27.錠剤のビン
今回も、お付き合いよろしくお願いします。
聡亮、悪霊モード全開でお送りします。
それでは、ごゆっくりどうぞ。
矢がオレの顔面に突き刺さり、頭を通り抜け、後ろのカベに突き刺さった。
ピッ。
『 -10 アクリョウポイントガ、ゲンサンサレマス』
『ポイントノゴウケイハ95デス』
自覚症状はまったくないのだが、破魔矢がオレを通過すれば、悪霊ポイントは確実に減っていく。
生前の感性が残っているのか、やはり、矢が頭に刺さるかもしれないといった瞬間の恐怖は、並大抵のものではない。
痛みを感じないからといって、そうやすやすと受けるわけにはいかないのだ。
放たれた、次の破魔矢。
しかし、最初の正確な射的とは打って変って、矢はあらぬ方向へと飛んでいき、天井に突き刺さった。
オレが巻き起こした強烈な疾風が、巫女の足元から吹き上げ、弓の手元を狂わせたのだ。
吹き上げる風は、なおも勢いを増し、巫女たちの袴をも、めくり上げる。
強烈な風は、袴を完全にめくり上げ、頭まですっぽりかくすほどに吹き上げる。
巫女たちは、弓矢ごと袴に包み込まれ、手も出せない。
おへそ辺りまでめくれ上がった状態では、もはや、足をジタバタさせることぐらいしかできはしない。
――それにしても、ひとりはピンクのボーダーで、もうひとりは水色のボーダーとは仲がいい。
ピッ。
『アクリョウポイントガ、カサンサレマシタ』
クネクネとおどるパンツ巫女をしり目に、レッグバックのサイドポケットから錠剤のビンを取り出す。
上昇する風の勢いが徐々に弱まり、巫女たちの袴がふわりと舞い下り始める。
オレは、両手に持ったビンのフタを、指で弾き飛ばす。
――それでは、悪霊らしく、卑劣極まりない手段を使わしてもらおう。
「ヒーッヒッヒッヒ!」
ノリで悪霊らしく高笑いをかましてみたが、チャンスは一度きり、これを外せば後がない。
袴が舞い下り、かくれていた巫女たちの混乱した顔がのぞく。
と同時に、吹き上げた風は、二つのつむじ風のようになって、巫女たちの顔に吹き付ける。
――今だ。
次の瞬間、オレはビンに入っていた錠剤を、つむじ風に向かってまき散らした。
まき散らされた多量の錠剤が、つむじ風に巻き込まれ、巫女たちの口や鼻へ押し込まれていく。
巫女たちは、かわいい顔を歪めながらも、次々とねじ込まれる大量の錠剤に、もはや、それらをのみ込まざるを得ない。
風の勢いは徐々に弱まり、やがて止んでいったが、巫女たちは呆然として立ちすくみ、自分たちに何が起こったのか、頭の中を整理しているようだった。
「ほーら、ほら、急いで、急いで! 致死量の十倍は飲み込んでるぞ!」
オレは、わざとらしく大げさに、まくし立てる。
「早く、早く! 全部、吐き出さないと……。ア・ウ・ト」
できるだけ悪霊っぽく、おぞましく笑ってみせる。
巫女たちは、顔面を真っ青にして、どこへともなく走り出したが、すぐにフラフラし始めたかと思うと、その場にうずくまって動かなくなってしまった。
――ふっふっふ。まさに、悪霊の所業。
ピッ。
『アクリョウポイントガ、カサンサレマシタ』
まさに、悪行三昧、悪霊ポイントうなぎのぼり。
次回、美しいボス巫女登場。
お楽しみに!!
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