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第五十五話 パープル・カード(5)


暗くなった学校の玄関口。

俺は拳を掴まれ、大遅林にそれを潰されようとしている。


その時、光りがふたつ。


め、メガネだ!



「何やら動きが怪しいと思い・・・追いかけてみれば教師と喧嘩ですか。奏爽律さん」

「あ、東!」

東はその場で立ち尽くしている。状況の把握を出来ていないものの、この異常な空気を読み取っていた。


「誰だオマエは?」

そう言って、大遅林は俺の手を離す。

とりあえず助かった。後退りして距離を置く。


「見れば分かるでしょう。この学校の生徒ですよ」

「いいや・・・俺の頭の中には、お前みたいな奴はいない」

「貴方の記憶容量不足でしょう」

その瞬間、大遅林が動き出す。俺は身構えた。その瞬間、東はメガネを取った。意外とイケメン!って・・・



キン!という金属音。



大遅林がナイフを取り出していることにも驚くが、東はそれをメガネで受け止めていた。いや、このメガネ・・・たぶん武器だ。


「合理的な武器だな」

「教師はナイフを持ち込んでも良いのですか?」

「めんどくせぇ奴だな」

そう言って、大遅林のもう片方の手からナイフが繰り出される。東はそれを瞬時に避けるが、分かりやすく顔の横に血が垂れ始めた。掠ったのだ。



「律くん。戦えますか?」

「うん」

「この様な猟奇的教師を野放しにすると小姫様に襲いかかりかねません。やりましょう」


東はその身体を綺麗に、しなやかに動かし、跳び箱を跳ぶように大遅林の頭を飛び越え、俺の元に寄った。



「参ったな・・・」



「お前の目的は何なんだよ!」

俺は問いかける。そんな言葉の問いなどないうちに、俺の目前までナイフが飛んでくる。それを眼鏡で弾く東。コイツ・・・すげえぞ!



「俺の目的か?世界平和だ」



・・・ぽか〜ん。

せ、世界平和!?



「素晴らしい国語教師ですね」

感銘を受けてる場合じゃねー!



「何が世界平和だ!」

スケールがデカすぎる!ラスボスかよ!



「良いか?あの女の身体を知れば、救われる人がいるかもしれない」



大遅林は隠れもせず、真実を口にする。

やはり、狙っていたのか。小姫を。

色々疑っていたけれど、真実はやはりそうか。


今、コイツを何とかすれば・・・

小姫はコイツが暗躍班として居続ける限り・・・

内部情報を横流しされ、居場所を突き止められる。


そうだ。今だ。

今ここでコイツを・・・

そうすれば、小姫の安全な生活に繋がる。



そうだ。強くなったんだ。

覚悟をするんだ。



優しさは捨てるんだ。



ずっと備えていたままの武器・・・

俺は制服の尻ポケットからそれを取り出す。



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