


 エン魔もまた、わけがわからないといったポーズで首をかしげる。


 しばらくするとけも娘は、腕が焼けるのを待っていたかのように、たき火の中にもう一方の残っている手を伸ばす。

 やけどすることなどお構いなしに、炎の中で焼ける腕をつかんだ。


「ギミィーミィー」


 瞳にいっぱいの涙をため苦しい表情をしながらも、たき火の中から腕をつかみ出す。

 それは、もうすでに、けも娘の腕ではなく、どう見ても油のしたたる骨付きステーキにしか見えなかった。


 けも娘は、骨付きステーキと化した自分の腕にむしゃぶりつく。

 そして、もぐもぐしながら夢野にまたがり顔を近づけると、夢野のくちびるにくちびるを合わせる。


 口移しで夢野に肉を食べさせようというのだろう。


 最初こそビクッとした夢野だったが、抵抗する気力もなくされるがまま、それをのどに通すほかないようだった。


 オレは、背筋に少し冷たいものを感じたが、そもそも人は生きるために多くの動物の肉をごく当たり前のように食しているのだ。


 ――オレたちは、餓鬼とどう違うんだ?


 生命は、生命の犠牲なくしては存在し得ないということを、オレは今さらながらに痛感したのだった。


「ガウウウ……」


 しばらくの間、夢野にディープな口移しをしていたけも娘だったが、何を思ったのか不意に顔を上げ苦い表情を浮かべたかと思うと、急に走り出しどこへともなく姿を消していった。


 オレは、どう考えても異常と思える行動に思わずつぶやく。


「何だったんだ、アレ」


 オレのつぶやきをエン魔が拾う。


「人間、修羅、畜生、餓鬼、が混ざり合ってできた生き物かも……」


 もともと、この世界は、天上界、人間界、修羅界、畜生界、餓鬼界、地獄界の六つ世界からなるらしい。

 全ての生命はその命を全うすると、その者のおこないによって次の世界に転生する。

 閻魔帳が書き変えられたことによって世界の秩序が崩壊し、六つの世界が溶け合い混ざり合おうとしているようなのだ。


 第六天魔の暗冥門がこの世をすべて包み込むとき、この世界はまったく別の世界となってしまうだろう。

 そして、それが地獄のような世界であることは間違いない。


 ――しかし、どう混ざったのか知らないが、けも娘、めっちゃエロかわ!


【応援よろしくお願いします!】


「面白かった」「続きが気になる」と思ってくれた方、下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


 面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちで大丈夫です!


 ブックマークもいただけると本当にうれしいです。


よろしくお願いします。


シッポもプリティけも耳全裸エロエロエロカワカワカワ頑張り屋娘、登場!!

次回、「51.解放と死」

お楽しみに!!

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