表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/99

43.緊縛鬼地獄

読みに来ていただきありがとうございます。

今回も、お付き合いよろしくお願いします。


それでは、ごゆっくりどうぞ。

 ――お、お、おい。ゆ、ゆ、ゆめ、ゆめ……。な、な、なに、何やって……。


 崖の上まで無事夢野を引き上げ、その無事を確認するために近づくオレを、夢野の声が制止する。


「いやー! センパーイ! み、み、み、見ないでー!!」


 見るなと言われても、驚きのあまり身体が凍り付いたようにまったく身動きがきかず、逆に目が離せない。


 ここまで、虚を突かれたことが人生の中であっただろうか。

 決して長い人生だったとは言えないが……。


「いやー! おねがーい! センパーイ!」


 夢野は、叫びながらも転がることくらいしかできない。


 なんと、夢野は、エビぞりになった格好で、手首、足首をまとめて後ろ手に縛られ、まったく手も足も動かせない状態だった。


 そのうえ、手足にはどう考えても必要ないと思えるほどロープが巻かれ、さらに、胸から太ももにかけては、複雑に結ばれたロープがいくつもの幾何学文様を身体に刻み付け、きつく身体を縛り上げていた。


 ――こ、これ、俗に言う、きっ、亀甲縛り……!?


 突如現れた、夢野のSMプレイ?に動転したオレだったが、徐々に落ち着きを取り戻し、同時に身体の自由もきくようになってくる。


 気を取り直して改めて見ると、太ももや二の腕にロープが食い込み、みだらに開かれた手足は強引に縛られることによって、夢野の身体を痛々しいほど弓なりに拘束していた。


 きつく縛り付けられた亀甲縛りは、着衣ごと夢野の身体に食い込み身体のラインを強調していた。

 救いなのは、亀甲縛りが着衣の上からなされていて、肌に直接ではなかったことだ。


 ――いや! 巫女風コスチュームの上からだと、めっちゃエロいぞ。夢野ぉー!!


 そんな気持ちは微塵も顔に出さず、オレはロープをほどくため夢野に歩み寄る。

 そう、ロープをほどくためにやむを得えないわけで、そのためにあんな所やこんな所、間違ってあそこが見えてしまっても、それは不可抗力だ。


 だいたい、おれは、ロープには触れても、夢野には触ることができない。


 ――なんて、健全。


 オレの下心を知ってか知らずか、夢野が半ば半狂乱になって暴れまくる。

 とは言っても、見事な拘束で、もがくようなことしかできはしない。


「センパ~イ! 見ないでー! やめてー!」


 オレは、精一杯の優しい笑みをたたえながら夢野に歩み寄る。


 夢野の表情は、オレの笑顔を不気味としか受け取っていないようだった。


 ――大丈夫、夢野。オレが隅々まで、しっかりと拝んで、いや違う、ゆっくりと優しく丁寧にほどいてあげるから。


 ピッ。

『 +8 アクリョウポイントガ、カサンサレマシタ』


 オレの卑わいな妄想が悪霊ポイントを生み出す。


 ビシッ。


 そんなオレをはばむかのように、突如、強い閃光が走り視野が真っ白になる。

 身をかがめ後ずさるオレ。


 エン魔の雷だ。


 警告のための小さなものだったのか、エン魔自身は心なしか若くなった程度だった。


「この、むっつりソースケ。ほんっと、衆生の考えることは愚かねー」


 オレの心を読んだかのように、呆れ果てた表情。


 オレは、嫌味を含んだ言葉を返す。


「閻魔様の考えることは、衆生にはわからないね」


 緊急時ともいえるこの状況で、なんでまたSMプレイなの?という批判を込めたオレの言葉を、エン魔はまったく嫌味とは取らず、見下すように目を細めると、胸元から雑誌を取り出す。


「わたしは、キミたちと違って一度見たものは、瞬間、覚えちゃうからねー」


 下まぶたを指で下げると、舌をチョロッと出し、あかんべえをするエン魔。


 ――いったいどういった精神年齢なんだろう?


 エン魔の取り出した雑誌の表紙には、『緊縛鬼地獄』と題されていた。

 コンビニの雑誌コーナーなどによく置かれている、言うなればエロ本というたぐいのやつだ。


 ――地獄で、なにかの参考にでもしようと思ったのかー?


 エン魔は、それがそのようなものだということを理解していないようだった。


 結局、オレはエン魔に追いやられ、エン魔が夢野の拘束を解くことになった。


 少し惜しい気持ちはあったが、先輩としての体面を失うよりは良かったのかもしれないと、オレは思うのだった。


【応援よろしくお願いします!】


「面白かった」「続きが気になる」と思ってくれた方、下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


 面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちで大丈夫です!


 ブックマークもいただけると本当にうれしいです。


よろしくお願いします。


次回、「44.最後の食事」

お楽しみに!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ