24.聖水の盾
今回も、お付き合いよろしくお願いします。
エン魔は、聖水なんてぜんぜん平気だが、ずぶ濡れにはなるんです。
それでは、ごゆっくりどうぞ。
エン魔の腰をつかみ、持ち上げたオレは、エン魔を前面に押し出し、そのかげに身をかくす。
ちなみに、エン魔もいってみれば霊体のようなもので、まったく重量を感じない。
「ちょっ、ちょっと、ソースケ、放しなさい」
オレに持ち上げられ、手足をバタつかせ暴れるエン魔。
「そーんなに平気なら、オレの盾になってくれ! エ・ン・マ・サ・マ」
オレは、エン魔を持ち上げたまま、一歩一歩、やつらに近づいていく。
やつらは、その動きに驚いたのか、なにかしら放水銃の調整をすると、集中的に聖水を噴射し始めた。
よく見ると、やつらは背中にタンクを背負っていて、聖水はそこから供給されているようだった。
聖水の勢いは、まるで消防で使用する放水のような水圧で、エン魔を盾代わりにして進む、オレの前進をはばむ。
しかし、これだけの水圧が長く続くはずはない。
エン魔は、オレの盾となり、放水をもろに受け、バタバタと暴れるが、さけび声も聖水の勢いにかき消され、まったく届かない。
オレも、あまりの水圧に目も開けていられないくらいだが、聖水の影響をなんとかしのげているだけましと考えるべきだろう。
水圧に必死で耐えていると、バサッと音を立てて、何かが飛ばされた。
バサッ。
バサバサッ。
オレは、異変を感じ、なんとか薄目を開けて、状況の確認を試みる。
――あqwせdrftgyふじこlp;@:。
薄目を開けた瞬間、オレは、目のやり場を失った。
エン魔の服が強い水圧の聖水に吹き飛ばされ、今や、純潔、潔白の白パンツを一枚残すのみのスッポンポンとなっていたのだ。
オレの目の前には、エン魔の透き通るような白い背中。
やつらからは、エン魔のかわいい胸が丸見えといったところだろうか。
――ムフフ、こんなことなら背中向きにしておけばよかった。
ゲスな考えが頭をよぎるが、そんなことを考えている場合じゃない。
なんとかしてやりたいところだが、水の勢いは、なかなかとどまらず、エン魔を放すわけにもいかない。
――これも、日頃の行いが悪いから、バチが当たったんだ。
オレは、エン魔が冥界の王にして死者の生前の罪を裁く神だったことを思い起こして、にが笑いする。
――ヘッヘッヘ。この際、盾の役目をまっとうするがいい。
オレは、よりしっかりとエン魔の腰をつかみ、聖水の激流に向かって押し出した。
「キャーッ! ちょ……、ソース……、いい……ん……して!」
なにを言っているか、よくはわからないが、なにかしらさけび続けるエン魔。
ピッ。
『 +20 アクリョウポイントガ、カサンサレマシタ』
『ポイントノゴウケイハ105デス』
オレの邪気をはらんだ考えと、エン魔への所業がアクリョウポイントを生み出す。
エン魔は、手足をバタつかせ、苦悩の表情。
猛烈にあばれるエン魔に、手が滑り、エン魔がずり落ちそうになる。
聖水を浴びればタダではすまないオレとしては、ずり落ちるエン魔をだだ必死でつかみ続けることしかほかにできることはない。
最後に残った、純白パンツも少しづつずれ始めてきた。
「あんまり暴れるとパンツもなくなるぞ」
「ん、うーん」
オレの言葉に、輪をかけて暴れだすエン魔。
エン魔のパンツは、くるくるとめくれ、もはや風前のともし火。
ずり落ちるエン魔を放すまいと、指に力をいれると、指先に柔らかなものが触れる。
オレは、指を動かし、その柔らかなものを再確認する。
そもそも、オレもエン魔も、霊体のようなものであって、感覚というものがあるのかどうかは疑問だが……。
――この柔らかで、弾力のある、それでいてなめらかなこれは……。
ちち、チチ、乳?!
「ソースケのバカ、バカ、バカ!!」
エン魔が身をよじりながらさけぶ。
さけび声が消えるのとほぼ同時、聖水がつきたのか、水流がいきなり止まった。
エン魔は、手で胸をかくし、半べそで地面にペタンと座り込む。
「こ、こんなはずかしめを受けるなんて……」
エン魔の体から、メラメラと妖気のようなものが立ちのぼる。
聖水を噴射し尽くし、顔面蒼白で後ずさるいかつい警備員二人。
そしてそれは、オレもまた同様だった。
ドッシャーン。
最後の記憶は、一瞬、全身で感じた強烈な閃光と鋭い轟音だった……。
お、お、おっぱい。警備員さん、ラッキー。
次回、エン魔に異変が……。
お楽しみに!!
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