33.危険領域
今回も、お付き合いよろしくお願いします。
な、な、何と、悪霊ポイントが……。
それでは、ごゆっくりどうぞ。
その衝撃的事実は、オレの頭の中に、直接響きわたった。
ピッ。
『 +5 アクリョウポイントガ、カサンサレマシタ』
お決まりのエン魔の白パンツで悪霊ポイント+5。
ポイントの合計は……。
『ポイントノゴウケイハ15デス』
――えっ、あっ、あ、悪霊ポイント15だってー!! あっぶない、あぶない、あぶない。
これだから、身体的自覚症状がないというのは、いただけない。
悪霊ポイントが危険領域に入っていても、まったく気付くことができない。
病気になれば苦しいから休息をとろうと考えるし、ケガをすれば痛いから無理をしないように心がけた行動をとる。
自覚症状がないと、そういった手加減が一切できない。
たぶん、オレが消えるときは、オレ自身も無自覚で、一瞬にして消えてしまうのだろう。
今のオレの状態は、独鈷杵なら一発、破魔矢でも二本受ければ消滅確定だ。
――エン魔の白パンツ前が、たった10ポイントだなんて、どこかで計算間違ってない?
一時的にマイナスポイントになっていたということなのだろうか。
しかし、それでは、「ポイント0で消滅」ということではないことになってしまう。
とにかく、これからは、行動に十分注意して、ことに当たらなくてはならないだろう。
もしも、何かの間違いでトラップを踏んでしまったら、即消滅ということもあり得るはずだ。
衝撃的なポイント数に、愕然とするオレのかたわらで、エン魔もまた言葉を失い、パンツのことなど忘れたかのように呆然と立ちすくむ。
その間も、風はかまわず、エン魔のスカートをはためかせ、純潔、潔白の白パンツが見え隠れしていた。
ほどなくすると、エン魔は、首をブンブンと横に振ると、気を取りなおしたのか、こんにゃくゼリーを手に取り、チュルッとほうばる。
そして、オレの身などまったく案じてはいないと言わんばかりに、呆れたようなジト目をオレに向けた。
ただ、オレにむけられたエン魔のジト目は、今までのものとは、まったく違っていた。
それは、どう見ても無理に顔に貼り付けたもので、オレを心配するエン魔の気持ちが明らかに透けているものだった。
「どっ、どうやら『閻魔大王様、お願いします。助けてください』と、こっ、心からわたしを、崇め、奉るようになるのも、じっ、時間の問題のようね」
オレの状態は、オレが想像するより、かなり悪いのかもしれない。
エン魔の減らず口にも、いまいち切れがなくなっている。
オレは、口角を上げてニヤリとしながらも、まっすぐな気持ちを言葉にする。
「エン魔、頼む。オレに力を貸してくれ」
「……」
エン魔は、ドギマギして、手にしていたこんにゃくゼリーを落としそうになる。
オレは、胸の中に秘めた真剣な思いを、さらに言葉に付け加える。
「閻魔大王様、お願いだ。オレは、どうなってもいい。夢野だけは助けたいんだ」
落としかけたこんにゃくゼリーを、なんとか手の中におさめると、視線を外し、あらぬ方へ顔を向けてしまう。
そして、顔を赤らめながら吐き出すように言う。
「ふっ、ふ、ふん。し、しかたないなー、もう」
閻魔大王様。いつになく真剣に頼み込む聡亮。
次回、はたして夢野は、無事なのか……。
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